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【Shooto】世界フライ級王者──世界と伍する扇久保に対する、一発&突進力のマルチネス

Danny【写真】復帰を決めた山上幹臣とも、練習をしているダニー・マルチネス(C)MMAPLANET

23日(日)に浦安市の舞浜アンフィシアター大会で行われるプロフェッショナル修斗公式戦で、TUF24準優勝を果たした修斗世界フライ級チャンピオン扇久保博正が凱旋。元UFCファイターのダニー・マルチネスを迎え撃つ。


昨年、デメトリウス・ジョンソンへの挑戦権を賭けて行われたTUF24に出場した扇久保は、決勝でティム・エリオットに敗れ、もう一歩のところで涙を呑んだ。しかし、カジムロ・ズル、アダム・アントリン、アレッシャンドリ・パントージャを下しての決勝進出、そしてエリオット戦での戦いぶりは、改めて扇久保が世界のトップを狙えるファイターであることを証明したといっても良いだろう。

昨年4月に菅原雅顕に一本勝ちして修斗の2階級制覇を成し遂げて海を渡った扇久保。菅原戦が5分5R、TUFが5分2Rかつ短期間で試合が続くという違いがあったにせよ、TUFでは菅原戦では見ることが出来なかった扇久保の強さ、そして進化を見ることができた。

まずはオーソドックス・サウスポーのスイッチがスムーズになったことだ。菅原戦でも構えをスイッチしていた扇久保だったが、この時はまだオーソドックスとサウスポーにそれぞれ構えを変えて戦う時間が長かった。それがTUFではよりスムーズに、試合展開に合わせて構えをスイッチするようになり「サウスポーでも戦える」ではなく「戦況に応じて構えを変えられる」ようになっていた。

そこに加えてステップを増やし、左右の蹴りを出せるようになったことも目を引いた点だ。これまではどっしりと構えて、相手にプレッシャーをかけていくことが多かった扇久保だが、TUFでは構えのスイッチ+ステップ+左右の蹴りで試合を組み立てる場面が多かった。その結果として蹴りの攻防からテイクダウンにつなげられるようになり、余計なスタミナや体力のロスがないテイクダウン&トップキープを可能にした。

そうした柔軟な戦い方で試合を進められるようになった一方、決勝のエリオット戦では距離を詰めて打ち合う中で右アッパーをヒットさせ、やや強引にでもスクランブルに持ち込んで苦しい展開で競り合う強さも見せた。

また菅原戦でもフィニッシュになったフロントチョークやオーソドックスで左足で蹴るハイキックなど一発で試合を決める技も持ち合わせている。TUFでの4連戦で扇久保がいかにMMAファイターとして完成度が高いかが証明されたといえる。

今大会で対戦するマルチネスはキャリア21勝7敗のファイターで、所属するアライアスMMAでは少年部のレスリングコーチを務める。そのファイトスタイルはサウスポーから繰り出す左ストレート&左フックの強打で前に出てテイクダウンにつなげるというもの。パンチ&テイクダウンがパワフルな一方、蹴りをほとんど使わず、とにかくパンチを強振して突進して組みつくという戦い方は穴も多い。

UFCでのクリス・カリアソ戦ではカリアソの右ミドルとケージを背にしてテイクダウンディフェンスを崩すことが出来ないまま試合終了のホーンを聞いている。と、なれば自ずと扇久保陣営も蹴りを有効に使って試合を作っていきたいところだ。蹴りへの対応が甘いマルチネスを蹴りでコントロールすれば、スタンドでダメージを与え続ける、もしくはテイクダウン&トップキープにつなげる、そのどちらも可能になるはずだ。

とはいっても、そうしたゲームプランをも狂わせるほどマルチネスの左のパンチとテイクダウンは強力だ。UFCでスコット・ヨルゲンセンにも敗れているマルチネスだが、この時は1Rに完全にペースを奪われながらも、2Rに左一発でダウンを奪って、ポイントをイーブンに戻している。

UFCリリース後のベンジャミン・ヴィンソン戦、コリー・アレキサンダー戦でもスタンドの劣勢を一度のテイクダウンとトップキープでひっくり返し、ラウンドを自分のものにして勝利までつなげているマルチネス。戦い方に穴はあるが、見方を変えれば試合をフィニッシュするor試合終了まで完全に試合を支配しなければ危険な相手という分析もできる。

対戦相手として相性がいいのは扇久保で間違いない。そのうえでリスクをおかしてフィニッシュを狙うのではなく、より勝利を確実するためにもフィニッシュにつながる動きが必要とされる一戦だ。

■ プロ修斗 対戦カード

<プロ修斗世界フェザー級選手権試合/5分5R>
斎藤裕(日本)
宇野薫(日本)

<フライ級/5分3R>
扇久保博正(日本)
ダニー・マルチネス(米国)

<ストロー級/5分3R>
猿田洋祐(日本)
箕輪ひろば(日本)

<ストロー級/5分3R>
澤田龍人(日本)
木内崇雅(日本)

<ライト級/5分3R>
福本よう一(日本)
小谷直之(日本)

<バンタム級/5分3R>
岡田遼(日本)
トリスタン・グリムズリー(米国)

<バンタム級/5分3R>
金物屋の秀(日本)
一條貴洋(日本)

<インフィニティリーグ2017フェザー級/5分2R>
仲山貴志(日本)
山本健斗デリカット(日本)

<バンタム級/5分2R>
海下“DRAGON”竜太(日本)
榎本明(日本)

<新人王決定T1回戦ライト級/5分2R>
モリシマン(日本)
宍戸航太(日本)

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