【ONE54】ファンキー・アスクレン、2度目の防衛戦の挑戦者は21歳のマレーシア人ファイター=タニ
【写真】タニのモチベーションはマックスであることは間違いない。対してアスクレンはどこまで気持ちが入っているのか気がかりだ(C)ONE
7日(金・現地時間)、ONEより5月26日(金・同)にシンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE54「Dynasty of Heroes」で、ONE世界ウェルター級王者ベン・アスクレンの防衛戦が組まれることが発表された。
昨年4月に体重超過のニコライ・アレクサヒンを破って以来13カ月振りの実戦、タイトル戦は実にノーコンテストに終わった2015年4月のルイス・サッポ戦に続き2度目ということになる。
2013年にBellator世界ウェルター級王者からUFCとの契約交渉が物別れとなり、ONEに戦場を求めたアスクレン。フリースタイルレスリングで北京五輪出場という実績よりも、NCAAのD-1を2度制覇、そして2度の準優勝というカレッジ・レスリングの戦績がずば抜け、指が一本掛かれば倒せるテイクダウンからの抜群のボディコントロールは他の追随を許さなかった。
そんな圧倒的な強さをMMAで見せつけ、日本の鈴木信達に圧勝しキャリア14連勝で同王座を獲得した。が、王座奪取以降の現役生活は低空飛行を続けている感がある。ノーコンテスト後の決着戦ではサッポが体重オーバーで試合が成立せず、アレクサヒンも同様でノンタイトル戦に──高額のファイトマネーがネックとなり年一ファイトが続いている状態も現役ファイターのアスクレンの停滞感を助長している要因だ。
そんなアスクレンの2度目の王座防衛戦の相手はアギラン・タニ。1995年8月生まれの21歳、マレーシア人ファイターだ。マレーシアのアマMMA大会で6連勝を飾り、ロードFCのクアラルンプール大会=ONE25でプロデビューしたタニはONEのみで戦い現在6連勝中、チャレンジャーに抜擢された。
やや緩めのボディが引き締まってきたタニは、左に体を傾けながら右ハイや右ミドルを積極的に放ち、相手が下がったところでダブルレッグでテイクダウン。ポジションを奪ってからは殴って削り、フィニッシュのRNCに持ち込むという勝ち方を確立している。
とはいってもこれまでの対戦相手は、6勝2敗の台湾人ファイター=ジェフ・フアンが最も経験の多い相手で、この他は負け越している相手が2人含まれている。平たくいえば、アスクレンに彼の正攻法が通じる可能性は非常に低い。
過去の実績と本来の実力、そのピーク時を考えれば、タニに勝機はない……と言い切ってしまえるような世界戦だが、このところのアスクレンのモチベーション低下が反映した動きを見る限り、何があるか分からない。ただし、自力の差は歴然。タニのハイキックでアスクレンが目を覚まし、本能で戦う──そんな場面を期待したくなるONE世界ウェルター級選手試合だ。なお同大会のメインではONE世界女子アトム級王者アンジェラ・リーが、イステラ・ヌネスを相手に2度目の王座防衛戦を行い、青木真也がゲイリー・トノンとグラップリングマッチを行う。