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【Special】月刊、青木真也のこの一番:2月編<その参>ジョシュ・コスチェック×マウリシオ・アロンソ

Koscheck vs Alonso【写真】誰もが衰える時がやってくる。そして青木は「納得すること」を重要視する(C)MMAPLANET

Shinya Aoki『月刊・青木真也のこの一番』、2月編<その壱>でジョシュ・トムソン×パトリッキー・フレイレ、<その弐>でエウベウ・バーンズ×モウリッド・カイブラエフ戦についてMMAを掘り下げた青木。

最後の一番はジョシュ・コスチェック×マウリシオ・アロンソ──コスチェックの哀愁と、ラウェイを語らおう。

<月刊、青木真也のこの一番:2月編<その壱>ジョシュ・トムソン×パトリッキー・フレイレはコチラから>
<月刊、青木真也のこの一番:2月編<その弐>エウベウ・バーンズ×モウリッド・カイブラエフ戦はコチラから>


──青木選手が選ぶ一番、2月最後の一戦は?

「トムソン×フレイレ戦と同じ日にあったジョシュ・コスチェック×マウリシオ・アロンソです」

──つまりは……。

「ハイ。コスチェックです。UFCで5連敗して、これだけ引っ張ってBellatorに初出場を果たしたら、ブラジル人に負けて6連敗。あれだけ落ちるんですね……。

メチャクチャ強かったのに、誰もコスチェックのテイクダウンは切れなかった。コスは本当に強かった、メチャクチャ強かった。GSPがいなければ、ウェルター級で最強でした。

GSPがマット・セラに負けてレスラーにならなかったら、コスチェックは勝っていたと思います。MMAで戦うレスラーは打撃が苦手だっていうイメージ……マット・ヒューズみたいな感じの選手が多かった中で、NCAAを制しているコスチェックはスラッガーで新しいレスラー像をMMAに持ち込んだファイターだと僕は認識しています。

まぁ……途中からのあのトーンダウンは色々と疑っちゃいますけどね(苦笑)。そういうのはあるのはあるんですが、落ち具合が哀愁漂っていて。そこがまた凄く良いと思う。嫌な感じの試合をして、ポール・デイリーに殴られて……」

──そのデイリーとの因縁で、ベラトールで一花咲かせようとしていたのに、ここで1RでTKO負け。

「それで良いんですよ。だから良いんですよ。あれだけ凄かった時代があるから、コスチェックという名前だけで試合を見てしまう。エルミス・フランカが中国で試合をするのと同じ(笑)。ペケーニョがペルーで試合をしたり。

昔の名前で出ています的な、音楽と同じ構造ですよね。それはそれで、知っている人間は動いている姿を見たくなるんですよ。だから、それはそれで有りだし。

アンデウソン・シウバがカポエイラのステップを踏んで、でもデレック・ブルンソンに手堅く普通に勝ってしまう。あの場ですら楽しんでいる……器が違うんでしょうね。そういう選手もいれば、プロ野球の選手が台湾で野球を続けるような──感じの選手がMMAにいても良い。納得して、最後までやる。それで良いんだと思います」

──最後は納得できれば?

「ハイ。日本だと大石(真丈)さん。好きで続けている。コスチェックもトムソンもそう。あっ、そうだ──トムソンとフレイレで頭がぶつかったじゃないですか……」

──ハイ、第一弾で話してもらった試合です。

「アレ、ラウェイをちょっと連想させたんですよね。ラウェイをこないだ見に行って、別に何か期待していったわけじゃないんです。でも、行ってみると格闘技イベントの真理がありました」

──それは?

「結局、お客さんは感情を見に行っている。そしてラウェイは上手い技術を見ていっているわけじゃないから、あの打ち合いで盛り上がる。ONEとかROAD FCの前座でそういう試合があるのは、そこがまたMMAイベントの真理だろうなって。

まぁずっと続くと面白くないですよ。たまに見るから面白い。清涼剤というか、人によっては刺激物。アレはアレでガッチンガッチンやっていて良かったです。

ラウェイは万人が目指すモノじゃないけど、度胸試しに若い選手に戦わせるのは良いと思います。まんま村祭りで。チャンピオンが別に強くないし(笑)。ああいう民族格闘技が存在していることが浪漫です」

でもラウェイもメインの方でムエタイをやっている子が出てきたら、キレーなムエタイになってしまう。それじゃなくて、ガッツンガッツンのラウェイが見たい。僕は自分ができないから、そういうモノを見るのが好きなんです」

──そこをハッキリと口にするのが青木選手らしいです。

「だって、あんなの無理ですよ。危ないし(苦笑)。ホントに思います。極論、技術力が低くてノックアウトがないから、我慢比べになる。体中、ワセリンみたいなの塗りまくって滑りまくりで(笑)。とにかく、僕にはアレはできない」

──なるほど、最後は思わぬラウェイ論に発展しましたが、今回はありがとうございました。

「ハイ、MMAは哀愁、ロシアは危険だから掘るな、そして頭突きはやったもん勝ちということです(笑)」

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