【Interview】川尻達也&水垣偉弥対談<最終回>
【写真】ともに次戦は発表されていないが、4月のカナダ大会、ボルチモア大会辺りに照準を絞り、ズッファと交渉を重ねている模様だ (C)MMAPLANET
川尻達也&水垣偉弥対談・最終回。思わぬネガティブ・トークに発展した対談が行きつく先は……「$」、そして「¥」、為替レート問題へ?!。
UFC世界王座挑戦権へ向けて、日本のツートップの「今しかない」宣言をお届けします。
<川尻達也&水垣偉弥生対談 Part.01はコチラから>
<川尻達也&水垣偉弥生対談 Part.02 はコチラから>
<川尻達也&水垣偉弥生対談 Part.03 はコチラから>
水垣 あぁ、こんなに分厚かったって思うんですよね。
川尻 昔は切れないとダメだったんですけど、今はもう冷静に入っちゃうんで、オクタゴンに入って今回考えたのはネガティブなことと金のことですね。『ボーナス』、『ボーナス』、『ボーナス』ってもう(笑)。『ボーナス取れば5万ドル』って思って。
──人参チラつかせてくれぇと(笑)。
川尻 本当にソレしかなかったです。
──川尻選手と水垣選手の話を聞いて、日本のMMAに勢いをつけてもらおうと思ったのですが、やたらと不安が多くなってしまいました(笑)。もう少し、威勢の良い言葉をお願いします……。
水垣 威勢よく……。
川尻 ネガティブでも僕みたいに凡人でも世界一になれる。茨城からでも世界に挑戦できることを見てもらう。それがモチベーションになっています。僕なんて身体能力も普通だし。全部後付だし。
水垣 でも、走るのとかメッチャ早かったですよ。
川尻 それは元陸上部だったから。もう普通なんですよ。別に特別な瞬発力もパワーもない。そんな人間が世界に挑戦し、ベルトを取ったら面白くないですか? 『ざまぁみろ、才能あるヤツ』って。
水垣 ハハ……。
川尻 僕を動かしているのは反骨心なんですよね。修斗を始めた時も、東京の奴らになんて絶対に負けないと思って、技術の遅れを全部パワーでぶっ潰して。『お前ら、全部ぶっ飛ばしてやる』って思っていたし。
──ネガティブパワーをエネルギーに。
川尻 自分が凄いと思っていないですし、でも『お前らになんか絶対に負けない。いつか絶対に潰してやるからな』って思ってずっとやってきたんで。今もそういう想いは強いです。『何がUFCランキング5位だよ。全部潰してやるからな』って。『田舎者が全部潰してやるからな、ざまぁみろ』って言いたくてやっている。
──サザンを聞きながら、湘南の漣を見て暮らしてきた人間には負けないぞ、と(笑)。
川尻 ねぇ、オシャレな車に乗って。オシャレなところに住んで、ランキング7位で。セレブですよ。
水垣 オシャレじゃないし、セレブでもないです。逆ですよ、僕にとって川尻選手が憧れで。どんどん成功していくのを見ていて……。
川尻 何言っているんだよ(笑)。
水垣 (修斗新人王トーナメント)歴代MVPのコレは……やばいなぁって思ってきたんですから。
──でも、自分には素質はあると思っていた?
水垣 ちょっとあると思っていて、WECに行って『あっ、並かそれ以下だ』って(笑)。
川尻 フフフフ。
──並かそれ以下、負から考えていかないと通用しない。簡単な世界じゃないですよね、2人の戦っている場所は。
川尻 そうですよね。違いますよ。何か、違うよね?
水垣 違いますね。
川尻 細く見えても、米国人とか組み合うと太いよね。
水垣 ヒョロッとした人でも力があるんですよ。
川尻 そうそう。何なんだろうね、アレ?
──日本人だからこそ、勝てるという要素もMMAにはあると思うんです。
川尻 柔道がいけそうだよね。柔道は弱くないですか? 足払いで、結構こかされるし。
──彼らが知る前の今が大切ですね。首相撲やムエタイ系の技も米国人にはないと思っていたら、アッという間に広まりました。
川尻 今がチャンス。これが30年後になったら、プロ野球やサッカーと同じでセンスのあるヤツのなかで、努力したヤツがトップに行ける――そんな世界になってしまうと思う。けど、今は普通の人でも努力をすれば、トップになれるか分からないけど、通用する世界だと思うんです。まだMMAが20年、修斗が25年とかっていう歴史が浅いから。
もう今、米国で成功して強くなれば何億も稼げると分かったから、皆本気になっている。そういう風になったら、数年後には僕なんか通用しない世界になっていると思うんです。だから、今しかチャンスはない。
──2人が結果を残し、MMAファイターの環境を変えることができれば、また日本も変わってくると信じています。
水垣 ……そうですね。
川尻 今のうちにチャンピオンになって、稼いで。
水垣 確かに数年後だと、もっとヤバいですよね。
川尻 ヤバい、ヤバい。もう皆が本気になっている。円安の間にPPVボーナスをつけて、億です。億。
水垣 僕、米国で試合をし始めた時、1ドルが97円ぐらいで。そのあと、どんどん円高が進んで、最後は78円ぐらいになって(笑)。ファイトマネーはちょっとずつ上げているのに、全然上がっていないような感じになっちゃって。
川尻 怖っ。78円ってヤバいよね。
水垣 ヤバかったです。
──円安基調がどこまで続くのか。消費税上昇後の日本経済も、為替も見えてこない部分があるので、少しでも早くランキングをあげて、世界に照準が絞ることができるように期待しています。
川尻 ホント、今ですよね。でも、金の話とネガティブな話しかしていないですね(苦笑)。
水垣 アハハハハ。
川尻 でも、大金が埋まっているからね。UFCには。
水垣 そうなんですよ。
川尻 俺は大金を稼ぎにUFCに行ったんで。夢だけじゃない。金を稼ぎに行っているから。そこも全部、奪い取りたい。フランキー・エドガーが12万ドル&12万ドル。バンタム級は?
水垣 バンタム級はユライアが一番貰っているでしょうね。
──サクラメントのメルセデスのディーラーが、ユライアに乗ってもらうことでイメージアップになると、新車をプレゼントしたこともありました。
川尻 マジっすか。
──ということで(笑)、そろそろ水垣選手の収録時間が迫ってきましたので、最後にファンの皆さんにポジティブなメッセージをお願いします。
水垣 今年、タイトル挑戦権を取れるように一戦、一戦頑張ります。応援、宜しくお願いします。急に真面目になっちゃって……(笑)。
川尻 そうですね、チャカシでも何でもなく水垣君の凄さを自分が出てみて、実感したというか……。そういうのが凄くあるんで、日本のトップは水垣君だと思うので。続いて僕もあわよくばベルトを狙える位置に行きたいと思うので、ぜひ応援よろしくお願いします。