【TUF24】MMAの歴史が変わる? スライディング&引き込みのホールが付き合わないメイナードに判定勝ち
<フェザー級/5分3R>
ライアン・ホール(米国)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
グレイ・メイナード(米国)
シーズン22ウィナーの──現代MMAにおいて超変則ファイターといっても過言でないホールがかつてのライト級トップ=メイナードに対し、右サイドキック。直後にスライディングから足関節狙いもメイナードが呼応して足を引き抜く。スライディングから転がるホールに対し、会場は早くも微妙な空気に支配される。
右ミドルを蹴っていくメイナードに、ホールはサイドと前蹴りを続ける。メイナードのフックに背中を見せたホールは追いかけてきたところで立ち止まって後方回転、足関節のセットアップに掛かる。足を取られたメイナードは慌てず引き抜きシングルレッグへ。ホールのキムラ狙いを逃れたメイナードだが、距離を詰めたところでホールがダブルレッグ。太腿を抱えに来たホールに対し、メイナードが立ち上がる。
ジャンピングガードをすかされ背中からマットに落ちたホールが、すぐに立ち上がる。左ミドル、左ハイを見せて離れるホール、さらにスライディングとシッティングガードについに観客がブーイングを送る。この変則ファイトを楽しめない米国の観客、つまりジャッジの裁定も彼は厳しいということだ。左フックを受けて引き込んだホールはハイキックから後ろ回し蹴り、会場の空気を敵に回したホールは特に何もされていないが初回を失ったか。
2R、引き続きサイド、前蹴り、ミドルと蹴りを使うホールはフックに背中を見せて距離を取る。直後に掛け蹴りを顔面に被弾したメイナードが前に出る。ホールは前転からガードワーク、メイナードは寝技に付き合わない。接近戦でパンチを放たれると即引き込む、ホールは現代MMAで判定勝ちの目はない。ただし、突っ込んではガードから足関節を逃げるという展開を続けるメイナードも何も攻勢店はなく、何と2度目の掛け蹴りを被弾してしまう。
パウンドが足関節に優るのであれば、メイナードは寝技に付き合えば良いのだがそのようなリスクは冒せない。それでいて足関節の危険性は極まらないと認めないのが、現代MMAだ。ホールは3度目の掛け蹴りからスライディング、実はスタンドでも攻撃が当たっているのはホールの方だが、スライディングと引き込みがよりマイナス評価となるか。ホールは左ミドル、メイナードは組みつくことなくこの回を戦い終えた。
3R開始早々にスライディングを見せたホール、メイナードはスタンドからローを蹴っていく。またも掛け蹴りを2発見せ、左ミドルを当てたホールはメイナードの前進には引き込む。ローを続けるメイナード、ホールはシッティングから挑発するが当然寝技に付き合うわけはない。ブレイク後、後方回転から右足を捉えたホール。メイナードは足を抜いてスタンドへ。ホールの回転系の蹴り技でバックを取れるタイミングでも、取りに行かないメイナード。徹底して接近戦を避けているにも関わらず、離れても右ハイを受けそうになる。
蹴り技を被弾しているメイナードに対し、ジャッジはどのように判断するのか。と、ついにホールの引き込みに対しメイナードが鉄槌を落とす、ホールの蹴り上げは反則ギリギリか。残り1分、ようやく引き込みに付き合ったメイナードだったが、ここでもすぐに自ら離れる。このまま試合の流れは変わらずタイムアップに。
自分の試合を実行したのはホール。対してメイナードは、パンチを当てることができずに2R以降はテイクダウンを仕掛けることもなかった。ジャッジの判定は3-0でホールの勝利に。スタンドを維持するも、攻撃らしい攻撃を見せることができなかったメイナードの敗北と、攻撃手段としての引き込みが評価されたホール。
この判定は近代MMAのおいて、歴史的な裁定結果といえる。「やりたいような試合にはならなかったけど、立ち技でも僕が当てていた。寝技が嫌なら、殴って勝てば良いのに彼はそれもできなかった。スティーブン・トンプソンに空手も習ったし、コーチのフィラス・ザハビ、LAで練習しているケニー・フロリアンにお礼を言いたい」と勝者は語った。