【Interview】杉江大輔 「パウロは作りが速く。要所を抑える」
【写真】フェザー級での試合も視野にあるという杉江。柔術界も体重を下げる傾向にある (C)MMAPLANET
12月28日(土)、『BULL TERRIER OPEN 2013 IN HAMAMATSU』でパウロ・ミヤオと対戦した杉江大輔。日本のトップ柔術家が、世界のトップと対戦し何を感じたのか。そして、2014年の柔術ライフを語ってくれた。
――24-0という結果に終りました。
「そうですね(苦笑)。まぁ、言ってみれば一本を取られなかった。やられなかったということで……。そこで極められなかったので、ダダダダとポイントを取られて。もちろん、パウロとの差は有りますが、それは点差とはイコールだということではないかと思います。点数だけ切り取って何かを言われるとすると、他の人はそれまでにやられていますから」
――このトーナメント出場はパウロと戦う、その一心で出場し、自ら発奮させるような発言がツイッターでありました。
「こういう負けは何度も経験しているので、しょうがないです。強いていえば5分間は上を取って戦うことができた。そこから下になると、まぁイカンかったかなぁっていうのはあります」
――まずはデラヒーバ・フックに入らせないよう、トップで形を作ろうとしていました。
「そうですね。内巻きも外巻きも、割と対応できていたと思います。ラッソーを取られて、少しでも空いたら差しこんできました。そこでヒザをついたところで、巴投げのようなスイープを仕掛けられ、あれが思った以上にストロークが強くてもっていかれましたね。普通だったらやられないんですけど、トップ選手相手なのでああいう風になってしまいました。まぁ、でも試合に出た結果なので。やっていて楽しめましたよ」
――最初の4分間トップにいて、リバーサル後にパス、ニーインザベリー、マウントと畳みこまれましたが、足を戻して粘りを見せていました。ただし、2度目にパスを許した後、気持ちが切れたように見えました。
「ちょっと、しょうがないかなって(苦笑)。取り敢えず防御を続けようかなって。そういうものも含めて練習だと思っています」
――パウロは最後までベリンボロを狙い、バックから最後は絞めとフィニッシュすることに拘っていました。
「やっぱり強いです。畳まれてしまいました。執着心も持っていました。僕も試合前から上と下の我慢比べになると思っていましたが、下にされた時に立てなくて……。失点しない強さ、防御力も高いです」
――実際に戦ってパウロの強さはどこにあると感じましたか。
「作りの速さとか、要所……ポイントを抑えられました。こちらの力がでない場所を取っていますしね。それと一気の畳みこみですね。こちらの気持ちが切れかかった時とかも見逃してくれてないです。ある意味、僕にとって柔術は趣味スポーツであるので、日常に差があるし、こういう負けがあっても、そこも含めてやるしかない。敗北という事実は……、もちろん負けたくないですけど、そこは難しいですね。挑戦した結果なので、しょうがないと思います」
――2013年、最後に世界のトップと戦いました。
「1年間、試合に出まくって練習もやってきたので、やることはやりました。柔術って本来、こういう風に試合に出るものだと思います。試合に出ないと負けないのですけど。どこか負けてもタップすれば良いやっていう気持ちでやっています。生活の質を上げるためにやってきて、そういう部分も堪能してきたと思います。
ずっと勝ったままで良いんだったら、このトーナメントに出なければいいし。でも、そういうのは嫌なんです。逃げるのは嫌です。まぁ、挑戦じゃないですかね。このトーナメントにしても」
――なるほど。2014年、どのような柔術家人生を送ろうかと思っていますか。
「どうしましょうかね(笑)。変わらずに、練習はし続けます。柔術を通して、楽しく生きることができれば良いです。試合という部分では、世界柔術は出たいという気持ちもあります。試合に出るから覚えられることもあるのですが、これだけ試合に出てきて……難しい部分はありますね。このまま柔術を追求していくのかというのも、チョット現実味がないと思います。
もちろん試合には出るし、やるんだけど……年齢的にも33歳なので、将来的なことも考えないといけない。柔術って良いモノなんですよ。勝負することって、体に良いと思います。頭も使うし。そういう部分も含めて、一つひとつ試合をこなしていきます。ただ、パウロのようなチョーゼツ・トップと、アジア大会に出た世界ではベスト32や16の選手とは違います。だから自分はどこを目指すんだっていう部分でも難しい。
だから、やるしかない。楽しくやろうって。自分の健康を害してやるなら、辞めようと。ある意味、そういう感じでいきます。地道にやるしかないです。本当にコツコツと、目標を持って少ない時間を如何に練習に当てるのか。そういうのが、日本における実生活のなかでの格闘技。実生活でも格闘技に役立つことはたくさんあります。そういうのも含めてやるしかないです(笑)」