【UFN33】4連勝を賭けて――水垣偉弥 「いつも通りに戦えば…」
【写真】岡見勇信に続き、日本人2人目のオクタゴン4連勝を目指す水垣偉弥(※写真は8月28日のエリック・ペレス戦後に撮影されたもの) (C)MMAPLANET
7日(土・現地時間)、UFC Fight Night33「Hunt vs Bigfoot」でナム・ファンと対戦する水垣偉弥。
UFC戦績5勝2敗、日本人として最高の戦績を残しランキング入りしながら、ズッファ&メディアの評価も不当に低いと言わざるを得ない日本のエース。バンタム級という日本で最も層の厚い階級で世界に打って出た水垣は、そんな他人の目に構わず、日々、汗を流し虎視眈々と世界の頂点を目指している。3連勝後にナム・ファンというフェザー級から転向してきた元TUFファイターとの戦いに向け、離日直前の水垣を訪ねた。
──豪州にはいつ向かうのですか。
「もう月曜日に出発です(※取材は11月30日、土曜日に行われた)」
──コンディションの方は?
「普通ですね。前回はずっとお腹をこわしていたので、前回と比べると全然良いです」
──ナム・ファンと対戦するということで、何か対策のようなことは練ってきましたか。
「ボクシングはいつもより多くこなしてきました。最近の試合を見ると、ボクシング重視のようですし。それまでもっと柔術的にテイクダウンして寝技で攻めるイメージがあったんですが、全くそんなことないですね。もう、ボクシングばかりですね」
──ナム・ファンはテイクダウンの強化のためにアルファメールで出稽古を行っていましたよね。ところで、ボクシングの練習はどこで行なってきたでしょうか。
「自分のジムのボクサーとやったり、五反田の渡辺ボクシングジムで2回ほどスパーリングをさせてもらいました」
──改めてナム・ファンはどのようなファイターだと思いますか。
「さっきも言ったようにグラップラーでなく、ボクサーですね。ストライカーということでもなくて、打撃がボクシングばかり。あとは前に出てくるっていう感じが強いです。でも、テイクダウンもレオナルド・ガルシア戦ぐらいでしか見せていないですし、ボクシングを注意したいです」
──フェザー級から落してくるということで、フィジカル的な強さは感じられますか。
「そういうパターンの選手とは、これまでもたくさん戦ってきたので、その辺りは大丈夫だと思います。まぁ、ナム・ファンはデニス・シバーとかと戦っているわけですから、2階級ぐらい大きな選手とやってきているので、僕に対して圧力を感じることもないでしょうね。まぁ、どの程度のプレッシャーなのかはもうオクタゴンに入るまで分からないでしょうね」
──水垣選手の練習パートナーでもある金原正徳選手は、ナム・ファンともよく練習していますが、何か情報を得ることはできましたか。
「いや……、そこはあんまり聞けないですね。軽く『どんな感じですか』とは尋ねたんですけど、聞きづらいものですよ(笑)。あと、小見川(道大)さんも対戦経験があるけど、あんまり深くは聞いていないです。小見川さんはパウンドで勝っているから、『パウンドで殴りやすかったですか?』って尋ねたぐらいで」
──小見川選手の返答は?
「『大丈夫だよ』って(笑)。小見川さんが大丈夫だから、僕が大丈夫ってことはないですけどね……、元から力が違うんで(笑)。小見川さんがナムから力を感じなくても、僕は感じるかもしれないですし。それでも比較的パウンドは打ちやすかったって言っていました」
──実際のところナム・ファンに北米のレスラーやブラジルの柔術家のようなフィジカルの強さは感じないですよね。
「そうですね。まぁ、落してきたのでどうかなってところですね」
──ところでナム・ファンは11月の最初に柔術エキスポに出場して、カイオ・テハに敗れています。水垣選手との試合が決まってから、グラップリングの試合に出たことをどう思いますか。
「まぁ、良いんじゃないですか。前の試合からインターバルが空いていたので、トレーニングの一環としてグラップリングの試合に出たんだと捉えています」
【写真】11月9日にワールド柔術エキスポでカイオ・テハとグラップリングで対戦したナム・ファン。バラトプラッタで敗れた(C)SUSUMU NAGAO
──前回の試合ではエリック・ペレスに対し、バックマウントからRNCを仕掛けた水垣選手が、カイオ・テハのようにナム・ファンをグラップリングで圧倒できるのか楽しみです(笑)。
「あんなの無理ですよ(笑)。足が手みたいで。最後もわけの分からないテクニックでタップを奪っているし。とにかく、もうグラップリングとMMAは完全に別モノ。あれは何も参考にならないです。ただ、ナムが寝技を使うならハーフから潜りでしょうから、あそこと同じですよね。エルボーもパウンドも落しやすいと思います。変わってくることをやってくる選手ではないので、上を取ったときは基本的にバランスをとっていつも通りに戦えば大丈夫でしょう」
──そのパウンドですが、日本で試合をしていた時と比較すると、米国で戦うようになってからは立たれないよう注意しているのか、勢いを落して殴っているように見えます。
「それは打撃全般です。日本で戦っていたときはテイクダウンへの怖さも少なかったですし、思い切りよく殴ることが出来ていました。八景ジムの渡辺会長にもずっと『もっと思い切りやれよ』と言われています。パウンドに関しても、精神的に慎重になり過ぎていたと思います。最近、ようやくそこが抜けてきたかなって。若干、開き直れたんじゃないかと」
──感覚的に倒されない、返されないというのを体が覚えたということはないですか。
「う~ん、ガードポジションだけは取らないよう心掛けてきましたし、倒されても立つ練習をずっと重視してきました。絶対にガードだけは取れないです。グランドスラムでずっと練習させてもらってきたので……」
──そのグランドスラムで先日、堀口恭司選手や佐々木憂流迦選手と練習した田中路教選手が『今日は気が抜けなかった』と言っていました(笑)。
「ハハハハ。僕のような雑魚がいなかったということですね。まぁ旧式ですからね。僕がザクぐらいで、彼らはゲルググ。あんまりガンダムは分からないんですけど(笑)」
■ UFN33「Hunt vs Bigfoot」対戦カード
<ヘビー級/5分5R>
マーク・ハント(ニュージーランド)
アントニオ・ペイザォン・シウバ(ブラジル/4位)
<ライトヘビー級/5分3R>
マウリシオ・ショーグン(ブラジル/9位)
ジェイムズ・テフナ(豪州)
<ライトヘビー級/5分3R>
ライアン・ベイダー(米国)
アンソニー・ペロシュ(豪州)
<ヘビー級/5分3R>
パット・バリー(米国)
ソア・パラレイ(豪州)
<ミドル級/5分3R>
ディラン・アンドリュース(ニュージーランド)
クリントン・ヘスター(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
ジュリー・ケッジー(米国)
ベチ・コヘイア(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
水垣偉弥(日本/10位)
ナム・ファン(米国)
<ミドル級/5分3R>
ニック・リング(カナダ)
カイオ・マガリャエス(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
リッチー・ヴァスリック(豪州)
ジャスティン・スコッギンス(米国)
<ミドル級/5分3R>
ブルーノ・サントス(ブラジル)
クシシュトフ・ヨッコ(ポーランド)
<ウェルター級/5分3R>
ベン・ウォール(豪州)
アレックス・ガルシア(カナダ)