【AJJC2016】ライト級出場、細川顕<02>「決勝で岩崎君と当たったら? その前にカポラルを倒さないと」
【写真】カルペディエム・ホープのTシャツを着て、細川顕。柔術を生業とすることで、試合に出場する機会もグンと増えた (C)MMAPLANET
10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催される。同大会黒帯ライト級にエントリーしている細川顕インタビュー第2弾。
ムンジアル出場へ向け動き始めた細川だが、同じライト級にはカルペディアムの同門・岩崎正寛が存在する。全日本では決勝クローズアウトしたが、世界へのポイント獲得、出場権確保のために、アジアで当たればどのような選択をするのか。
その点を細川に聞くと、そのまえに2人のうちのどちらかが、ホドリゴ・カポラルに勝たなければいけないという言葉が返ってきた。
<細川顕インタビューPart.01はコチラから>
――来年の世界選手権に向けたシーズンは、ポイントの獲得有無を除けば7月24日の全日本選手権からスタート。細川選手はライト級に出場し、まず初戦で世羅智茂選手と対戦しました。
「世羅選手は柔術新聞杯が黒帯デビュー戦で、そこでも活躍していたので(※3月16日の柔術新聞杯で、ライト級準優勝)、全日本でも上がってくると思っていたんですよ。一発があるし、あなどれない選手です」
――一発、とはあの腕十字ですよね。
「全日本ではポイントも19-2と大差をつけましたけど、2回ぐらい腕十字でヤバいシーンがありましたから」
――特に最後は、世羅選手がまず飛びつき、腕を取れないとみるや足に絡みついて引き倒し、寝技で腕十字を狙ってきました。
「危なかったですね。対処でミスをしてしまいました。あれは反省点です」
――そして決勝は同門の岩崎正寛選手とシェアし、結果はトーナメント優勝となりました。岩崎選手が決勝まで上がってくると予想していましたか。
「はい。向こうの山も強い選手がたくさんいましたけど、岩崎君が上がってくると思っていました。そうなればカルペディエムでクローズドアウトできる、というシナリオを描いていて、実際にそうなって良かったです」
――岩崎選手と試合をする、というプロットはなかったのでしょうか。
「カルペディエム同士ですしね……僕はオープンクラスに出ることも考えていたので、その前に岩崎君に削られるのはどうなのかなと(苦笑)」
――確実に10分間の激しい試合になったでしょうし。
「ハハハ、そうですよね。同門の試合でそうなるのはどうかな、と思ったので決勝はシェアすることにしました」
――シェアによって細川選手が優勝、岩崎選手が準優勝という形になりました。全日本選手権は、それもアリかと思います。しかし……。
「あぁ、そうですね。アジア選手権は……。どうなんでしょうね(苦笑)」
――純粋に誰もが細川×岩崎を見たいという気持ちはあります。同時に、アジア選手権は優勝すれば、そのまま世界選手権出場のポイントを得ることができます。
「はい……アジア選手権の優勝は大きい。ポイントは3年間活きてきますし。岩崎君と当たったらどうするか、そこは正直、どうするかはまだ決めていません。お互いに決勝で当たることになったら考えよう、という感じです」
――今はまだ決められない?
「というより、他にも強い選手がたくさん出ますからね。ホドリゴ・カポラルとか」
――カポラルは、去年のアジア選手権はミドル級で出場し、今年はライト級に転向してきました。「今年の世界選手権もライト級で出ていましたけど、やっぱりデカいです。僕と岩崎君、どちらかがカポラルを倒さなければ、カルペディエム同士の決勝にはならないし、まずはカポラルを倒してから考えないと。……岩崎×カポラルって見たくないですか?」
――はい、その試合も凄く楽しみですね。
「ですよね。岩崎君が削っていくんだろうなぁ。正直、岩崎君ならカポラル相手にいけそうな気がするんですけど」
――岩崎選手に、カポラルを下して決勝まで上がってきてほしい、と。
「そんなこと言いません(笑)。反対に僕がカポラルと当たるかもしれないですし」
――もちろんその可能性もありますね。
「僕もカポラルと試合してみたいです。カルペディエム同士の対戦の前に、どちらが先にカポラルと当たるのか。そこは見ものじゃないですか。トーナメント枠次第ですね」
――やはり最も注意している選手はカポラルですか。
「はい。ホブソン・タンノも強いですよね。他にもベテランの黒帯と、新しい黒帯の選手もいて、出場人数も多いし、ライト級は面白いですよ。エントリーは今の時点で12人、まだ増えそうですね(取材はエントリー締め切り前に行われた)。そうなると優勝まで多くて4試合勝たないといけない」
――しかも、それを1日のうち数時間で……。
「ヤバいですよ(笑)。進行もサクサク進むから、1試合して少し待っていると『え、もう次の試合?』っていう。でも、アジア選手権はそういうものだと思っていますから大丈夫です。あとはトーナメントの組み合わせ次第。個人的にも楽しみですね」
――組み合わせ次第……選手としてはトーナメント表の発表までドキドキものだと思います。
「ホント、そうです。でも見る人にとっても、試合当日だけじゃなく、トーナメント表の発表も楽しみにしていてほしいですね。出た組み合わせをみながら、いろんな想像をしてほしい。それだけ強い選手がたくさんエントリーしていて、組み合わせ次第でどんな展開になるか全く違いますし」
――分かりました。アジア選手権のトーナメント表が、IBJJFの公式サイトで発表されるのは、大会前日の9月9日です。まずはその日を楽しみにしましょう。それにしてもお話を聞いていると、なんだかすごくリラックスしているようですね。
「リラックスというか、柔術がもう日常になっていますから。今回も『さぁ、アジア選手権だ!』という気負いみたいなものは、特にないです」
――今はそれだけの練習ができているということですか。カルペディエム・ホープでは、練習は杉江選手と細川選手、2人だけで?
「ずっとそうです。ジムのメンバーさんには、まだそこまでの練習ができる方はいないので、僕たち2人だけでやっています」
――杉江選手は8月25日から27日にかけて米国で開催された世界マスター選手権に出場し、マスター2フェザー級で3位に入りました。そして帰国後、すぐにジムの指導に加え、細川選手との練習に入っています。
「ずっと柔術をやってきて、結論はひとつなんです。『練習しないと勝てない』。それしかないですから」
――ジムでは2人だけの練習、しかしその2人が日本のフェザー級とライト級のトップ選手なわけで。
「その部分では、2人での練習に絶対的な信頼を置いています。杉江さんと一緒にこれだけ練習していれば――という気持ちが僕の中にあるので。あとは試合当日、その練習の成果を出すだけです」