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【AJJC2016】アジア柔術選手権、黒帯で挑む嶋田裕太<01>「優勝する自信はあります」

Yuta Shimada【写真】晴れて黒帯となった嶋田裕太。アジア選手で、黒帯一歩を示す(C)MMAPLANET

9月10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催される。

日本国内で行われる国際格トーナメントで、最大規模といって過言でない大会を前にして、嶋田裕太が黒帯昇格を果たした。紫帯時代にブラジレイロを制し、昨年までは紫&茶帯でムンジアル3年連続表彰台という結果を残す嶋田は、柔術の帯制度に関係なく行われているノーギ・サブミッション・グラップリングでも結果を出しており、国内組み技界のトップランナーであることは間違いない。

そんな嶋田が黒帯を巻いて、アジア選手権に臨む。帯叩き直後の嶋田に黒帯昇格、そしてアジア選手権について尋ねると、そこでは一貫してムンジアル優勝という言葉が聞かれた。


──人生最後の帯叩きを終えました。おめでとうございます。

「ありがとうございます!!」

──今の率直な気持ちを聞かせてください。

Darshima「帯叩きはメチャクチャ痛いのですが……叩かれている最中は皆の顔を見る余裕は一切なくて(苦笑)。でも、皆がどれだけ僕のことを祝福してくれているのが伝わって来て……。帯で叩かれて、そんな風に感じられるのは如何なモノかと思うのですが、本当に皆の気持ちが嬉しいです(笑)。

一発が痛いほど、また数多く叩かれるほど祝福されているような気がしています。そう身をもって感じます」

──帯叩きは賛否両論あるブラジリアン柔術の風習とされています。

「やりたい人がやれば良いと思います。僕も帯叩きが嫌な人を帯で叩いて祝福したくないですし。そうやって祝福されたい人なら、思い切り叩いてお祝いしても良いと思っています。罰ゲームではなく、祝い事なので。強要されているところを見たこともないですし、僕にとっては喜びの儀式以外、何物でもないです(笑)」

──アジアまで2週間、道着が擦れて痛くないですか

「まだ若いですから、そこは大丈夫です……。と言いつつ、一部は痛みが残るかもしれないですけど、実際問題として分からないです。青帯になった時、僕は高校生の夏だったのでプール授業もあるし、そんな傷なんてつけられないですから、皆優しく祝ってくれて。

紫帯になった時は東日本大震災の年で、そういうことをして喜ぶムードではなかったです。茶帯の時は森(雄大。ネクサセンス所属、黒帯。嶋田のアドバイザー的存在、日本を代表する柔術ウォッチャーでもある)さんが不在だったので(笑)。なので、これまでは大したことはなかったです。

今回はダントツに痛かったので、明日からの痛みは現時点では想像できないです(笑)」

──柔術はコンペティションの結果だけで、その人の技量、そして柔術への理解度、練度を図れるものではないとはいえ、この時点での黒帯昇格。ムンジアルでは初戦敗退だったことを踏まえ、どのように捉えていますか。

「植松(直哉)先生が黒で行くかと言っていただいた時点で、厳粛に受け止めさせていただきました。僕の目標はムンジアルの黒帯で優勝することです。その目標を達成するために残された選手寿命はもう長くありません。

実際に茶帯でも海外で戦ってきて、日本では若いって見られていても僕より年下と戦う機会が本当に増えてきました。茶帯でいる限り、黒帯の世界を獲れるチャンスはない。なので、そのバッターボックスに立つ必要があったんです。

3年前、僕と一緒に紫帯で戦った選手たちが……アイザック・ドーダーラインは今年のムンジアルで3位になっています。もう1人の3位、イアゴ・ジョルジ・シウバは僕がブラジレイロの決勝で戦った相手なんです。

僕が勝ったことがある選手たちが黒帯で表彰台に立っている。差をつけられた、実力でも離されたという気持ちになりました。でも、経験を積むという意味でも彼らと同じ土俵に早く立ちたいと思っていました。

確かに今年のムンジアルは初戦敗退でしたが、優勝以外は準優勝でも、気持ち的には変わらなかったと思います。優勝したクレベル・フェルナンデスはパンで普通に勝てた相手なんです……」

──トーナメントはクジ運的なモノがあるのも確かです。

「正直、僕が負けた相手……バブロ・デュトラは僕より強いです。ただ、優勝した選手に関しては──って思うと……。黒帯で優勝するためには、その場で試合に出るチャンス、資格を手にしないといけないし、黒帯を巻いて良いと先生に言ってもらえるなら、巻いてその場に挑んでいきたいです」

──そして、黒帯になるだけでなくムンジアルに出るにはポイントを獲得しないといけない。それが黒帯の世界大会です。資格争いが存在し、その一歩がアジア選手権です。

「アジアで勝つと、2年間はムンジアルに出ることができます」

──ただしライトフェザー級は国内でも最も層が厚い階級といえます。初黒帯で、その場で挑み結果を残すことにどれだけ自信を持っていますか。

「正直、優勝する自信はあります。もちろん厳しい戦いになる覚悟もできていますし、簡単じゃないことも理解していますが」

<この項、続く>

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