【PXC40】田中×水垣 「堀口選手が負けていたら……」(田中)
【写真】19日の堀口恭司のUFCデビューには、田中、水垣ともにそれぞれの刺激を受けている(C)MMAPLANET
25日(金・現地時間)にグアムのUOGフィールドハウスで開催されるPXC40で地元のカイル・アグオンの挑戦を受け、PXCバンタム級の王座防衛戦に臨む田中路教とUFCバンタム級ファイター水垣偉弥の対談、第2弾。
キャリア5戦目、22歳で海外のケージ大会への出場を決意した田中のステップアップ方法を水垣はどのように捉えているのか。そして、堀口恭司のUFCデビューに二人は何を感じているのかを尋ねた。
<田中路教×水垣偉弥対談、Part.01はコチラから>
──ところで水垣選手は、田中選手の対戦相手のカイル・アグオンについて、何か気になる点はありますか。
水垣 スイマセン、見たことがなくて……。
──リーチが長くて、スクランブルに強いファイターです。
田中 スクランブルは僕も自信があるので、そこは大丈夫かと思います。まぁ、リーチは確かに長いですね。ラッセル・ドーンとやった時は、トレヴィン・ジョーンズと戦った時と比べるとレスリングっぽい動きが多かったですね。あと、最後に三角も見せていましたけど、特に……。それでも、あの手足の長さは、打撃よりも組技でのほうが嫌ですね。
【写真】挑戦者カイル・アグオンのこのリーチの長さ、田中は組技でより警戒していた(C)MMAPLANET
──館内が凄く暑くて、汗の量が半端なく多くてドーンもアグオンも滑りまくっていました。その分、ホールドできなくてスクランブルの展開が多かったかとも思います。
田中 ソレはチョット、嫌っすね。
──水垣選手からすれば、5戦目からPXCに出てUFCを目指している若い選手をどのように思いますか。
水垣 PXCで戦う、そしてジムの練習環境も含めて、素晴らしいことだと思います。UFCで戦ううえでは、海外での経験、ケージの経験は必要だと感じているので。飛行機に乗って戦ってみるのも、やっぱり若いうちに経験しているほうが僕は良いと思います。23歳だよね?
23歳って、僕はまだCAGE FORCEにも出る前ですからね。僕の場合は、CAGE FORCEでケージもヒジも使えない者同士が戦うという経験をさせてもらったのが良かったです。ヒジ打ちを試すことができたり。いきなりWECでケージ、そしてヒジ有りルールに慣れた選手と戦うのは厳しかったと思います。だから、ノリもPXCで色々なタイプの選手、ユニファイドルールで戦う経験を積むのは良いステップアップ方法ですよね。飛行機に乗って、全然知らない土地で、ユニファイドで戦う。それを23歳でやっているのは、UFCを目指すうえで良いことです。
──今すぐにでも、出たいという気持ちになっているのではないですか。
田中 それはありますが……、勝村(周一朗)さんとステップアップ方法については話し合ってきたので……。でも、すぐにでも出たいです(笑)。
──その言葉を受けて、水垣選手宜しくお願いします。
水垣 いきなりトップと当てられるような感じでの契約は避けるべきです。あの大舞台を経験したこともないですし、ある程度下から経験を詰める選手と戦っていくべきだと思います。契約金を高くして、上の方といきなり戦うと、厳しい結果に終わりリリースされる恐れもありますから。少しずつUFCのなかでステップアップできるようにしていくほうが、最終的にチャンピオンを目指すには良いかと思います。
──つまり水垣選手は、田中選手にはUFCで戦う能力が備わっていると?
水垣 下の方の選手と戦う力は、有ると思います。
田中 ありがとうございます。もちろん、これからしっかりと打撃の精度を上げていかないといけないですし、足らないことがあることは理解しています。スタンドでプレッシャー負けすれば後手後手に回ってテイクダウンも取れなくなりますし……。打撃で打ち合える力というか、圧し負けない力は凄く重要だと思います。
【写真】5月に王座を奪取した相手クリサント・ピットピットンゲは田中にとってキャリア最強のストライカーだったが、カウンターパンチャー。ラッシュを掛けるファイターとの経験が必要だと田中は理解している(C)MMAPLANET
クリサントス・ピットピットンゲと戦えたのは良い経験でしたが、彼はカウンターの選手なのでラッシュを掛けてくる選手、プレッシャーを掛けてくる選手とはまだ経験が積めていません。そこをしっかりと、こなしておきたいです。
──PXCの防衛戦前に敢えて、UFCの話題を振ったのは先日、堀口恭司選手がUFCデビューを飾り、何か心理的な影響であったのではないかと思ったからなのです。
田中 単純に嬉しかったです。同い年の日本人選手がUFCでKO勝ちデビューができる。UFCの日本の若い選手への見方が変わってくれれば、僕にとっても良いことだし。先を越されたとか、そういうのは全くなかったです。堀口選手の方が戦績も積んでいますし、僕は自分が行ける時期に行ければ良いと思っています。
逆に堀口選手が負けてしまったら──と思う方がゾッとしてしまいます。正直、日本人選手はUFCで今、勝てていないですから。そのなかで、日本で一番注目されている若い選手がデビューをしたわけですから、堀口選手が1Rでこけてしまったら、もう僕らは……日本のMMAはどうなっちゃうんだって。堀口選手が通用しなかったら、どうなるんだっていう気持ちでいました。日本人は若手もベテランもダメってUFCが思い、俺の評価も下の下、底辺中の底辺になるなって。
水垣 ……、やはりそれは私の責任だということで……(笑)。
──確かにベテランはダメと言っているようなものですね(笑)。
水垣 そうですね……、日本人のファイターの評価を落してしまい、ゴメンナサイ、田中さん(笑)。責任を感じます(笑)。
田中 いえいえ、勝ち越している水垣さんに言っているわけじゃないですから……。
水垣 う~ん、ノリはファンや業界をかなり敵に回しましたね(笑)。でも、それぐらいの気持ちでないとね。堀口選手の勝利もそうだし、ノリの発言もそうだし、僕の階級には若い子が多いので、ベテランも刺激を受けますよ。ちょっとでも気を抜けば、僕の居場所はなくなるというプレッシャーは常に感じています。だから、彼らが伸びてくれると、自分も頑張れます。追いつかれないよう上を目指そうって。
■ PXC40 対戦カード
<PXCバンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]田中路教(日本)
[挑戦者]カイル・アグオン(グアム/米国)
<フェザー級/5分3R>
タクミ(日本)
ウィル・チョープ(フィリピン)
<女子ストロー級/5分3R>
VV Mei(日本)
パトリシア・ヴィドニック(米国)
<フライ級/5分3R>
ジョシュ・ドゥエナス(北マリアナ諸島/米国)
マクレーン・アルフレッド(グアム/米国)
<ライト級/5分3R>
加藤忠治(日本)
タイロン・ジョーンズ(グアム/米国)
<フェザー級/5分3R>
カイル・レイジェス(グアム/米国)
キム・テギュン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
シェーン・アルバレス(北マリアナ諸島/米国)
パク・ハンビン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
トレヴィン・ジョーンズ(グアム/米国)
アルヴィン・カクダック(米国)
<バンタム級/5分3R>
ジェイ・タイロン(グアム/米国)
ロマン・アルバレス(グアム/米国)