【UFC202】ガーブラント戦が決まった水垣偉弥<02> 「自分にとっては最大のチャンス」
【写真】いい具合の抜け感が、精神的な強さに通じているように感じられる水垣偉弥 (C)MMAPLANET
8月20日(土・現地時間)にネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC202「Diaz vs McGregor2」でコディー・ガーブラントと戦うことが、ほぼ決定している水垣偉弥インタビュー第2弾。
トーマス・アルメイダ、そしてジミー・リベラから急遽ガーブラントと戦うことが決まった過程を説明してくれた水垣は、果たしてガーブラントという超新星について、どのような印象を持っているのか。今回はこの対戦の意義を語ってもらった。
<インタビュー第一弾はコチラ>
──急遽、ジミー・リベラからコディー・ガーブラントに!! そこも即答されたのですか。
「一度、渡辺会長に連絡をしました。会長は『自分で決めなさい』ということだったので、すぐに戦いたいと返答した形です」
──リベラとガーブラント、水垣選手にとってはどちらの方が燃える相手だったのでしょうか。
「それはガーブラントです。チャンスという部分で考えると……。どちらと戦っても危ない相手です。危険度でいえば変わらない。だったら、勝ってオイシイ相手と戦いたいです。スタイル的にリベラはテイクダウンを織り交ぜてくるタイプですし、実は自分よりも極端に背が低い選手って苦手なんですよ(笑)。
ジミー・リベラって162センチぐらいで、打撃とテイクダウンを併せ持つ。一番苦手なタイプなんです。そういう意味ではガーブラントの方が怖いとか全くないです。しかも、勝った時に得るものはガーブラントの方が大きいので」
──ジミー・リベラはともかく、ガープランドも向こうありき。いってみるとドミニク・クルーズに負けない、インパクトの大きな勝ち方が水垣選手を相手にできれば、スッと挑戦権獲得というストーリーが見えます。
「ハハハハ。良いんですよ。ソレで。もう僕は32歳、ここから爆発的に実力が上がったり、人気が出たりする選手ではないとUFCには思われているでしょうし。日本大会で4万人とか集まると、僕だけでなく日本人選手が軸になるマッチメイクもあるでしょうが、現状では日本人はこういう試合を勝ち抜くしかないです。
降ってわいたチャンスを拾っていかないと、トップに上がるチャンスはないと思っています。本当にガーブラントのようなUFCが最も期待しているような若い選手とぶつけてもらえるのは、自分にとっては最大のチャンスです。
格闘技はチャンピオンになれた人となれなかった人、この2種類しか存在しないと思っているので。だから、このチャンスをモノにして上にいきたいです」
──思えば2009年、水垣選手がWECと契約したのは代役でミゲール・トーレスという時の世界バンタム級王者に挑戦した試合でした。あそこで好試合をやってのけ、今に通じる一歩を踏み出した。あの時、伸るか反るかという状況で前に進めたことが、今の考えの基礎となっていることは?
「それは……言われてみると、あるかもしれないです。そういうチャンスをモノにできなくて、そこで終わる選手が多いのも理解しています。でも、僕の場合は掴むことができた」
──今となっては……トーマス・アルメイダは凄く危険な相手だと思っていたのですが、何かパンチをこねるところもあるし、ガープラントの方がより打撃は怖いと思ってしまう節もあります。実際、ガープラントの力はどのように評価していますか。
「あの試合に関しては、アルメイダは調子が悪かったと思います。打撃の伸びも今一つで。ガープラントに関しては……、未知数です。その割には凄く評価が高い」
──タンキーニョ戦、アルメイダ戦とあのリーチで狙い澄ました一発が打てるのは脅威では?
「怖い部分は大きいです。ただ、リーチが長いのは気にならないです。ストレートが巧いという部分では怖さがありますが。フック系は見えるというのか、エリック・ペレス戦にしても、フランシスコ・リベラ戦にしても大丈夫でした」
──確かにフックを見切って、打撃で打ち勝ってテイクダウンまで持ち込めたように、水垣選手がトータルで強さを見せた相手は、打撃系でもフック中心でした。
「なぜか理由は分からないのですが、フックは見やすいです。ただし、ガーブラントは左ストレートがあって、右も強い。パンチの回転も速い。パンチは全般的に注意が必要です。あの回転が速いパンチには付き合いたくない。ガーブラントのリズムで戦ってはいけないです」
──遠距離で強い選手って、近い距離でも強くないですか。
「そうですね。相手のパンチが見えていて、ディフェンスもできている。渡辺会長の教えは、パンチが見えるようになるために最初は近距離だけのスパーをやらせるっていうことなんです。そうすると、遠い距離も見えるようになるって」
──ディフェンスに関して、水垣選手は打撃のみの相手のパンチは余りもらわないですよね。
「実はダウンをしたのってグラップラーとかレスラーが相手の時なんです。テイクダウンに意識がいってしまうと、パンチを被弾する。完全なストライカーを相手には、あまり手痛いダウンを喫していないはずです。ある程度、打撃のみになってくると勝機はあると思っています。勝負ができるって」
──ここぞという一番で、トップの壁に跳ね返されてきた過去があります。だからこそ、トップ級の期待を受けるガープラントには負けられない。
「トップ中のトップには勝てていない。そういう風に見られていると思います。だからUFCもガーブラント×水垣なんでしょう。水垣に当てて、勝てばタイトル戦線にある選手で、負けるようだとそこまでじゃないと判断する。そのために僕と当てているんだと思います。
でも、僕からすればトップに上がるために、なにか一つ欲しいなかで今回の試合は凄いチャンス。人参がぶら下がった状態ですね(笑)」
──日本のエース、これでズッファとの契約下にある試合がWECとUFCを合わせて18試合目、あの岡見勇信選手と並び日本人最多となるので、まだそんな表現で……重みのある言葉は出てこないものですか(笑)。
「ヘヘヘ。こないだのマイケル・ビスピンのように良いコトを言えたら、もうちょっと人気が出たのかもしれないですね」