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【HEAT37】J-MMAトップ中量級戦。スギモト×坂下=ミドル級&カルヴァロ×レッツ豪太=ウェルター級戦

Sugimoto【写真】加藤久輝を破って移行、9月にスイスで67秒TKO勝ちしているミドル級王者のスギモト(C)MMAPLANET

6日(日)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT37。総合ルール3つのチャンピオンシップは、日本のMMA界にあって特異な立ち位置にあるHEATらしいマッチアップだ。

パンクラス、DEEP、修斗という3つの老舗プロモーションが地方大会や人材育成イベント、あるいはプレリミで試合を組むことで上下一体型──他とリンクしない興行形式を取っていたのも今は昔。今やジム単位で一つのプロモーションに選手を出場させるという形が例外で、その多くは個々の選手が活躍の場を得るためにそれぞれのプロモーションで試合をし、あるいはプロモーション間を移動することも当然という時代になった。

そして限られた機会を待つだけでなくGrachan、REAL、Grandslam、TTFCなど活発化してきた独立/インディー系&フィーダーショー系イベントとの境界線も薄まりつつある。そんななかHEATの特徴は中部・東海地方を基盤にし、日系ブラジリアンの重用と海外からファイターを招聘するというものだ。

祖根寿麻の負傷欠場によりフライ級の春日井健士が代役で手塚基伸に挑戦するバンタム級選手権試合は別として、そんなHEATの特色が際立つのがミドル級タイトル戦=王者エンリケ・スギモト×坂下裕介、ウェルター級タイトル戦=王者ネルソン・カルヴァロ×レッツ豪太の2試合だ。

Carvalhoスギモトとカルヴァロはともに昨年3月に獲得したベルトの初防衛戦。両者はカルヴァロが所属するスイスのファイトムーブ・アカデミーの同門でもある。カルヴァロは1982年11月生まれの33歳。MMAキャリアは6勝3敗ながら、高木健太を倒した一戦では鋭いキックボクシングとテイクダウン、柔術をしっかりとミックスさせたウェルラウンダー振りの発揮。最後はマウントパンチでベルトをその腰に巻いた。

Let's Gota特に右ミドルで高木の出足を止め、打ち気を誘っておいて組みつくあたりはしっかりとMMAを咀嚼していることが窺えた。体格的には純粋にウェルター級というよりもライトとウェルター級の間で、やや小柄ではある。それでもパワーとスピードを兼ね備え、レッツ豪太もサウスポーということで如何に右ミドルを受けない距離を構築するかが重要になってくる。

一方、日系ブラジリアンのミドル級王者スギモト。2度目の王座獲得なった加藤久輝戦では、その後ベラトールで鮮烈な全米デビューを果たすことになる加藤の左を序盤に被弾し2度に渡りダウンを喫する。ここでスギモトがすぐに組みつき、またはガードからワキを差して立ち上がるなど柔術&スクランブル力で危機を脱した点に注目したい。

Sakashitaしっかりとした組み技をベースに粗さが残る打撃戦で空道のエースに殴り勝ったスギモトに挑戦する坂下は現在HEAT~Grandslam~REAL、そしてHEATとインディーMMAで4連勝中だ。ボブ・アームストロング戦、そしてノシュワン・カンザダ戦では、パワフルな打撃に飲み込まれることなく、冷静にテイクダウンを決めトップを維持し判定勝ち。フィニッシュを──という坂下陣営の志は高く、続くキム・デウォン戦では100丁度でパウンドアウトしている。

フィニッシュができるのも、その前段階の堅実な打撃とテイクダウンの精度が上がったからこそ。ただし、チャンピオのスギモトは過去3試合の海外勢とは違い、組み技の精度が高い上で打撃でもラッシュを掛けることができる。

国内マットでは決して層が厚くないウェルター、そしてミドル級。この2階級のタイトル戦はインディーMMAで括られることなく、日本のトップ中量級ファイトといえるだろう。

■ HEAT37対戦カード

<HEAT総合ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] エンリケ・スギモト(ブラジル)
[挑戦者] 坂下裕介(日本)

<HEAT総合バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] 手塚基伸(日本)
[挑戦者] 春日井健士(日本)

<HEAT総合ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者] ネルソン・カルヴァロ(スイス)
[挑戦者] レッツ豪太(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
プリンス・アリ(イラン)
キム・ギルジェ(韓国)

<総合フライ級/5分3R>
キム・キュソン(韓国)
加マーク納(日本)

<キック・スーパーヘビー級/3分3R>
楠ジャイロ(ブラジル)
ホ・ジェヒョク(韓国)

<キック・ミドル級/3分3R>
田中STRIKE雄基(日本)
廣虎(日本)

<キック・ライト級/3分3R>
般若HASHIMOTO(日本)
利×希(日本)

<総合85キロ契約/5分3R>
清(日本)
フェリペ・スギモト(ブラジル)

<総合バンタム級/5分3R>
竹本啓直(日本)
辻川力也(日本)

<総合無差別級/5分3R>
ルーカス・タニ(ブラジル)
チョン・ダウン(韓国)

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