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【ALL JAPAN JCC】岩崎正寛、新スタイルで全日本フェザー級制覇

Iwasaki Masashiro【写真】トップからの攻めで全日本を制した岩崎正寛(C)HIROYUKI KATO

日本一の柔術家を決する「第16回全日本ブラジリアン柔術選手権」が19日(日)、東京都新宿区のコスミックスポーツセンターにて開催された。青帯~黒帯まで、全国から総勢800名近い選手が参加する国内最大規模の大会となり、熱戦の数々は午後9時まで続くほどだった。
Text by Hiroyuki Kato

文字通り階級別日本一決定戦である黒帯の部。まずは世界的にも再激戦区である-70キロのフェザー級で決勝に勝ち上がったのは岩崎正寛(CARPE DIEM)と大塚博明(PSBJJ Ogikubo)。20代の若き黒帯柔術家の台頭は、世代交代を印象づける形になった。

Masahiro Iwasaki岩崎が序盤にテイクダウンで2ポイントを先制。昨年の世界柔術後から取り組んできたレスリング、トップポジションのキープが冴え、大塚の三角絞めに一瞬入られたものの、ほぼ完勝といえる内容でこのまま2-0で勝利した。

「自分はディープハーフ等からのスイープの印象が強いと思いますが、今回は準決勝の塚田市太郎さんに使ったのみです。一回戦、決勝共に練習して来たテイクダウンとトップゲームで勝ち切れたので、日頃の成果が確認できたのは収穫の一つでした。でも、まだまだ勝ちに徹しすぎて、少し固い部分もあり、攻めきれなかった点もありました。戦いの幅を持たせるという点は次の課題となっています」
 
このコメントにあるように全日本選手権も、世界を見据える岩崎にとっては通過点の一つでしかない。既に9月12&13日の両日に東京武道館で開催されるアジアオープン選手権に向けて、練習を再開。世界で勝ち抜くために、フィジカル&コンディショニング・トレーニングも積極的に行っているという。

「乳酸の流すスピードを速めるトレーニングを行っているんですが、よく泡を吹いて倒れますし、たまに失神しかけたりします。それを一人で行わなければいけないので、毎回精神力をマックスまで持って行かなければいけないが辛いですね……(苦笑)。毎日憂鬱になるぐらいトレーニングしているのですが、自分が精神的に苦しい事をした分だけ、相手を苦しめる事が出来ると思ってやっています。勝利に対する執着心が強くなった結果だと思います。自分が壊れる寸前まで鍛え上げ、相手に全力をぶつける。そんな嫌がられる選手になりたいですね(笑)」

対世界を意識し出稽古や合同練習を行う柔術家が多いなか、岩崎は基本的に所属道場CARPE DIEMでしかトレーイングを行ってない。師の石川祐樹、そして道場の練習仲間に対する絶対的信頼感もあるが、自身の練習目的の違いもあると話す。

「スパーを重ねて強くなる選手もいますが、僕はその才能はない。自分の練習をするときは、どういうタイプの選手、どんな練習をするかまで決めています。だから色んな選手と練習することを重視してはいないので、出稽古には行きません。ただ、毎週一回だけ中村大輔さんに来てもらっています。マンツーマンの練習は本当に為になりますね。選手でいられる時間は短い。自分が行けるところの限界の景色を見たい、そしてCARPE DIEMを広げたいです」

今年はヒザの負傷もあり、諦めざるを得なかった世界柔術出場、その権利をアジアオープンで得ることができるか。これからも、若き黒帯に注目したい。

■黒帯フェザー級結果

【優勝】岩崎正寛(CARPE DIEM)
【準優勝】大塚博明(PSBJJ Ogikubo)
【3位】塚田市太郎(DAMM FIGHT JAPAN)、カルロス・キムラ(IMPACTO JAPAN )

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