【RFC24】イ・イェジと対戦しなしさとこ「38歳の1年生という感じです(笑)」
【写真】そのパワフルな姿勢は変わらず。しなしがロードのケージでどのような試合を見せるか (C)TURTLE SPRING
25日(土)に東京都江東区の有明コロシアムで開催されるRoad FC24。韓国ナンバーワンMMAイベントの日本大会第一弾で、しなしさとこがイ・イェジと対戦する。
当初の予定ではパク・ジエと人妻対決に臨む予定だったしなしだが、パク・ジエの負傷欠場で急遽、女子高校生ファイターと戦うことになった。結婚、出産を経験し昨年6年振りに現役復帰を果たした彼女は、今、新たな格闘家人生のスタートラインに立とうとしている。
Text by Turtle Spring
――ROAD FC日本大会のイ・イェジ戦についてお聞きする前に……本日はタンクトップ&スパッツ姿でのご登場で驚きました。
「ハハハ。最近はタンクトップ、スパッツ、スニーカー、そんな感じで毎日を過ごしています。今は週6日ぐらい練習していますね。週7日の時もあります」
――ほぼ毎日じゃないですか。
「友人の直希(高橋直希=GRACHANに出場)にマッハ道場を紹介してもらってから、若林次郎くんも交えてマッハ道場で練習させていただいています。マッハさんのフィジカルトレーニングを受けたり、後藤龍治くんにキックを習ったり、土日は禅道会横浜支部で瀧本美咲ちゃんと一緒に練習しています。おかげで今、格闘技人生の中で一番、練習環境が整っていますね」
――しなし選手がプロデビューした2001年あたりは、女子が総合格闘技の練習を行う環境は、それほど整っていなかったように思います。
「はい。だから私も、これほど真剣に格闘技に取り組むことができているのはいつ以来だろうか、って思います。最近は柔道を始めた頃を思い出すんですよ。ひとつの目標に向かって、ただ純粋に強くなることに一生懸命で、それ以外のことは全く考えていなかったです」
――総合でプロデビューして以降は、柔道時代や現在と、気持ちの面で何か違っていたのですか。
「プロデビューしてからは、ただリングの上で戦うのが楽しいだけでした。楽しくて仕方なかった。でも今はそれだけでは勝てないですからね」
――では今それほど、しなし選手を真剣にさせているものとは何なのでしょうか。
「私も38歳になりました。あと何年、格闘技ができるか分かりません。だから悔いは残したくない。自分が好きでやっていることなので、中途半端なものにもしたくない。そのために新しく、秘密の特訓に取り組むようになりました」
――秘密の特訓?
「マッハ道場で打撃クラスを担当されている諏訪部トレーナーに、パンチを指導してもらうようになったんです。私が茨城のマッハ私が茨城のマッハ道場本部に行くこともあるし、諏訪部トレーナーが東京に来て教えてくれることもあります。私も十数年やってきて、初めての先生ですね。38歳の1年生という感じです(笑)」
――1年生というぐらい、打撃に関してはイチから学んでいるということですね。
「ずっと打撃はやらなきゃいけないと分かっていたのに、逃げていました。もちろんパンチも練習はしていましたけど、諏訪部トレーナーの指導は今まで一緒に練習してきた人とは違うんです」
――指導はどんな内容なのですか。
「基礎だけです。間合いとワンツー、それだけ」
――マッハ道場では岡野裕城選手(※20日、DEEPで北岡悟と対戦)も、専門誌のインタビューで諏訪部トレーナーとの練習に関し、同じことを言っていました。
「あとは私が得意な……柔道の動きとリンクするようなものを教えてもらっています。こちらが真剣に教えてほしいと言えば、真剣に教えてくれる人。選手の立場になって、『こうじゃなきゃいけない』と頭ごなしに決めつけてくるわけでもないし、『こんなこともできないのか?』という雰囲気を出すわけでもない。ただ純粋に指導してくれるトレーナーさんですね。私の右手を見てもらえますか?」
――人差し指と中指のナックル部分だけが擦り剝けていますね。
「つまり、ここしかミットに当てていないんです。だからようやく、パンチのインパクトの瞬間が分かるようになってきました。私は感覚で戦う選手だから、体に染みつくまでゆっくり長いんですけど、その感覚が分かってから今は、本当にパンチの練習が楽しいですね。こんなに嬉しいことはないですよ(笑)」
――こうしてお話を聞いていても、パンチを学ぶことに対して嬉しそうな雰囲気が伝わってきます。
「それも今までやってきたことがあってこそ、だと思うんです。打撃ができない、分からないなりに練習してきました。それが今に繋がっているというか」
――しなし選手はデビュー当初から相手との距離を取り、足を使って回っていました。そこから組んで投げ、サブミッションに持ち込んでいた。諏訪部トレーナーから学んでいる間合いの取り方は、当時の距離の保ち方とも異なっているのでしょうか。
「いや、当時も間合いは取っていたけど、感覚として身についているものではなかったんですよね。単に相手の打撃が当たらない距離と、自分が組める距離。中途半端な距離にはならないように、とだけ考えて。それだけです。でも今は、まだ全部できているわけじゃないけど、距離感、間合いを掴み始めているんです。諏訪部トレーナーに教えてもらったことを、自分で『ああかな、こうかな』と考えながら……今は普段からそんなことしか考えていないですね(笑)」
――拳の皮のめくれ方を見ても分かります。
「パンチでナックルの部分がちゃんと当たることが凄いという(笑)。だからまだ1年生なんですよ。拳も中指の部分は、一度めくれてから硬くなっているところです。今は人差し指の部分が痛くて仕方ないですね。でも柔道もそうだったから。始めて1週間ぐらいで耳が湧いたので、同じような感じで一生懸命、練習しています」
――諏訪部トレーナーとの練習は、どれくらいのペースで行っているのでしょうか。
「週に3回から、多い時は4回ぐらい。1回に2時間から2時間半ぐらいですけど、もっとやりたいです。まだ物足りないというか、もっと練習しないといけないって思います」
――パンチを学ぶことで、得意の投げに入る方法やタイミングなども、変わってきましたか。
「以前より投げやすくなりました。土日は瀧本美咲ちゃんと練習しているんですけど、彼女とマススパーをやっていても、『前とは全然違うね』と言ってくれるんです。打撃から投げまでの流れが、すごくうまく繋がっているって。昔はパンチのことがよく分からないなかで、ガムシャラに叩いていただけだったかもしれません。今はとにかく、自分のものになるまで打撃の練習をしっかりやりたいです」
■ ROAD FC 24 対戦カード
<RFCミドル級王座決定戦/5分3R+Ex>
福田力(日本)
ジョン・オジン(韓国)
<無差別級/5分3R>
カルロス・トヨタ(日本)
チェ・ホンマン(韓国)
<ヘビー級/5分3R>
川口雄介(日本)
チェ・ムベ(韓国)
<ミドル級/5分3R>
ミノワマン(日本)
キム・デソン(韓国)
<バンタム級/5分3R>
中原太陽(日本)
キム・スーチョル(韓国)
<88キロ級契約/5分3R>
高瀬大樹(日本)
ユン・ドンシク(韓国)
<女子アトム級/5分2R>
しなしさとこ(日本)
イ・イェジ(韓国)
<ライト級/5分2R>
大原樹里(日本)
イ・グァンヒ(韓国)
■ YOUNG GUNS 23 対戦カード
<フェザー級/5分2R>
今野寛和(日本)
ホン・ヨンギ(韓国)
<バンタム級/5分2R>
佐藤将光(日本)
キム・ミンウ(韓国)
<フェザー級/5分2R>
原井徹(日本)
キム・ホジュン(韓国)
<フライ級/5分2R>
南出剛(日本)
キム・ヒョリョン(韓国)
<フェザー級/5分2R>
榎本明(日本)
ベク・スンミン(韓国)
<ミドル級/5分2R>
尾崎広樹(日本)
中村勇太(日本)
<フェザー級/5分2R>
鷹島大樹(日本)
杉山和史(日本)
<フェザー/5分2R>
小金翔(日本)
沢井隼人(日本)
<バンタム級/5分2R>
大場翔(日本)
金井卓也(日本)
<ウェルター級/5分2R>
鈴木友希(日本)
田辺丈人(日本)