【ONE27】ルンピニー王者からMMA世界王者へ。デェダムロン、快挙なるか
【写真】フィリピン人のロイ・ドリゲスとタイ人のデェダムロンの間で初代ONEストロー級王座が争われる(C)PXC&MMAPLANET
6日(水・現地時間)、22日(金・同)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE27「WARRIOR’S QUEST」で青木真也×安藤晃司の間で争われるONE世界ライト級選手権試合以外に、初代世界ストロー級王座決定戦が組まれるという発表がONEよりあった。
無差別級でスタートしたMMAの歴史、20年近い年月を経てUFCに125ポンドのフライ級王座が誕生したが、115ポンド(56.2キロ)という階級で名の通ったタイトルは修斗フライ級王座しか存在しないのが現状だ。パンクラスもライトフライ級の名称でタイトル制定が決めたものの、国内でもDEEPはストロー級王座を持たない。
海外で目をやっても、ブラジルでは時折り同階級の試合は組まれるもののド王座を制定したのはコロッセウ・チャンピオンズというマイナープロモーションぐらいしか話を聞かない。アジアでさえも軽量級天国のフィリピンのPXCがようやく試合を組み始め、URCCではピン級(119ポンド)のベルトが争われていた時期があった程度だ。今回、ONEストロー級王座決定戦に出場するのは、そのフィリピンからONE初陣を迎えるロイ・ドリゲスと、ここまでフライ級で4連勝中のタイ人デァダムロン・ソーアミュアイシルチョークだ。
ドリゲスは昨年11月にPXCでストロー級戦を戦っているが、盟友ユージーン・トケーロに続きONE入りを果たしたことになる。ボクシングで40戦以上のキャリアを誇るドリゲスは、MMAではスプロールからバック奪取、ガードを取ってもヒールを仕掛けるなどウェルラウンダーのイメージが強い。ウェルラウンダーといえば、ルンピニー3階級という天上人のような経歴の持ち主デェダムロンもイヴォルブMMAで柔術のトレーニングを続け、寝技を厭わない。まさに天賦の才があったのだろう首相撲とテイクダウン、あるいはガードワークを融合させた唯一無比のMMAスタイルの持ち主だ。
ヒザ蹴り、ヒジ打ちとムエタイの凄味を随所で発揮しつつ、腕十字やRNCで相手を仕留める。仮にバリバリのレスラーとの対戦となれば、その柔術力がどこまで発揮できるか疑問は残るが、ボクシングベースのウェルラウンダー相手にデェダムロンは、その真価を発揮するファイトを展開できるだろう。タイ人としてはランバー・ソムデートM16の修斗世界フライ級王座に続き、MMAでの王座奪取という公算は高い。
そして、ほぼ国内勢で占められている修斗フライ級に対し、ONEストロー級戦線ではさらなる広がりが見られそうだ。それはズバリ、ロシア、東欧、中央アジア勢の参戦だ、今大会でもフェザー級でロシアからティモフィ・ナシューヒンとマラット・ガフロフ、さらにカザフスタンからクアット・カミトフが出場するが、これらの地域はコンバットサンボが普及しており、その最軽量が52キロ級となる。昨年、成田で開催された世界サンボ選手権のコンバットサンボ52キロ級で表彰台に上った4人の国籍はそれぞれグルジア、アゼルバイジャン、ロシア、そしてウズベキスタン。そう旧ソ連と中央アジア勢で占められている。
もちろん、ここに日本勢やフィリピン勢が加わることも十分に予想される。ストロー級の世界を広げる──そんなONE世界ストロー級王座決定戦だ。