【Oktagon】新旧K-1 MAX王者対決=ジョルジオ・ペトロシアン×エンリコ・ケール
【写真】1月の復帰戦で試運転的なファイトでも、変わらぬ精度の高さを見せつけたジョルジオ・ペトロシアン。新世代K-1 MAX王者との対戦は非常に興味深い(C)THAI BOXE MANIA
11日(土・現地時間)、イタリア・ミラノ郊外アッサーゴのメディオラヌム・フォーラムで行われるOKTAGON 2015。日本から城戸康裕が参戦する今大会ではジョルジオ・ペトロシアン×エンリコ・ケールの新旧K-1 WORLD MAX世界王者対決が実現する。
2013年11月にアンディ・リスティにKO負け、その敗戦にも通じる長年の拳の負傷により、表舞台から姿を消していたK-1WORLD MAX2009&2010世界&GLORYライト級スラム王者のペトロシアン。今年1月に約1年2カ月ぶりにエルカン・ヴァロル相手に復帰戦を迎えると、左ミドル・左ストレートを軸にした完璧な試合運びで完勝し、復帰第一戦を大差の判定勝利で飾った。
復帰第2戦は、ヴァロル戦前にすでに発表されていた地元イタリアで行われるOKTAGONでのケール戦だ。ケールは昨年10月に決勝を迎えたK-1 WORLD MAX2014で優勝を果たし、一躍、その名を世界に知らしめたドイツのムエタイ系ファイター。その決勝ではブアカーオ・バンチャメークと3分3R戦い抜き、ブアカーオの延長ラウンド拒否→試合放棄という形で優勝が転がり込んできた。
どうしてもブアカーオの試合放棄が目につく結末であったが、3Rまでは明確な差がつかない試合展開だったことは事実だ。王者となったあともフランスのアブドゥル・トゥーレ、そしてペトロシアンの復帰戦の相手を務めたヴァロルに連勝している。
そんな旧K-1 WORLD MAX世界王者対決だが、やはりペトロシアン有利の下馬評は変わらないだろう。ペトロシアン、ケールどららもサウスポー&ムエタイスタイルをベースにしているが、その完成度ではペトロシアンがケールを上回り、それはヴァロル戦で見せた2人の動きからも見えてくる。
背が低くフック系のパンチで前に出る戦い方を身上とするヴァロルに対し、ケールは左ミドルでヴァロルの前進を止めてインローと奥足ロー、そこから自分が前に出る場面を増やして左ストレートへとつなげた。
逆にペトロシアンは試合が始まるや左ミドルでヴァロルの動きを止め、インローと奥足ローを完全に効かせる。2Rに入ると左ハイキックをぐらつかせ、ローで棒立ちにさせてからの右フックでダウンを奪うと、3Rには前蹴り・左ミドル・左ヒザでヴァロルのボディを攻め立てた。試合のペースを掴みながらも攻撃を効かせられなかったケールとは対照的に、ペトロシアンはダウンを奪う以外にもヴァロルにダメージをしっかりと与えていた。
ぶれない体の軸から繰り出すパンチ&蹴り一発一発の重さ、想い左ロー&鋭いテンカオ、そしてミドルをフェイントにしての左ハイ、前手(右手)での距離の取り方、常に左ストレートを狙えるポジションでのプレッシャーのかけ方…など、ペトロシアンはケールが持っていない武器を数多く持っている。自ずと同タイプの選手同士が戦えば、完成度が高い上に技の引き出しが多い側が有利になるが、それはまさしくペトロシアンの方だ。
今回はサウスポー×サウスポーということで、ペトロシアン・ケール両者とも×オーソドックスの時のように左ミドルでペースを掴めない難しさはある。しかしかつて日菜太とサウスポー対決を戦ったペトロシアンは、前足(右足)を上げるフェイントからの左ストレートでプレッシャーをかけ、日菜太に蹴る時間と間を与えず、パンチの展開に持ち込んで日菜太を圧倒した。また蹴り足キャッチからのこかしで出鼻をくじくなど、相手がサウスポーであった場合の攻めのバリエーションも多い。
過去にケム・シッソーンピーノンやファビオ・ピンカといった、自分よりも純ムエタイルールで実績がある選手と戦った際、ペトロシアンはパンチに活路を見出し、試合を組み立てた。今回もムエタイスタイル&サウスポーのケールだからこそ、普段の試合ではあまり見ることが出来ない、パンチ主体で攻めるプレッシャー型のペトロシアンが見られるかもしれない。