【on this day in】3月30日──2012年
【写真】ナラントンガラグとナム・ウィチョルのド迫力の殴り合い。殴り勝てれば越したことはないが、殴り勝てなくても自分の距離を大切にし、タイミングの良いテイクダウンが必要になる──試合をアジア勢に懸命に行う必要性があることを理解できていなかった(C)MMAPLANET
Legend FC08
@香港ランタオ島、アジア・ワールドエキスポ
「香港島や九龍半島から香港国際空港に通じるエアポート・エクスプレスの終着駅は、実はエアポート(=機場)駅ではない。もう一つ先のアジア・ワールドエキスポ(=博覧館)駅が終点だ。人工的な風景、ここに極まれりといった感のある会場周辺。この後、マカオのカジノ&ホテルからのスポンサードを打ち切られ、迷走にするようになるレジェンドFCにとって、この大会は決して長くなかった活動期間のピークにあったといっても過言でないだろう。この夜、日本から粕谷優介、中村K太郎、悠羽輝、川那子祐輔の4選手が出場し2勝2敗という結果だった。粕谷と悠羽輝はオセアニア勢に敗れ、K太郎は韓国人選手に勝利、川那子は中国人のジ・シャンを破り、LFCフェザー級王座を獲得していた。粕谷は惜しい逆転負け、K太郎はキム・フンを攻めあぐねた印象があったが、拳の負傷でTKO勝ちとなった。豪州&ニュージランド勢の体力に圧され、韓国人も安パイではない。中国とは、力の差は存在していた3年前──、メインはジャダンバ・ナラントンガラグとナム・ウィチョルのLFCライト級選手権試合だった。ド迫力の殴り合いで、両者ともパンチを被弾し姿勢を乱すシーンが見られた。結果、打ち負けナム・ウィチョルがテイクダウンを仕掛けたところにトンガーがギロチンを極めて王座防衛に成功した。僕はメイン終了後、控室で簡単な取材を済ませ、エアポート・エクスプレスに飛び乗った。僅か1駅、大会終了から2時間後にはシンガポールへ向かうためだ。会場を離れる際にK太郎のセコンドだった磯野元さんが言った『メインの攻防、アレはK太郎にはさせられないです。モンゴル人と韓国人はやってしまう。脅威ですよ』という言葉の意味を、僕はまだ咀嚼できていなかった」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。