【OFC25】世界フライ級王者モライシュに挑戦、渋谷莉孔<02>「格闘家に見られるように」
【写真】これまでの日本のMMA界にはなかったキャリアの積み方をしている渋谷。しっかりと耳はわいている(C)MMAPLANET
13日(金・現地時間)のマレーシアはクアラルンプールのスタジアム・プトラで開催されるONE25「Age of Champions」。同大会のメインでOFC世界フライ級王者アドリアーノ・モライシュに挑戦する渋谷莉孔インタビュー後編。
“ピィー”発言が連続したワル時代から一転、後編では格闘家として戦っていく自覚に加え、今回の試合に対して強心臓振りを発揮する渋谷に、その自信と意気込みを語ってもらった。
<渋谷莉孔インタビューPart.01はコチラから>
──その後、一応は地下格でも、知名度があったアウトサイダーからHEAT、そしてTTF Challengeと出場するようになりました。
「これも人のつながりで、今も僕をサポートしてくれる人と出会い、ディファで地下格闘技大会を開いたんです。そうしたら凄く、その人が喜んでくれて。なら、自分が試合に出て喜んでもらいたいと思うようになったんです。で、アウトサンダーは出たくなくて、Krunchで覆面を被って2×2とか、頭突き有りで戦いました。
それからまたアウトサイダーに出たのですけど、主催者に嫌われて、いちゃもんをつけられて出場停止になりました。日本では僕を使うのは面倒な感じになったのか、アウトサイダーの流れで出られないところも出てきたところで、一昨年の12月にHEATで戦わせてもらうことになり、普通にKO勝ちしました(※高野祥之戦、3R4分48秒TKO勝ち)」
──その頃はもうHeartsで練習していたのですか。
「ハイ。昼間にプロ練習に参加させてもらっていました。で、去年の9月にTTF Challengeパンクラスのフライ級1位の選手(※古賀靖隆)との試合が決まったので、ちゃんと練習をしようとおもうようになりました。それまでプロの試合に出ても勝っちゃうけど、趣味でやっていたようなものだったのでHeartsに入会したんです」
──Heartsのプロ練は錚々たるメンバーが集まります。
「最初は何もできなかったです。でも、最近になって通じるようになってきたと感じています。ただ、金原(正徳)さんとかとやると、どうしようもない感が……」
──水垣選手とは?
「歯が立たなくはないです」
──なるほど、そこも日本のエースらしいです。では、アドリアーノ・モライシュに関してですが、ここまで渋谷選手が戦ってきた選手とは、次元が違う強さだと思います。
「それは、そうだと思います。でも、やってみないと分からないですからね。彼も最後の試合が9月だし、あれから絶対に強くなっていると思います。スタイルが変わっているかもしれない。だから、やってみないと分からない。戦った選手はデカい印象を持ったようですが、身長は173センチだし全然デカくないですよね」
──……。
「何が強いんですかね? 打撃のアタック自体は結構遅いですよ。ディフェンスは巧いですが」
──話を聞いていると、漆谷康宏、ランボー宏輔という日本人選手に勝っているモライシュと戦うことに関しても、渋谷選手からは余裕を感じますね。
「そうですか? まっ、怖くはないです。打撃や寝技とかよりも、ホントに皆がいうようなフィジカルが強いのか。僕は国内ではフィジカルで勝ってきたので、そこが通じないと典型的に外国人に弱いタイプかもしれないし。外国人選手と戦うのは始めてなので、そこがどうなるのか」
──理想的な試合展開は?
「普通に戦ってKOとかは無いと思います。グチャグチャの試合になり、チョコンと当てて相手が効いちゃうみたいな。モライシュは体も柔らかそうなんで、思い切り打ち込んでも多分、衝撃が脳まで伝わらないと思います」
──モライシュの攻撃で気を注意すべきモノは何ですか。
「けっこう、ロングからの攻撃がありますよね。それは大丈夫だと思いますが、案外、接近戦になってもリーチが長いのにショートを効かせているので、そこを逆に気を付けたいです」
──組技に警戒する必要はないですか。
「組技……タックルの精度は低いですね。壁は巧いと思います。寝技はどれぐらいのフィジカルがあるのか、序盤は逃げられると思います」
──そこも自信があると。
「実はこの試合に向けてイヴォルブMMAで練習させてもらったんです、ONEにお願いして。で、ブラジル人対策をしてもらいました。黒帯も多くて。ただ、だいたいは逃げることはできました。レアンドロ・イッサは強かったです。イッサには一度極められ、立ち上がるまで5分ぐらい掛かりましたね。ノーギ・グラップリングですけどね。ぶっちゃけ、日本人には極められないのですが、イッサとのスパーでは腕十字を凌いでいた時にモンジバカを極められました。あと、ベン・アスクレンとも練習させてもらって、『ブリッジが強いな』って言ってもらえたんですよ。
いやぁ、でもシンガポール良かったです。クアラルンプールと気候が似ているかと思って、イヴォルブに行かせてもらったんですけど。ただ、ブスばっかですね(笑)」
──その発言も“ピィー”としたくなりますが、カワイイものなので生かさせてもらいます。とにかくモライシュの寝技は凌いで、殴り合いに持ち込み勝機を見出すことになりそうですね。
「ホント、何て言うんですかね。日本に帰られなくなるぐらいのケガをする覚悟で行ってきます。サポートしてくれる人に喜んでもらえるなら、死んでも構わないと思っているので」
──最後に確認させてください。今は真っ当な生活を送っていますか。
「ハイ。その人が練習できる環境を整えてくれていますし、犯罪行為を行うことは絶対ないです。TTF Challengeで勝った時、あれから自分は格闘家だという自覚を持っています。もう、夜中に電話が掛かって来ても出ないですし(笑)。まだ、一緒に練習させてもらっている人達以外からは、格闘家に見られていないことも多くて、不良でしょって思われていることは自分でも分かっています。だからこそ、この試合で自分が格闘家に見られるようになりたいです」
■ 対戦カード
<ONE FC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 渋谷莉孔(日本)
<ライト級/5分3R>
ピーター・デイビス(マレーシア)
ラジンダ・シン・ミーナ(インド)
<女子フライ級/5分3R>
アン・オスマン(マレーシア)
ワラー・アバス(エジプト)
<フェザー級/5分3R>
イブ・タン(ニュージーランド)
キャリー・バロス(フィリピン)
<フライ級/5分3R>
タン・ブー(豪州)
ジアーニ・スッバ(マレーシア)
<フェザー級/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
フロリアン・ギャレル(フランス)
<フライ級/5分3R>
サイフル・メリカン(マレーシア)
アナトポン・ブンラド(タイ)
<バンタム級/5分3R>
チャン・ロタナ(カンボジア)
ラモン・ゴンザレス(フィリピン)
<女子アトム級/5分3R>
クリスティー・ギャナウェイ(シンガポール)
ジュジー・ナガオワ(フィリピン)