この星の格闘技を追いかける

【OFC25】世界フライ級王者モライシュに挑戦、渋谷莉孔「1人でサンドバッグを殴っていました」

Riku Shibuya【写真】練習出していない感を出そうとする渋谷だが、その体つきは何よりも彼の姿勢を雄弁に語っている(C)MMAPLANET

13日(金・現地時間)のマレーシアはクアラルンプールのスタジアム・プトラで開催されるONE25「Age of Champions」。同大会のメインで日本の渋谷莉孔がOFC世界フライ級王者アドリアーノ・モライシュに挑戦する。

クアラルンプールに向かう2日前、和術慧舟會Heartsで格闘家・渋谷の話の赤裸々な過去とともに、この試合に賭ける気持ちを訊いた。

──ちょうど1週間後にタイトル戦が迫ってきた渋谷選手です。仕上がり具合はいかがですか。

「あとは体重を落とすだけですね。もう、スパーリングとかはやっていないです」

──私はThe Outsiderなど、不良の喧嘩大会を名乗る地下格闘技と格闘技の明確な一線を敷いており、一度Heartsの大沢代表が『頑張っているんですよ』と紹介してくれたことがあったのですが、そこも失念している次第で申し訳ありませんでした。TTF Challengeで古賀靖隆選手に勝ったことで、渋谷選手のことを再認識させてもらったところ、ONE世界フライ級王座挑戦という話を入ってきました。単刀直入に伺いますが、アウトサイダーに出るまで格闘技経験はなかったのですか。

「なかったです。TVで見たり、友達と練習っていうか殴り合うってことはありましたが、ジムとかに行くことはなかったです」

──アウトサイダーは第1回大会を見たのですが、格闘技のジムに通っている選手も相当数いたように思えました。

「半分ぐらいはジムに通っている人達が出ていたと思います」

──そもそも、なぜアウトサイダーに出ようと思ったのですか。

「高校の時には雑誌とかに載っていたこともあって、そこから推薦があって出たんです」

──もう、そういう世界は本当に分からないですが、アウトロー、不良雑誌と言われるものですか。つまり、渋谷選手は本当にワルだったと?

「まぁ、悪くはなかったですよ……」

──では、当時は世間からはどのように呼ばれていたと認識していますか。

「チンピラとか、そういう風じゃないですかね」

──道を外していた?

「道は外していたかどうか、会社員をやっていた時期もあるし。ただ、回りは“ピィー”とか、詐欺とかチョロチョロっといたぐらいで」

── “ピィー”が周りにいる? ありえないですね(苦笑)。

「懲役中の人とかもいるけど、自分は実刑を受けたことはないので。いや、これからもないでしょうし」

──捕まっていたら、実刑だったということですね(笑)。

「でも、自分らの時代はそういう人間が多かったですからね」

──渋谷選手が言う多かったは決して多くはなく、ごく一部だと思いますよ(笑)。一体、どのような悪さをしていたのですか。

“ピィー”といって、“ピィー”をさせて、その汚い金を“ピィー”して、“ピィー”するような感じですね。でも、向こうも警察沙汰にできないんです」

──十分に道を外しています。そのころ、ストリートファイトの経験も十分にあった?  以前、喧嘩は60連勝だと言っていたとか。

「どういうものが喧嘩というのか──もあるんですが、後ろから“ピィー”“ピィー”したり」

──……。とんでもないですね。

「皆、自分らの年代はそういうことをやっていたんですよ」

──だから、決して皆ではないですね(笑)。

「ハハハハ。でも、ヨーイドンで始まる喧嘩とかはできなかったです」

──アウトサイダーはヨーイドンですよね。

「もう回りが空気を入れてくるから、『やんなきゃヤバいでしょ』って雰囲気だったので。酒飲んで、ノリで行っちゃうような感じですね」

──酒を飲んで試合に出るのですか。

「皆、そんな感じでしたよ」

──……。ではアウトサイダー以前に、地下格に出たこともあったのでしょうか。

「他にも地下格闘技はありましたけど、僕はアウトサイダーが初めてです。アウトサイダーで最初に勝って、その次の2試合プロとやって(内藤裕と高田竜二)負けて、そこから格闘技をやろうかと思ってジムに入りました」

──どこのジムへ?

「家が近かったのでGrabakaに一般クラスで入りました。ただ、変なプライドがあって、他の人とは練習したくないって1人でサンドバッグを殴っていました。それからも色々なところで練習していましたが、秋山(成勲)さんのクラウドに入門したら、すぐに道場が閉鎖されて。で、新宿に住んでいるのでこの辺りでジムを3、4カ所回ったら、クラウドに出稽古に来ていた大沢(ケンジHAERTS代表)に再会したんです。『なら、ウチに来いよ』って誘ってもらい、それからプロ練にだけ出させてもらうようになりました」

──アウトサイダー時代、試合に向けて練習はしていたのですか。

「それはやっていました。負けたら恥をかくので。筋トレやサンドバッグをしながら、1時、2時には寝て“ピィー”は止めようと」

──……。アウトサイダー以外の大会に出るようになったのは、どのような気持ちの変化があったのですか。

「声を掛けてもらったからですね。キックとか、CAGE FORCEも最後の大会に出ました。そこで普通に勝てて(※金石裕哉戦)、意外に才能あるなって感じになりました」

<この項、続く>

■ 対戦カード

<ONE FC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者] アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 渋谷莉孔(日本)

<ライト級/5分3R>
ピーター・デイビス(マレーシア)
ラジンダ・シン・ミーナ(インド)

<女子フライ級/5分3R>
アン・オスマン(マレーシア)
ワラー・アバス(エジプト)

<フェザー級/5分3R>
イブ・タン(ニュージーランド)
キャリー・バロス(フィリピン)

<フライ級/5分3R>
タン・ブー(豪州)
ジアーニ・スッバ(マレーシア)

<フェザー級/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
フロリアン・ギャレル(フランス)

<フライ級/5分3R>
サイフル・メリカン(マレーシア)
アナトポン・ブンラド(タイ)

<バンタム級/5分3R>
チャン・ロタナ(カンボジア)
ラモン・ゴンザレス(フィリピン)

<女子アトム級/5分3R>
クリスティー・ギャナウェイ(シンガポール)
ジュジー・ナガオワ(フィリピン)

PR
PR

関連記事

Movie