【UFN62】リオでケビン・ソウザと対戦する菊野克紀「何が起こっても問題ないよう覚悟をもって」
【写真】減量と同時進行で厳しい体力トレーニングに取り組む菊野。2週間後の試合に向け、最後の追い込みに掛かっている(C)MMAPLANET
21日(土・現地時間)、ブラジルはリオデジャネイロのジナーシオ・オ・マラカナジーニョで行われるUFC Fight Night62「Maia vs LaFlare」に出場する菊野克紀。
日本大会でのサム・シシリアにRNCで一本勝ちしながらも、次なる舞台は地球の裏側ブラジルと日本人が最も避けたい開催国での試合となってしまった。菊野が5月のトニー・ファーガソン戦以来、階級を落としてなお対策を講じてきたリーチ差のあるエジミウソン・ケビン・ソウザとの対戦を前に、渡航準備の段階でブラジリアン・ウェイに翻弄される菊野に、現在の心境を尋ねた。
──練習終盤のサーキット・トレを見させていただいたのですが、通常の練習後にあのトレーニングを行うのは見るからきつそうでした。
「高阪さんが上手く手綱を捌いてくれているので。手を抜いていれば、煽るような声が飛ぶのですが、しっかりとやっていると褒めながらリードしてくれます。そこを見てくれています。僕もやっているのに『やれッ!!』と言われるのは嫌だし、やっていない時に『凄いぞ』と褒められると信じられなくなります。本当に高阪さん、チームの皆が一緒に戦ってくれています」
──その高阪さんとも少し話をしていたのですが、本当にUFCは楽な試合がないですね。
「そうですね。まず試合間隔が凄く空いてしまいました。せめて1月か2月に試合をしたかったのですが、組まれなかったです。そして、僕の要望としては3月のブラジルは避けたかったのですが、話が来たのはこの大会でした。ここで受けないと5月の豪州かフィリピンになると。9月から5月まで試合がないと、生活にも影響を及ばしますし、断るという選択肢はなかったです」
──ブラジルはやはり避けたいところですよね。
「今日、飛行機の予定表が来たのですが、ローマ経由でトランジットを入れて27時間ですね(苦笑)」
──去年の佐々木憂流迦選手もドバイ経由でしたよね。アッ、実際のところ飛行機に乗っている時間は、欧州経由だと米国経由よりも長いかもしれないですが、米国ではトランジット時間が圧倒的に短くなるので、移動時間だけでいえば少なくて済むのかもしれないです。私自身、ワシントンDCで11時間だとか、ヒューストンで9時間というトランジットを経験したことがあります。
「なるほど、なるほど(微笑)」
──しかし、気候も逆ですしね。ハードなことには違いありません。
「リオデジャネイロは1月と2月が最も暑いようなので、夏の終わりという感じでしょうか。でも、ブラジルに行く前でも、それこそ今日、ビザの申請にブラジル総領事館へ行ったのですが、言われた通りの書類を用意したのに、『足りない』と(苦笑)。それが誰のせいかは分からないです。ブラジルとか、海外で試合をするときはこういうことがあるんだと。親に連絡して、戸籍謄本を送ってもらったり、もうバタバタでした」
──やはりブラジルということで、心配になることも多いですか。
「今、ホテルにバスタブがあるのかを確認してもらっています。あと熱いお湯がでるのか。減量で半身浴をする場合、適温だと汗は出ないので。ただ、代理人からも『あるという返答があってもない。出るといっても出ないという覚悟で来てください』と言われています(苦笑)」
──まさに私もバスタブがあるホテルで、お湯が出なくなって修理してもらったことがあります。UFCが使うホテルだとそういうことはないかもしれないですが、友人宅でもお湯が温かくない場合もやはりありました。
「だから、湯沸かし器みたいなモノを持っていこうかとも考えています。マキシがブラジルで戦ったときはエレベーターが止まって閉じ込められたそうです。とんでもないですね」
──それを大して気にしないのがブラジル人なのでしょうね。
「僕らの常識は向こうでは常識ではないということですね。ビザの件もありましたし、上手く進まないことが当然だという腹積もりでいます。出来る限りの準備はして、あとは何が起こってもしょうがないと諦め、何が起こっても問題ないよう覚悟をもって臨みます」
──しかし、フェザー級への減量でブラジルというのはやはり厳しいです。
「最後は絶対にやり切りますが、どうなるのか……(笑)」
──対戦相手のエジミウソン・ケビン・ソウザはUFCで2連勝中、通算9連勝中の実力者です。
「またリーチが長い相手です。身長が183センチで、リーチは190センチのストライカー。僕はトニー・ファーガソンにリーチの差で負けたので、その課題を今回はクリアしたいというところですね」
──フェザー級でも菊野選手よりも、リーチの長い対戦相手だらけですしね。
「ほとんどがそうですね」
──ライト級時代は尚更だったと思いますが、そこはUFCに出る前から準備していた部分ではないですか。
「それがですね……、ファーガソン戦まではリーチの差は気になっていなかったんです。というのも僕は目に自信があって、相手の攻撃が見えていたので、余り距離とかも意識せずに、来たものを避けていたんです。それが……」