【写真】『力じゃない』とよく聞くが、力がない者に力は使えないし、力がある者が力を使っても何ら悪いことじゃないと思う。ただし、力任せでない攻めを見せられたときの途方もない無力感はなかった(C)MMAPLANET

Team Alpha Male
@カリフォルニア州サクラメント、チーム・アルファメール
「ゴツゴツのファイターが、ガツガツとやりあう。北米MMA界軽量級最強のチーム・アルファメールの練習に関しては、そんなイメージを常に抱いていた。初めてユライア・フェイバー率いるアルファメールを訪れたのは、いつだろうか?　とにかく、2度、3度と取材に訪れても、そのイメージに変わりはなかった。レスリングベースのフィジカルに優れた選手たち、A+のファイターたちが集う場所。想像以上に柔術も強く、打撃の技術練習も余念がない。そんな彼らの練習を眺めていると、ちょっとプロでMMAの経験がある程度では、太刀打ちできない。軽い気持ちで出稽古なんて行おうモノなら、壊されてしまう――と感じていた。そんななか特にフィジカルに優れているのが、チャド・メンデスとランス・パーマーの2人。MMAトレでも、グラップリング・スパーでも、両者の馬力、瞬発力はユライアやジョゼフ・ベナビデス、TJ・ディラショーら多くのトップファイターのなかでも一際目立っている。そんなカレッジレスリングの猛者が受け持つレスリングクラス。パーマーが亀の相手の返し方を指導する。両足はフックしない、左足を足の付け根の前に入れ、もう右足は外側から脹脛の後ろへ。その右足を外側に開いていくと、いとも簡単に受けの選手の背中が伸びていった。さらにハーフネルソンで上向きにさせたパーマー。荒々しさなど微塵も感じられないコントロール術。あのフィジカルの持ち主が、力でなく技で抑えて、返していく。ガツガツ、ゴツゴツよりも果てしない――絶望と表現しても良い、力の差を見せつけられた気がした……」

on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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