【Pancrase264】稲葉にRNCで一本勝ち。ウィル・チョープ「2発目のパンチで右の拳を骨折していた」
【写真】拳の負傷と、稲葉のカットの精度を見極めローを多用したウィル・チョープ(C)TAKUMI NAKAMURA
1日(日)東京都江東区のディファ有明で行われたPancrase264で、パンクラスデビュー&日本初登場となったウィル・チョープが稲葉聡を3R4分6秒、RNCで斬って落とした。
<フェザー級 5分3R>
ウィル・チョープ(米国)
Def.3R4分6秒 by RNC
稲葉聡(日本)
身長で22㎝上回るチョープはじりじりと前に出て右ロー。稲葉は右ボディストレートを返すが、チョープは下がらず前に出て右ハイキック、首相撲からヒザ蹴りを突き上げる。ケージ内をグルグルと回って距離を取る稲葉は、チョープのジャブに右フックを被せるように突進。チョープは離れ間合いから右ローを蹴って、再びハイキックにつなげる。稲葉も距離を詰まるとボディ打ちを返すが、チョープがプレッシャーをかけ続けた。
2Rもチョープのペースで試合が進む。ジャブを伸ばして稲葉を下がらせて右ロー、ハイ、ヒザ蹴り。徐々に稲葉の手数が減り、チョープの攻撃を受けないように距離を取る時間が長くなる。逆にチョープは長い手を伸ばし、稲葉の頭を掴むとヒザ蹴りを突き上げる。終了間際、稲葉も四つ組みで組みつき、テイクダウンを狙うがチョープは倒れない。
最終ラウンド、劣勢が続く稲葉は右ボディ& 右フックで距離を詰めて、チョープをケージまで押し込む。チョープは態勢を入れ替えるとヒジやヒザを入れ、距離を取ると右ロー、ハイ、ヒザ蹴りで手数を増やす。このままチョープのペースで試合が進み、残り1分、稲葉がバランスを崩すと、すぐさまチョープがバックに回り込んでRNCへ。スタンドで試合を支配して、最後はサブミッションという、得意の試合展開で一本勝ちを収めた。
試合後、チョープはパンクラス、チームメイト、妻、そしてファンに感謝の言葉を述べると「また日本に戻って来たいと思う。今日のメインイベント(タクミ×ナム・ファン)の勝者と戦いたい」とフェザー級タイトルへの挑戦もアピールした。
控え室では試合開始直後に右拳を骨折していたことを明かしたチョープ。アクシデントに見舞われながら、どう試合を組み立てたのか。日本での初ファイト、ナム・ファンとのタイトル戦についても訊いた。
――パンクラスのデビュー戦で見事な一本勝ち、おめでとうございます。まずは稲葉選手との試合を振り返っていただけますか。
「とてもタフな相手だったと思う。パワーもあったし、何より精神力がすごかった。かなりハードな攻撃を当てていたのに、全く怯むことなく前に出てきたからね。最後はフィニッシュできたけど、試合中は少し驚いていたよ」
――序盤からかなり右のローキックを蹴っていましたが、あれは作戦だったのですか。
「もともとムエタイの練習には力を入れているし、ローキックそのものが得意なんだ。今回も試合が始まって数発ローキックを蹴ってみて、サトシ(稲葉)は正しいカットが出来ていなかった。これならローを効かせられると思って、どんどん蹴ることにしたんだ。もしサトシがちゃんとローをカットしていたら、他の攻撃で攻めていたと思う」
――そこまで試合中に稲葉選手の動きを分析できていたのですね。
「あとは試合が始まってすぐ右の拳を骨折してしまって(大きく腫れた右の拳を見せる)、右のパンチを使えなくなったことも影響している」
――どのタイミングで怪我されたのですか。
「2発目のパンチの時だよ(苦笑)。だからサトシに右拳の怪我を悟られないようにしながら、ジャブと右ローで試合を組み立てようと考えたんだ」
――フィニッシュになったRNCも流れるような動きでしたね。
「ありがとう!」
――稲葉選手がバランスを崩した瞬間、バックキープしてすぐさまRNCを極めましたが、あれは身体が勝手に動いた、という感覚だったのでしょうか。
「RNCは僕の得意技だから、身体が動くままに技の形に入っていたね」
――チョープ選手は過去の試合でもRNC、フロントチョーク、三角絞めなど、絞め技でのフィニッシュが多いですよね。
「基本的に自分の一番の強みはストライキングで、決してグラップラーというわけではない。でも私がストライキングでプレッシャーをかけていくと、相手がそれを嫌がって背中を見せたり、組みついてくることがあるから、そこで絞め技を極めることが出来るんだと思う」
――今回はチョープ選手にとって日本で初めての試合でしたが、日本の会場の雰囲気やファンの反応はいかがでしたか。
「日本のファンは選手へのリスペクトが強いと感じたよ。これまで色々なアジアの国で試合をしてきたけれど、外国人選手ということで、どうしても扱いが良くないこともあった。でも日本のファンはどこの国の選手だろうとフラットに見てくれて、それがすごく嬉しかったよ」
――試合後はタイトル挑戦のアピールもありました。メインイベントでナム・ファン選手がタクミ選手に勝って新王者になった試合はご覧になっていましたか。
「もちろん。とてもエキサイティングな試合だったね。私もナム・ファンもUFCで戦っていた選手で、キャリア的にはベテランなのかもしれないけど、お互い勝ちに必死になって戦っていたと思う。だからナムの試合を見ていて胸が熱くなっていたよ」
――もしタイトル挑戦が実現すれば、ナム選手の持つベルトに挑戦することになります。ナム選手と戦ったら、どんな試合になるとイメージしていますか。
「今日の試合と同じように、自分のリーチ差を活かした打撃で前に出て、そのまま打撃でKOもしくはグラウンドでサブミッションで極める、そういう試合になるだろうね。どんな試合展開になっても私とナムが戦えばエキサイトな試合になると思うから、日本のファンのみんなにも楽しみにしてもらいたいね」
■Pancrase264試合結果
<ウェルター級/3分3R>
マンモス谷部(日本)
Def.3-0:30-27, 29-28, 29-28
川和真(日本)
<ライト級/3分3R>
林源平(日本)
Def.2R2分9秒 by KO
小林裕(日本)
<フェザー級/3分3R>
近藤孝太(日本)
Def.2-1:29-28, 28-29, 29-28
河村康博(日本)
<バンタム級/3分3R>
合島大樹(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
井関遼(日本)
<KOPフェザー級選手権試合/5分3R>
ナム・ファン(米国)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
タクミ(日本)
<フェザー級 5分3R>
ガイ・デルモ(米国)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
田村彰敏(日本)
<バンタム級/3分3R>
才賀紀左衛門(日本)
Def.1R2分40秒 by TKO
亮AKB(日本)
<ライトフライ級(-52.2kg)王者決定T/5分3R>
阿部博之(日本)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
江泉卓哉(日本)
<ライトフライ級(-52.2kg)王者決定T/5分3R>
宇都木正和(日本)
Def.3-0:29-28, 29-28, 29-28
松永義弘(日本)
<フライ級/3分3R>
神部建斗(日本)
Def.1R終了時 by TKO
下川雄生(日本)
<バンタム級/3分3R>
コンボイ升水(日本)
Def.1R0分11秒 by TKO
齊藤曜(日本)
<バンタム級/3分3R>
藤井伸樹(日本)
Def.2R1分57秒 by TKO
なおKING(日本)
<ライト級/3分3R>
長岡弘樹(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
網潤太郎(日本)
<ミドル級/3分3R>
一慶(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 30-27
KEI山宮(日本)
<スーパーフライ級/3分3R>
清水俊一(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
小宮稔大(日本)
<フェザー級/3分3R>
ユータ&ロック(日本)
Def.2-1:30-27, 29-28, 28-29
中原由貴(日本)
<スーパーフライ級/3分3R>
仙三(日本)
Def.1R0分53秒 by KO
カツオ(日本)