【Pancrase263】倒せるアウトボックス=村山暁洋「王座決定戦を払拭するような試合をしたい」
【写真】ドンピシャのタイミングで右ストレートを決めた村山。この一発で、存在感はグンと増した。倒せるアウトボックス、もっと注目されて良いファイターだ (C)MMAPLANET
6日(土)東京都江東区のディファ有明でPancrase263が開催された。王者レッツ豪太×チャレンジャー近藤有己によるウェルター級キング・オブ・パンクラスタイトルマッチが行われた今大会では、次期挑戦者を占う一戦として同級3位・村山暁洋×5位・鈴木槙吾が組まれた。
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
Def.3R0分27秒by TKO
鈴木槙吾(日本)
いつものようにジャブを当てながら右ローを蹴る村山。鈴木は村山のジャブに右フックを被せる。距離が詰まって組みの攻防になっても、両者ともテイクダウンを奪うまでには至らない。村山が投げでテイクダウンを狙い、そのままスタンドで鈴木の後ろにつくが、鈴木も正対して譲らない。再び試合が打撃戦に戻ると、鈴木が右フックで前進。村山が距離を取りながらタイミングよくジャブを当て、鈴木を流血させる。
2Rも村山がジャブ&右ローで攻め、鈴木は右ストレートを顔面とボディに打ち分け、村山のローに右ストレートを合わせる。村山は鈴木のパンチに合わせて組みつき、テイクダウンを奪ってバックへ。鈴木も反転してインサイドガードに戻すが、村山はクローズドガードで鈴木にパンチを打たせず、フックスイープを狙って立ち上がる。すぐさま鈴木はパンチで村山を追いかけ、村山も必死に足を使って脱出。組み際の大外刈りを狙うが決まらず、鈴木がパンチで前に出続けた。
最終回、2R終盤の勢いのまま鈴木がパンチで前に出ていくが、村山が鋭いワンツー。この右ストレートが鈴木を打ち抜き、鈴木が後方にばったりと崩れ落ちる。すかさず鈴木が追撃のパンチを落とそうとしたところで、レフェリーが試合をストップした。
約7年ぶりのKO勝利(※フィニッシュが3年振り)となった村山は「判定で勝つのも嬉しいですが、改めて倒して勝つことの気持ちよさが分かりました」と笑顔を見せた。8月の王座決定戦=レッツ戦では接戦の末にポイントを落とし、判定負けという結果に終わったが「明確に差をつけられなかった。今回の鈴木戦は、その時のリベンジではないですけど、課題を持って取り組んで勝つことが出来た」とレッツ戦の悔しい敗戦が今回のKOにつながったという。
ウェルター級というカテゴリーで確立させたアウトボクシング主体のファイトスタイル、そして同大会で行われたレッツ×近藤有己のタイトルマッチなど、試合直後の村山に話を訊いた。
――右ストレート一発で鈴木選手をマットに沈める会心のKO勝利でしたね。
「かなり久しぶりにKOで勝てて…まあ一本勝ちもなかったんですけど…すごく嬉しいですね」
――鈴木選手はKO勝ちも多いハードパンチャーで、村山選手は自分がKO勝ちすることは想定していていましたか。
「いえ。自分の中では一本を取りたいと思っていたので、パンチでKOすることはほとんど考えていなかったです」
――1Rからフィニッシュまでのご自身の動きについてはいかがでしたか。
「1Rはいい動きが出来ていたと思います。最初のジャブが当たって、それで自分の間合いをキープして戦うことが出来ました。ただ2Rに鈴木選手が一気に前に出てきた時に少し打ち込まれてしまいました。鈴木選手がああいう戦い方をするのは想定していたのですが、それに合わせて下がってしまったのは良くなかったです。3Rは開始直後のKOだったので、ちょっと詳しくは覚えていないんですけど……左側に踏み込んで右ストレートを打つ練習は続けていたので、それが試合で出たのかなと思います」
――フィニッシュになった右ストレートの手応えはありましたか。
「そこまで感触はなかったのですが『当たった!』というのは感じて、それで鈴木選手が倒れた姿を見て追い打ちをかけようと思いました」
――村山選手は打撃の専門家に打撃を教わっているのですか。
「GUTSMANにSBやキックで活躍された竹本(壽晴)先生が週一で指導に来られていて、そこで打撃を教わっています。右ストレートは竹本先生に教わるようになって2年くらい練習しているんですけど、ようやく試合で出すことが出来ました(苦笑)」
――村山選手はここ数年の間アウトボクシングで試合を組み立てるスタイルに変わっていきましたが、何がきっかけだったのですか。
「2008年から2010年の間、ケージフォースで高木(健太)選手にKOされたり、勝てない時期が続いたんですよね。それまでは自分からガンガン行くスタイルだったのですが、勝てない時期を経験して、距離や間合いを意識して戦うようになりました。それが今のスタイルにつながっているんだと思います」
――アウトボクシングの方が自分には合っていた、と。
「ただそこを意識しすぎたせいか、アウトボクシング色が強くなりすぎて、自分から踏み込めなくなっていたんですよね。だから自分から出て来てくれる相手には上手くハマるけれど、前回のレッツ戦のように相手も距離を取って戦うタイプだと噛み合わない。そこをどうするかが課題で、今回は倒せるところで倒せたのでよかったかなと思います」
――そのレッツ戦はどちらが勝ってもおかしくない試合でした。村山選手はあの試合をどう捉えていますか。
「自分の攻撃がヒットしていた感覚はあったんですけど、明確な差はつけられませんでした。ずっと判定勝ちで来ていたから、頭のどこかでこのままでもポイントは取っているだろうなと思っちゃって…。結果的にそれで負けてしまったので、判定になるんだったら明確な差をつけて勝つことがいかに重要かを身を持って学びました。今回の鈴木戦は、その時のリベンジではないですけど、課題を持って取り組んで勝つことが出来ました」
――レッツ選手と近藤選手のタイトルマッチはご覧になりましたか。
「はい。個人的には近藤選手を応援していたんですけど…若いにも関わらずレッツ選手は試合巧者でしたね、パッとタイミングよくタックルに入ったり」
――パンクラスで戦う以上、レッツ選手が持つベルトが標的になると思います。
「やれるなら今すぐにでもやりたいですけど、しっかり対策を練って戦わないといけない相手だと思います。パンクラスに参戦するようになってベルトを目標にしているのですが、前回の王座決定戦は結果も出なかったし、試合内容も悪かったので、次もそれを払拭するような試合をしたいですね。今回のように判定ではなくて会心の勝ち方をしたいです」
――前回の対戦では明確な差をつけられませんでしたが、今回の鈴木戦のような新しいスタイルであれば前回とは違う結果になりそうですか。
「今日のKO勝ちがむちゃくちゃ気持ちよかったので、改めて倒して勝つことの気持ちよさが分かりました。鈴木選手のような強いストライカー相手にアウトボクシング+倒す試合が出来て、自分の成長を感じることが出来ました。今まで有効だったものと新しいものを融合させて、もう一度、ベルトに挑戦したいと思います」
■ Pancrase263メインカード試合結果
<無差別級/3分3R>
桜木裕司(日本)
Def.2R1分3秒by TKO
大山峻護(日本)
<ウェルター級 K.O.P.T./5分3R>
[王者] レッツ豪太(日本)
Def.3-0:30-27,29-28,29-28
[挑戦者] 近藤有己(日本)
<ワールドスラムT準決勝戦 ライト級/5分3R>
アキラ(日本)
Def.2R途中負傷判定2-1:20-18,20-18,19-19
奥野“轟天”泰舗(日本)
<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
Def.3R0分27秒by TKO
鈴木槙吾(日本)
<スーパーフライ級/5分3R>
古賀靖隆(日本)
Def.3-0:30-27,29-28,29-28
北郷祐介(日本)
<ライト級/3分3R>
児山佳宏(日本)
Def.3-0:29-28,29-28,29-28
太田駿平(日本)
<フェザー級/3分3R>
牛久絢太郎(日本)
Def.3-0:30-27,30-27,30-27
原田惟紘(日本)
<フライ級/3分3R>
小塚誠司(日本)
Def.2R1分54秒by TKO
須田悠(日本)
<スーパーフライ級/3分3R>
井島裕彰(日本)
Def.2-1:29-28,29-28,28-29
廣瀬勲(日本)
<バンタム級/3分3R>
CORO(日本)
Def.3R1分53秒by RNC
佐々木郁矢(日本)