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【Metamoris05】ヘンゾ×桜庭、14年振りの再戦も焦点はキムラか。ローリー・マクドナルドはJTと

Renzo【写真】笑顔の裏に刃を持ち続けるヘンゾ。組み技出場は2011年のADCC以来となるが、友好的な態度を崩さなくても、リベンジに賭ける執念は異様に高いと思われる(C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)、カリフォルニア州ロングビーチ・コンベンションセンターにて、プロ柔術大会Metamorisの第5回大会が開催される。毎回話題性のあるカードを提供している同大会、メインは既報の通り、ヘンゾ・グレイシーと桜庭和志、14年3ケ月振りの再戦。そして、セミにはUFCウェルター級で来年には王座挑戦もあるローリー・マクドナルドが対戦する。

言わずと知れた2000年8月のPRIDEにおける一戦の再戦。当時ホイラー、ホイスに連勝してグレイシー・ハンターとして世界に名を轟かせていた桜庭は、ヘンゾにスタンドでバックを取らせたところからのキムラロックを仕掛け、肘を脱臼させての勝利。この頃の桜庭は、全階級を通して世界一の注目度と輝きを放つMMA選手だったといえる。ヘンゾもまたこの試合のことを大きな誇りとして胸に抱いているようで、彼のドキュメンタリー映像「レガシー」の中でも、桜庭のキムラで大怪我させられてなお戦い続けようとした自らについて語るシーンがある。

あれから14年──。現代MMAから考えると、無茶な体重差の試合を多くこなすうちにKO負けが目立って来た桜庭は、07年にホイスに僅差の判定負けながらリベンジを許し、2010年には一世代下の──メタモリスの主催者である──ハレック・グレイシーにも寝技の攻防で攻め込まれて判定負け。2011年にはヤン・カブラルに肩固めで敗れて以来、MMAからは撤退している。その後は新日本プロレスに活躍の場を移し、次世代グレイシーともリング上で交わっている。

対照的にヘンゾの方は、現在も格闘技界での存在感を増すばかり。柔術ではNYを中心とした一大勢力を築き上げ、世界BJJエキスポなど豪華大会の主催者としても活躍している。MMAにおいてもフランキー・エドガーを始めとして多くの名選手を輩出。最高ランクのVIPとして世界中の格闘技団体や道場から引っ張りダコのヘンゾが、どれだけの豪邸(むしろ「宮殿」という形容が似つかわしい)に住んでいるかは、今回メタモリス側が制作したカウントダウン映像にも記録されている。

戦わないことで自らの力を誇示したヒクソン・グレイシーから「今のサクラバを見るのは本当に悲しい。全盛期の4割の力もないよ」と言われることもあったが、自らの道を貫いた桜庭と、最強の弟子達と最高の練習環境を誇り、近年もミヤオ兄弟らとスパーリングし最新技術の探求にも旺盛なヘンゾ。現在の両者の置かれている状況を比べると、この試合はヘンゾの優位は否めないところだろう。

それでもやはり、最大の焦点となるのは14年前のフィニッシュである、相手に背後を取らせておいて仕掛けるキムラロックを廻る攻防だろう。この桜庭最大の必殺技はグレイシー側から研究され尽くされており、肘脱臼という大怪我をさせられたヘンゾも、当然この技には万全の準備をして臨んでくるのは間違いないところ。

しかし、桜庭は上述の10年の試合において、この技に徹底的な対策をしてきたハレックを相手にしてなお、キムラの仕掛けであわやの場面(場外際におけるレフェリーのブレイクが入ったことで流れが切れなければ極まったのではないか、と思わせるようなものだった)を作って見せている。必殺技とは、どれだけ相手が対策を立てても決まってしまうもの。そんな凄みを感じさせるものが、桜庭のキムラには確かにある。もしもこの再戦で、桜庭がヘンゾにこの技を仕掛ける場面が見られたら、その時、当時を知る世界中のファンの胸が高鳴ること間違いない。

【写真】UFCファイターのグラップリング挑戦は、10月のノーギワールドでベンソン・ヘンダーソンが黒帯ミドル級で3位に入賞しているが、ロリ・マクの純粋グラップリングでの力は?(C)MMAPLANET

【写真】UFCファイターのグラップリング挑戦は、10月のノーギワールドでベンソン・ヘンダーソンが黒帯ミドル級で3位に入賞しているが、ロリ・マクの純粋グラップリングでの力は?(C)MMAPLANET

ローリー・マクドナルドは現在UFC級ウェルター級ランキング2位、将来王者になる可能性が極めて高いと思われているカナダ出身の25歳だ。トライスタージムにおける大先輩、GSPことジョルジュ・サンピエールに倣ってMMAの全ての局面において強いトータルファイターである。ばかりか、GSPが極真空手の経験と際立ったレスリングの強さを誇ることを考えれば、特にバックグラウンドも持たず初めて習った格闘技がMMAだというマクドナルドこそ、現代MMAを真に象徴する存在といえるだろう。

リーチを活かし、距離を取ってのジャブと前蹴りで冷酷に相手の肉体を削ってゆく打撃の印象が強いマクドナルドだが、組み技も一級品であることはこれまでの試合からも容易に想像できる。今年2月に元柔術世界王者のデミアン・マイアとUFCで対戦したマクドナルドは、マイアの序盤の猛攻を極めさせずに凌いてみせた。そして最終ラウンドには再びテイクダウンを奪われたものの、バタフライガードを駆使してパスを許さず、やがて蹴り離して立ち上がってみせた。6月のタイロン・ウッドリー戦では、元一流カレッジレスラーのウッドリーを打撃で削って強振を誘い、そこにGSPばりのタイミングでテイクダウンを取ってポジショニングで圧倒。もちろん、卓説した左ジャブと蹴りの効用があってのMMAにおけるマクドナルドの組み技ではあるが、スタンドでも優れたグラップラーであることに疑いはない。

【写真】JTは今年の柔術世界大会でも準優勝している真のトップ柔術家。やや体格差はあるか……(C)MMAPLANET

【写真】JTは今年の柔術世界大会でも準優勝している真のトップ柔術家。やや体格差はあるか……(C)MMAPLANET

対するJT・トレスは、ここ数年世界のトップで活躍し続けている米国の柔術系グラップラーだ。最強集団アトスに所属する万能型の組み業師で、特にバックを奪う動きには定評がある。昨年は世界ノーギ柔術選手権ライト級で優勝、ADCC大会では準決勝でクロン・グレイシーに下からの腕十字を極められて3位となったが、勝ったクロンに「あの力の強いJTから一本取れるなんて」と言わしめた実力と体力の持ち主だ。

組み技専門家であるトレスの優位は動かないと思われるこの試合だが、新世代トータルMMAファイターのマクドナルドが、世界一流のグラップラー相手にどの程度闘えるのか非常に興味深いところだ。今までは打撃の攻防の中に隠れてたまに光を発するのみにとどまることの多かったマクドナルドのグラップリング力を、我々はこの試合で思う存分堪能することができるだろう。

■Metamoris 05 対戦カード

■Metamoris 05 対戦カード

<ノーギ/20分1R>
ヘンゾ・グレイシー(ブラジル)
桜庭和志(日本)

<ノーギ/20分1R>
JT・トレス(米国)
ローリー・マクドナルド(カナダ)

<20分1R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
キーナン・コーネリアス(米国)

<20分1R>
ヴィニー・マガリャエス(ブラジル)
マテウス・ジニス(米国)

<20分1R> 
ゲーリー・トノン (米国)
ザック・マックスウェル(米国)

<シークレットマッチ/20分×1R>
TBA
TBA

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