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【Pancrase262】石渡伸太郎に快勝──ブルッキンス 「日本にまた呼んでもらえればそれで満足」

Jonathan Brookins【写真】おなじみの長髪はカットしてしまっていたが、見るからにマイペース。米国のビッグビジネスが肌に合わなかったかもしれないブルッキンスだ (C)MMAPLANET

2日(日)東京都江東区のディファ有明で行われたPancrase262でジョナサン・ブルッキンスが石渡伸太郎を3-0の判定で下した。

low Single<バンタム級/5分3R>
ジョナサン・ブルッキンス(米国)
Def.3-0:30-27. 29-28 .29-28
石渡伸太郎(日本)

初回から長い手足を生かしてプレッシャーを与えるブルッキンス。石渡のパンチが大きくなると、遠く低い態勢からシングルレッグへ。ケージを背にして体を捻って防いだ石渡だったが、そのまま追いかけたブルッキンスがダブルでテイクダウンを奪う。スタンドに戻ると石渡は左目の下が腫れており、ドクターチェックが入った。

再開後、スタンドの攻防のなかで指が入ったとして石渡がインターバルを要求する。リスタートされるとテイクダウンを2度狙ったが石渡だったが、防がれ逆にケージに押し込みシングルからバックに回られ、初回はジャッジ3者とも10-09でブルッキンスのラウンドとなった。

2Rもブルッキンスは低い姿勢からシングル、レッグリフト→トリップ・バックワードで石渡のバランスを崩して、ダブルでケージに押し込む。石渡に良い形を取らせず、ブルッキンスがケージ・ジェネラルシップを握る。終盤の打撃戦も譲らず、このラウンドもジャッジ3者がブルッキンスのモノとした。

【写真】石渡は3度、レッグリフトの態勢に入られた。つまり試合はブルッキンスのペースで進んだ証だ(C)MMAPLANET

【写真】石渡は3度、レッグリフトの態勢に入られた。つまり試合はブルッキンスのペースで進んだ証だ(C)MMAPLANET

最終回、逆転には一本かKOが必要になった石渡だが、ここでもシングルからリフトアップという流れでケージに押し込まれる。石渡はキムラを仕掛けるも、バックを取られグラウンドへ。ブルッキンスは両足をフックしRNCを狙う。胸を合わした上を取り返した石渡だったが、ブルッキンスは執拗に組んでケージに押し込む。ブレイク後の打撃戦で、石渡が怒涛のラッシュを掛けるもタイムアップとなり、3-0でブルッキンスに凱歌が挙がった。

パンクラス初戦でミドル級王者を下したジョナサン・ブルッキンスの喜びの声と、日本LOVEな言葉の数々をお届けしたい。

──初めての日本で石渡伸太郎選手に判定勝ち、おめでとうございます。

「やり切ったよ。めちゃくちゃ頭を殴られた。でも、エキサイティングだったし、パンクラスで戦えてとても嬉しかった。初めて日本で戦うという夢が実現したんだ。こんなに興奮したことはしばらくなかったよ」

──UFCをリリースされ、Legacy FCで2試合戦ってパンクラスに来日しました。日本で戦う意義を教えてください。

「僕にとってはベスト、ハイライトだよ。僕がMMAキャリアを積み始めた頃、クレイジーホース(※チャールズ・ベネット)がルームメイトだったんだ。彼はPRIDEで戦い、日本に来ていた。あの頃から、日本で戦いたいと強く思っていたんだ。

UFCで戦えてよかったよ。そしてレガシーでも戦い、懸命にトレーニングを積んできた。そして、日本で戦う機会を得ることができた。日本で戦えるようになったから、心の底からキャリアを続けようと思うようになった。僕のゴールは日本に住むことなんだ」

──なぜ、そんなに日本がお気に入りなのですか。

「きっと子供の頃の体験からなんだろうね。高校の時のレスリング・コーチが日本人でほんと、父親のような感じの師匠だった。コーチのお父さんがハワイに住んでいて、連れて行ってもらうと、いろんな日本の文化に触れることができた。そして、今、僕は日本にやって来た。人々が本当に落ち着いていて、礼儀正しいことが心に響いている。こんな場所、日本だけだよ。ホント、日本に住んでみたい」

──ところで石渡選手というパンクラスのバンタム級チャンピオンをノンタイトル戦で下しました。自ずと次に求める試合が見えてきそうですが。

「パンクラスがタイトルショットの機会を与えてくれると信じている。ただ、僕としてはまた日本に呼んでくれるならそれで満足。ここで戦えると、人生が良くなる。それで構わないんだ(笑)」

──ところでパンクラスが用いているレギュレーションのことで、一つ尋ねたいことがあります。パンクラスではユニファイドルールを採用していますが、1Rと2Rはオープンスコアリング・システムを採っており、ブルッキンス選手は初回と2回を10-9で取っていました。このことが3Rの戦い方に影響を与えたでしょうか。

「何、ソレ? そんな風になっているなんて知らなかったし、スコアで僕が2Rまで取っていたなんて分かっていなかった。それって、スクリーンか何かで表示されているの?」

──リングアナウンサーがインターバルの間にマイクで場内に伝えています。

「それじゃあ僕は理解できないからね……」

──では1Rと2Rで試合をリードしていることを知らなかったと?

「アアーン、そうだったんだ。勝ちたかったから、絶対に3Rを取らないといけないと思って戦っていた。で、バックに回ったら、彼がタップした。僕は『タップした、タップした』って伝えて離したんだ。そうしたら、彼はスイッチしてトップを取った。でもね、タップしていたんだ。ボーナスが欲しかったよ(苦笑)」

──次に取れということではないですか。

「そうだね、リマッチでね」

──日本が大好きだということですが、これからもパンクラスで戦っていこうと思っていますか。日本には他のプロモーションも存在します。

「どうなるかなぁ。でも、パンクラスが初めて僕を日本に呼んでくれた。僕はロイヤルティを持っている。僕のハートはパンクラスとともにある。パンクラスのために、出来る限り役に立ちたい。こういう風に夢中になれるって、凄く良いことだと思うんだ。TUFの時がそうだった。でも、TUF以降はそんな気持ちになれなかったんだ。なんか、UFCで戦いたくなくて。今はここ日本のパンクラスを助け、その一部になりたい。僕のハートはパンクラスとともにあるんだ」

──では最後にファンにメッセージをお願いします。

「僕が知っているのはこれだけだから、アリガト。僕のような人間を日本で戦わせてくれて、夢を実現させてもらったことが本当に嬉しい、光栄に思うよ」

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