【UFN48】ビスピン×カン・リー、勝負の行方はカン・リーのパンチ――力の入れ具合で決る?!
【写真】調子を落としていたビスピンと、調子が予測できないカン・リー(C)MMAPLANET
23日(土・現地時間)、中国はマカオ特別行政区ザ・ベネチアン・リゾート内コタイ・アリーナでUFC Fight Night48「Bisping vs Le」が開催される。
3月に引き続き、今年2度目のUFC開催となったマカオ。メインはマイケル・ビスピン×カン・リーのミドル級戦、そしてセミがキム・ドンヒョン×タイロン・ウッドリーのウェルター級戦が組まれている。全10試合中、ワールドクラスのカードはこの2試合、残りは地域制の強いカードといえるだろう。
過去6試合、勝ち&負けを繰り返しているビスピン。順序的にいえば白星を挙げる番だが――果たして。昨年1月のヴィトー・ベウフォート戦に勝てば、当時の世界王者アンデウソン・シウバへの挑戦が確実視されながら、打撃で圧倒されハイキックの餌食となって敗れた。今年4月のケネディ戦ではテイクダウンを取られ、ガードを強いられる展開が続き判定負けを喫している。ストライカーの印象が強いビスピンだが、実のところレスリング、そして寝技にも穴のないウェルラウンダーが真の姿だったはず。それがヴィトー戦では組み、ケネディ戦では打撃に良いところがなかった。
それ以前にチェール・ソネンにはテイクダウンで敗れているが、あの試合ではスタンドの打撃では攻勢で、敗れてなお可能性が見える展開だった。対してヴィトー戦とケネディ戦では良いところを出せずに封じこまれており、ペースを握られると局面を打開できないままズルズルと敗れるという印象を残してしまった。昨年秋に網膜剥離を発症し、ケージを離れていたこともあったビスピンだが、復帰後のケネディ戦での動きの悪さと、何よりも精神的にも劣勢の局面で集中力が持続できなかった点は気になる。
一方、カン・リーにしても不安が大きいことは否めない。なんせ、今年の5月で42歳を迎えており、この試合が1年9カ月振りの実戦復帰となる。TUFチャイナではチーム代表でなく、番組ナビゲーター的な立場で出演していたカン・リーは、知っての通り散打がベース。その散打で活躍できた背景には、高校からカレッジに掛けて活躍していたレスリングのベースがあった。倒れない、そして掴ませない戦いの第一人者のカン・リー、蹴り技中心の打撃スタイルだけに、やはり年齢から来る衰え、ブランクの長さで長所だった反応力にどのような影響を与えるのかは、大切になってくる。
以前はステップインとバックステップが一体化した動きで、相手を誘い見事なカウンターを入れていたカン・リー。その一番の特徴は、右フック&ストレート、左ストレート、左ミドル、右ハイ&サイドキックを、全く同じサウスポーの構えから繰り出すことができ、対戦相手を翻弄し続けてきた点にある。しかし、UFCで戦うようになり、よりパンチが強加された反面、力の入った構えとなり、蹴りとの連動性が落ちていたことは否定できない。
今回の試合、パワー勝負に出て、カン・リーの体が振られるようなことがあれば、蹴り技が少なくなりビスピン有利となるだろう。反対に力を抑え、間合いと距離で勝負を掛ければ、4月のビスピンの動きならカン・リーが捕まることはない。ビスピンが組まれ続けたのは、距離とタイミングでケネディに遅れを取っていたから、だ。よって、あの時のような調子であれば、打撃戦になってもビスピンはイニシアチブを取ることはできない。さらに強引な組みでスタミナと集中力の低下を呼ぶ可能性もある。マカオを舞台に戦う両者、カン・リーのパンチの力の入れ方、距離の測り方で試合の方向性は決まる。
■UFN48 対戦カード
<ミドル級/5分5R>
マイケル・ビスピン(英国/8位)
カン・リー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
タイロン・ウッドリー(米国/4位)
キム・ドンヒョン(韓国/10位)
<ライト級/5分3R>
ジャン・リーポン(中国)
ブレンダン・オライリー(豪州)
<TUF Chinaフェザー級決勝戦/5分3R>
ニン・グォンユ(中国)
ヤン・ジェンピン(中国)
<ウェルター級/5分3R>
ワン・サイ(中国)
ダニー・ミッチェル(英国)
<ウェルター級/5分3R>
安西信昌(日本)
アウベルト・ミナ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
ローラン・デローム(カナダ)
佐々木憂流迦(日本)
<ウェルター級/5分3R>
ワン・アンイン(中国)
コルビー・コビントン(米国)
<バンタム級/5分3R>
ヤオ・ジークイ(中国)
ロイストン・ウィー(シンガポール)
<女子バンタム級/5分3R>
エリザベス・フィリップス(米国)
ミラナ・ドゥディエヴァ(ロシア)