【Metamoris04】The Life of Jiu-Jitsu対戦=サウロ×コンプリード、キーナンはヴィニーと個性派対決へ
【写真】柔術を愛するが故に口角泡を飛ばし連盟批判も口にするサウロ・ヒベイロだが、その国際ブラジリアン柔術連盟から柔術の殿堂入りされている。ライフとしての柔術をコンプリードとの対戦で見せてくれるはずだ(C)MMAPLANET
9日(現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのピーターセン・オートモービル・ミュージアムで行われれるプロ柔術大会Metamoris04。メイン&セミがMMA色が強いラインナップとなったが、その他のカードはレジェンド対決から、モダン×ウマイタ&10thプラネットの融合対決まで柔術の神髄が堪能できる対戦が揃っている。
まずは、サウロ・ヒベイロ ×ホドリゴ・コンプリード・メデイロス戦から。この一番はレジェンド対決にして、この日唯一道着着用で行われる。7月で40歳となったサウロは、ホイラー・グレイシーの黒帯で、97年から02年の間に5度に渡って柔術世界王者に輝いた名柔術家。グラップリングでもADCC世界大会を2度制しており、また06年に行われたグラップリング大会LA SUB-Xでジェイク・シールズと戦い、ノーギの試合ながら見事に背負いで投げてみせたのも語り継がれるべき名場面となっている。
指導者としても名高く、自ら開発した技術体系を誰にでも分かり易く説明したDVDの柔術レボリューション・シリーズ、著作の柔術ユニバーシティはどれも極めて評判が高い。サウロとシャンジのヒベイロ兄弟がサンディエゴにオープンしたユニバーシティ・オブ・柔術は、柔術修行者なら一度は訪れたい聖地の一つといって過言ではないだろう。近年はアダルトの第一戦からは退いたサウロだが、ここ数年はマスター&シニアの世界選手権で圧倒的な強さを誇り、強さを維持し続けている。
対するコンプリードことホドリゴ・メディロスは現在37才。ホメロ・カヴァウカンチの黒帯で、1999年の世界大会無差別級決勝ではホレッタことホベルト・マガリャエスからアンクルで一本勝ちして世界一の座に輝いて以来、長年柔術界のトップに君臨した。ブロック・レスナーの柔術コーチを務めたことでも有名なメデイロスは、ここ数年は競技からは遠ざかっているようだが、3年前からイリノイ州ブルーミングデールに自らの道場を開き、生徒達とスパーリングは欠かしていない。なお、柔術界にはもう一人、カーウソン・グレイシーの黒帯にしてBJJレボリューション主宰のホドリゴ・メデイロスが存在するが、こちらは同性同名の別人だ。
「僕やサウロだってベリンボロや50/50はできる。でもそれより僕らの世代がやってきた柔術というものを、若い人たちに見せたいね」とメディロスが語ったこの試合。第一線を退いても柔術とともに生き続ける二人のレジェンドには、技術等を超えた生きざまを見せてもらいたい。
続いてキーナン・コーネリアス ×ヴィニシウス・マガリャエス戦、この試合はメタモリス03でマガリャエスの急病で流れたカードで、今大会で再度マッチアップされた。去年黒帯を取得したばかりのコーネリアスは、現在柔術界において最注目のファイターの一人だ。
ギあり柔術において、相手の裾を引き出して複雑に巻き付けて固定するワームガードを開発。今年のムンジアルでは、これを駆使して世界最強の中量級柔術家レアンドロ・ロの動きを完全に封じ込めて勝利し、世界中に衝撃を与えてみせた。グラップリングでも強さを発揮し、一昨年末の柔術EXPOにおいては、元世界王者のルーカス・レイチから腕十字で完全一本勝ち。去年のADCC大会の98キロ以下級においては、優勝したホムロ・バハルにマイナスポイントで敗れたものの、試合内容はコーネリアスが下から一方的に攻撃していた。
対するヴィニー・マガリャエスは、ホイラー系の黒帯にして、後にエディ・ブラボーの指導下にてラバーガードを修得、UFCでも活躍したテクニシャンだ。懐の深さを利したテイクダウンとガードワークを武器に11年ADCC大会98キロ以下級を制しており、グラップリングにおける実績ではコーネリアスを上回る。新世代の旗手を相手に、ここはベテランの意地を見せたいところ。
「モダン柔術」系の技術革新の最先端を走りつつ、抜群の極めの強さも誇るコーネリアスと、クラシカルなグレイシー柔術とブラボーの10th Planetシステムを融合させているマガリャエス。多彩な技術が飛び交う攻防を期待したい新旧対決だ。
ゲーリー・トノンとキット・デイルの米豪対決。ヘンゾ・グレイシー門下のトノンは、前回のADCCの活躍で一躍世界にその名を広めた若手選手だ。1回戦北岡悟の足関節を防いでチョークで一本勝ちし、2回戦でクロン・グレイシーと対戦。序盤クロンの十字で腕を完全に伸ばされかけたものの脱出したトノンは、その後股裂きの仕掛けから瞬く間にバックを奪ってみせて逆転。セコンドのヒクソンが息子の敗北を覚悟するところまでクロンを追い込んだ。最後は驚異的なカムバックを見せたクロンに大逆転の一本負けを喫したものの、トノンは後世に語り継がれる名勝負を演じてみせた。その後もグラップリングマッチにて、自分よりはるかに大きい重量級有望株ジェームズ・プロポロからヒールで一本勝ちするなど、強さを見せている。
対するデイルの方はオーストラリア期待の新星。キーナン・コーネリアスやパウロ・ミヤオらと同時期に色帯時代を過ごし、彼らと紙一重の接戦を展開してきた――驚異の茶帯――世代の一人だ。強靭なベースとパスガード力を武器にコパ・ポジオでも健闘を見せたデイル。今年のムンジアルの2回戦では、日本が誇るアブダビワールドプロ王者マルキーニョス・ソウザと対戦。両者死力を尽くした攻防の末僅差で敗れたもの、黒帯としても世界一流であることを証明した。
体格とパワーで勝るのはデイルだが、一発の極めや技のキレを誇るのはトノン。柔術界の未来を担う楽しみな若手対決だ。
なお、今大会ではさらにもう1試合、シークレットマッチが組まれている。オファーを受けた出場予定の2人の選手も、直前まで自分の対戦相手を知らされることはないというこの試合、アッと驚く人選に期待したい。
■Metamoris 4 対戦カード
<ノーギ/20分1R>
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)
チェール・ソネン(米国)
<メタモリスへビー級王座決定戦/ノーギ/20分1R>
ジョシュ・バーネット(米国)
ディーン・リスター(米国)
<道着/20分1R>
サウロ・ヒベイロ(ブラジル)
ホドリゴ・コンプリード・メデイロス(ブラジル)
<ノーギ/20分1R>
キーナン・コーネリアス(米国)
ヴィニシウス・マガリャエス(ブラジル)
<ノーギ/20分1R>
ゲーリー・トノン (米国)
キット・デイル(豪州)
<シークレットマッチ/20分×1R>
TBA
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