【UFN15】次世代のテクニック合戦は“型破り”ネイトに凱歌!
17日(水・現地時間)、米国ネブラスカ州オマハ・シビックオーデトリアムで『UFC Fight Night 15』が開催。メインイベントのネイト・ディアズ×ジョシュ・ニアーを筆頭に、クレイ・グイダ×マック・ダンジグ、ジョー・ローゾン×カイル・ブラッドレーといったライト級3大マッチを中心とした全10試合が行われた。
メインイベントに出場したネイトは、シーザー・グレイシー門下の若き実力者で、TUFシーズン5ウィナー。対するニアーは、かつてネイトの実兄ニック・ディアズに敗れており、弟ネイトにニック戦でのリベンジを狙う。
そのメインイベント。試合は、目まぐるしく攻守の入れ替わる次世代のテクニック合戦となった。両者一時も止まらずにポジションを変えつつ、アグレッシブに攻め続けた熱戦は、28-29、29-28、29-28=2-1のスプリット判定でネイトに凱歌。自身初のメインイベントを、ライト級トップ戦線に割って入る貴重な勝利で飾った。
また、セミファイナルでは、ともに“名勝負製造機”の呼び声高いグイダ×ダンジグの一戦が行われ、試合は1Rから期待通りのノンストップアクションを展開。この試合もまた、前評判に違わぬ好ファイトとなったが、結果は終始ペースを握ったグイダが判定3-0で勝利を掴んだ。
さらに、4月のケニー・フロリアン戦での惨敗から再起を図るジョー・ローゾンが、ウェルター級から階級を下げたカイル・ブラッドレーと激突。ローゾンがパウンドでブラッドレーを退けた。その他、全試合結果は下記の通りとなる。
■UFN15全試合結果【主要試合レポートへ】
<ライトヘビー級/5分3R>
エリック・シャファー(米国)
Def.1R4分53秒/肩固め
ヒューストン・アレクサンダー(米国)
突っ込んでの首相撲から、グラウンド状態ではないかと思われるシャファーの顔面に、ヒザ蹴りを二発ヒットさせたアレクサンダー。ヒールホールドを逃げて、トップキープに移るがレフェリーがブレイクをかける。シャファーは遠い距離からタックルを狙うが、アレクサンダーも二度にわたりディフェンスに成功する。
ケージ際で態勢を入れ替えたアレクサンダーは、オクタゴン中央で再びヒザ蹴りを見舞う。それでもガムシャラに突っ込むシャファーは、テイクダウンからサイドを奪取。アレクサンダーの右腕を両足で挟み、左ヒジを落とすが、アレクサンダーはローリングに成功し立ち上がる。直後にギロチンを狙ったシャファーだが、これを外されるもマウントを奪取し、パウンドの連打。シャファーは、残り15秒で肩固めに移行。残り7秒でタップを奪いUFCデビュー戦を白星で飾った。
<ライト級/5分3R>
クレイ・グイダ(米国)
Def.3R終了/判定
マック・ダンジグ(米国)
この日、一番の好試合が期待されるマッチアップ。左右のフックをダンジグが繰り出し、試合がスタート。ダンジグの前進を右後方へのサークルワークで見切るグイダは、パンチからタックルのフェイントを見せる。左アッパーからローを蹴るグイダがテイクダウンを仕掛けるが、ダンジグは余裕を持ってカットする。
ケージ際にグイダを追い込んだダンジグは、自ら後方へ下がると、距離と詰めようとしたグイダのが顔面にストレート一閃。さらにワンツーを振るいながら、ジャンピングニーを狙うと、これを受け止めたグイダがテイクダウンに成功。アームロックで切り返そうとしたグイダは、ケージに押し込まれながらも、スイッチから背中をみせることなく立ち上がることに成功した。
それでもハイクラッチから両足タックルに持ち替えたグイダは、豪快なスラム。さらにギロチンを仕掛けながらも思い切り持ち上げ、再びスラムを見せる。ラバーガードからオモプラッタを狙ったダンジグに対し、パウンドを振り落としたグイダ。ダンジグが立ち上がろうとしたところ、グイダがバックを伺ったところで、期待通りのノンストップアクション1Rが終了した。
2R、今度はグイダが一気に前へ出て試合が再スタート。ダンジグのジャンピング・フロントキックをキャッチしたグイダは、そのまま組みついてテイクダウンを狙う。距離をとったダンジグだが、大ぶりのフックはグイダの顔面を捉える事ができない。グイダは両足がタックルからテイクダウンを狙うと、離れ際にフックを放つ。ダンジグのパンチにタックルを合わせるグイダだが、クリーンテイクダウンを奪うには至らない。
ならばとアッパーで狙うグイダだが、ダンジグがテイクダウン狙いからヒザを突き上げる。レスリングでは優勢なグイダは、ラウンドの終了直前にバックを奪うと、豪快に後方に投げ捨て、バックマウントへ。必至の形相で正面をむき直したダンジグの顔面にグイダがエルボーを落としたところで、ラウンド終了のホーンが鳴り響いた。
最優ラウンドもノンストップアクションは続いた。ダンジグの前蹴りをかいくぐるようにテイクダウンを狙ったグイダは、首を抱えて耐えるダンジグの顔面にニーを放つ。
差し返せないダンジグだったが、スイッチから距離をとると、一気に両足タックルからテイクダウンへ。前方へ体重移動すると同時にキムラを仕掛けるが、グイダがバックを奪い返すことに成功。正面をむき直しテイクダウンを奪ったグイダに対し、ここもダンジグがアームロックで切り返そうとすると、同時にグイダがバックへ回る。
ダンジグが向きを変えると、そこでテイクダウンを奪うというグイダのペースで3Rは進み、残り試合タイムは1分。ここでもグイダがタックルからバックを奪うと、引き込んでキムラをダンジグが仕掛けたところに、グイダがパウンドをまとめ、試合はタイムアップ。
期待に違わぬ好ファイトの結果は、終始ペースを握ったグイダに軍配。ダンジグは、片足タックルのクラッチを切ることができなかったことが敗因となった。
<ライト級/5分3R>
ネイト・ディアズ(米国)
Def.3R終了/2-1判定
ジョシュ・ニアー(米国)
メインイベントは、ニアーの鋭いローキックで幕を開けた。組みついて豪快にテイクダウンを奪ったニアーは、立ち上がろうとしたネイトにダースチョークを極めにかかる。ギロチンに切り替えたニアーは、ネイトのタックルを防ぎ再びバックへ。
これをアームロックで凌ぎ、テイクダウンを狙ったネイト、片足タックルからテイクダウンを狙うが、スクランブル後、スタンドの打撃勝負へ。ネイトは距離をつめると、兄譲りの手打ちボクシングでフックの連打をニアーに見舞う。右フックからタックルのフェイント、さらにボディフックを見せるネイトは、豪快な払い腰でテイクダウンを奪うことに成功する。
ハーフガードから攻めるネイトに、ヒールフックを狙ったニアーだったが、立ち上がったネイトの豪快なパウンドを受ける。ネイトはヒザ十字から、ニアーの動きに合わせてバックマウントを奪うという華麗な動きを見せると、さらにマウントへ。ニアーがヒールで切り返したところで、白熱の1Rに終了を告げるホーンが鳴った。
2R、右と左、伸びのあるジャブを放つネイト。ニアーは組みついてテイクダウンを狙うが、ネイトはハーフガードからテイクダンを奪うようにリバーサルに成功。ヒザ十字を見せたネイトは、ここからの狙いがパスガードという新しいムーブを見せるが、ニアーはオモプラッタで反撃態勢へ。
腕を引き抜いたネイトは、パウンド。距離をとったところで、テイクダウンを狙うがニアーはバックへ飛び乗りチョークへ。ケージを蹴って、態勢を返したネイトは、さらに三角絞めへ。ケージを使った目まぐるしいケージ・グラップリングは、次世代のテクニック合戦の様相を呈してきた。
カカト落としで腹部を踏みつけたニアーは、ここでも立ち上がろうとしたネイトからバックを奪う。ネイトは胸を合わせ距離をとると、フックの連打へ。組ついてきたニアーを振り払い、ネイトが右フックを振るったところでラウンドが終了した。
一進一退の攻防を続けてきた両者は、最終3Rになっても動きを止める気配はない。サウスポーの構えから右、左とパンチを繰り出すネイト。片足タックルを狙ったが、ニアーはまたもバックを奪うことに成功。
しかし、向き直したネイトは久し振りのクリーンテイクダウンへ。足をからませてスクランブルの状態から、足関節、さらにオモプラッタを仕掛けたニアーだが、最終的にはガードへ。ボディへ拳を落とすネイトは、一気にパスを狙うが、ニアーがしっかりクローズドガード。ここから腕十字、オモプラッタを狙うが、ネイトが立ち上がり試合はスタンドへ。
と、ここでネイトがテイクダウン狙いからバックを制して、グラウンドへ。オモプラッタを潰してパスを狙うが、ニアーもしっかりと足をきかせてくる。執拗にオモプラッタを狙うニアーは、そこからスクランブルを狙うが、ネイトは片足タックルをしかけ、ニアーを立たせない。バックを窺うニアーを、はね腰のような形でネイトが投げ捨てたところで試合終了となった。
両者、一時も止まらずポジションを変えつつ、アグレッシブに攻め続けた熱戦は、28-29、29-28、29-28、2-1でネイトに凱歌が上がった。
勝利者インタビューでは、何と実兄ニックが1ヶ月半後にEXC世界王座に挑むことをアピール、インタビュアーのジョー・ローガンが思わす苦笑いするシーンも。型破りなディアズ
兄弟から、あらゆる意味で目が離せない。