【UFC88】メインは壮絶KO決着!ダンヘン復活&長南初勝ち名乗り
9月6日(土・現地時間)米国ジョージア州アトランタのフィリップスアリーナで『UFC88 BREAKTHROUGH』が開催された。
【写真】リデルのアッパーに合わせ、右フック一発でKO勝ちしたラシャド・エヴァンス (C)ZUFFA
昨年末のヴァンダレイ・シウバ戦以来となる“ジ・アイスマン”チャック・リデルが、17戦16勝1分の若き脅威=ラシャド・エヴァンスと激突するメインイベントを筆頭に、ライトヘビー級に階級を上げた元UFCミドル級王者リッチ・フランクリンが、聴覚障害のハンディキャップを持ちながら、TUF3の人気者となったマット・ハミルと対戦する一番、“PRIDEダブルクラウン”ダン・ヘンダーソン×ブラジル最強戦士“新柔術マジシャン”ホウジマール・トキーニョ・パリャレス、さらには、日本の長南亮×ジュカォン・カルネイロといった見逃せない一番が行われた。
そのメインイベント。“ミスターUFC”リデルは、序盤からエヴァンスにプレッシャーを掛け、じわじわと距離を詰めては、フックやストレートを放っていくも、2Rには、打ち合いの最中、エヴァンスが左のジャブからオーバーハンドのクロールフックで反撃。リデルは右アッパーを狙っていたが、エヴァンスの“右”がいち早くリデルの顎を撃ち抜き、この一撃でリデルは完全失神KO。エヴァンスが、UFCでも屈指のKOシーンとして語り継がれるであろうビッグインパクトの勝利を挙げるとともに、PPV開始後、全般的に低調だった今大会の最後を衝撃のKO決着で締めた。
また、ヘンダーソンとトキーニョによるミドル級新旧実力者対決は、減量に苦しんだというトキーニョが本来の動きには程遠く、試合中盤以降はヘンダーソンにも消耗がみられたため、やや期待外れの内容となったが、最後は、要所を締めたヘンダーソンが判定勝利。PRIDEから復帰後初、そして、10年3ヵ月ぶりのUFC勝ち名乗りを受けた。
そして、日本から出場を果たした長南亮は、第1試合で、過去にDEEPで対戦している因縁のホアン・ジュカォン・カルネイロと対戦。試合は互いの持ち味を消しあう精神戦となったが、際どいスプリットデシジョンで長南が接戦を制し、価値あるUFC初勝利を挙げた。
※今大会に出場予定の吉田善行は、カロ・パリシャンが負傷をしたため、試合は中止に
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<ウェルター級/5分3R>
長南 亮
Def.3R終了/スプリット判定
ホアン・ジュカォン・カルネイロ
かなり大き目の声援を受けた長南だが、ジョージア在住というコールを受けたジュカォンには、それを大きく上回るファンの声援が集まる。
左ミドルを入れた長南。ジュカォンのテイクダウン狙いをしっかりと切る。ガードを取ったジュカォンにパウンドを落とすが、三角絞めからオモプラッタでスイープを許す。そのままパスガードに成功したジュカォンは、マウントを狙ったが、長南が足を入れていく。
再びパスを狙うジュカォンは、長南をケージに詰めて強烈な左右のパンチを落としていく。パウンドにエルボーを織り交ぜるジュカォンに対し、長南はアナコンダチョークを警戒しつつ、立ち上がることに成功。再びジュカォンのテイクダウンを切った長南は、チームクエストでのトレーニングの成果を見せたが、グラウンドで受けたエルボーで右目尻をカットし、1Rを終えた。
JZ・カルバン&ミウトン・ヴィエイラをセコンドに従えたジュカォン、メイハム・ミラー&雷暗暴の指示を受けた長南。2Rは足を滑らせたジュカォンから、長南がトップを奪い試合がスタート。ジュカォンはクローズドガードからエルボーを狙う。立ち上がって、ローキックを放つ長南。両者とも試合の主導権を握るに至らないが、トップをキープしている長南のラウンドといってもいい展開が続く。
ジュカォンはケージを蹴りながら腕十字を仕掛けるが、長南は右パウンドを落としピンチを凌ぐ。ならばとラバーガードから三角絞めを狙ったジュカォンは再び、ケージを蹴りあげ、腕十字を狙う。これを察知してパウンドを落とした長南が、1Rの劣勢を挽回したラウンドとなった。
最終ラウンド、ここでもテイクダウンを許さない長南。立ち上がって、片膝をついているジュカォンのボディに強烈なヒザを叩き込む。しかし、距離を取った直後にテイクダウンを奪われてしまう。長南をケージに追い込んだジュカォンは、細かいボディを落とす。続いて小刻みに顔面へのパウンドを落とされた長南は、ハーフガードの体勢に持ち込むが、左のエルボーを顔面に受けてしまう。
立ち上がった長南、ここでテイクダウンをスクロールしトップを奪う。疲れを見せたジュカォン、クローズドガードを取って時間が過ぎるの待つ。立ち上がって大きな振りのパウンドを狙った長南だが、空振り。しかし、最後の最後にパウンドを連打し試合終了を迎えた。
動きが少ない精神戦は、29-28、29-28、28-29という際どいスプリットデシジョンで長南が勝利。従来の活きの良さを米国のファンに披露したとは言い難い試合だったが、何よりも勝利が大切な一番で、相手の良さを完封して手にした判定勝利。“らしさ”の前に、絶対に落とせない試合での勝利、その意味は大きい。
<ミドル級/5分3R>
ジェイソン・マクドナルド
Def.2R1分20秒/リアネイキドチョーク
ジェイソン・ランバート
試合開始早々にテイクダウンを奪ったマクドナルドに対し、得意のギロチンにとらえたランバート。ハーフガードから絞め続けるが、フィニッシュに至らず、首を引き抜いたマクドナルドがパスを狙う。クローズガードから、ギロチンを仕掛けようとするランバートが、常にマクドナルドの首を抱えるため、動きが極端に少なくなってしまう。
マクドナルドが左エルボーと左パウンドの連打を見せると、ランバートは苦し紛れのアームロックを狙う。腕を引き抜きパウンドを落とすマクドナルドだったが、ここでランバートがギロチンの態勢に。左腕がしっかりとマクドナルドの首に巻きついたが、ここで1Rが終了した。
九死に一生を得たマクドナルドは、2R開始早々、左右のフックからテイクダウンに成功。ギロチンを警戒しつつハーフガードからパスに成功する。さらにマウントを奪うと、暴れるランバートを制し、マクドナルドは4の字フック&タスキ掛けからでバックマウントの態勢を築くと、そのままリアネイキドチョークに捕え、一本勝ちを手にした。
<ライトヘビー級/5分3R>
ティム・ボーテッシュ
Def.1R2分3秒/TKO
ミハエル・パット
UFCライト級の名脇役ジョージ・グーゲルの教え子ミハエル・パットが、UFC初登場。パットのローキックに右を合わせるボーテッシュ。蹴りを多用するパットが、キックとパンチのコンビネーションンでボーテッシュを追い込み始める。
しかし、パットが左ローキックを放ったところで、左フックを放ち目線をずらしたボーテッシュは右ストレート一発でダウンを奪い、追い打ちのパウンドを連打すると、レフェリーが試合をストップ。1R2分3秒、TKOでボーテッシュが勝利を収めた。
<ライト級/5分3R>
カート・ペルグリーノ
Def.3R終了/判定
チアゴ・タバレス
両者ともに、パンチを見せてテイクダウンをうかがう序盤、まずはペルグリーノの右がヒット。直後にタバレスの右に、強烈な左のカウンターを合わせたペルグリーノがダウンを奪う。
パウンドで試合を決めにかかったペルグリーノだが、タバレスは潜りからスイープを狙う。立ち上がり、距離をとったペルグリーノの左ストレートが、再びタバレスにヒット。パウンドを落としながらマウントを奪取すると、必至の形相で、タバレスがしがみつき、次の手が打てなくなると、ペルグリーノはハーフに戻り、立ち上がってパウンドを豪快に振り落とす。
片足タックルから立ち上がることに成功したタバレスだが、スタンドに戻るとパンチを受けてしまう展開から抜け出せない。
タックルから引き込きこみ、ペルグリーノの頭のエルボーを突き刺すタバレスだったが、マウントを奪われた時に受けたエルボーで、右目の上を大きくカットし厳しい状況が続いた。
2R、ペルグリーノの左ジャブが伸びてくるため、組みつくことができないタバレスが手を広げて左手を突き出すと、指がペルグリーノの目を突き刺し、試合が一時中断する。再開後、左右のフックから前進したタバレス、アッパーからニーを叩き込まれながらようやく組みつくことに成功する。
しかし、元はレスラーで黒帯柔術家のペルグリーノはテイクダウンを許すことなく、試合を打撃戦に持ち込む。再び組みついたタバレスは、ボディへの膝蹴りにタイミングをあわせ、足をかけてようやくテイクダウンに成功する。
しかし、タバレスが攻めあぐねているとペルグリーノは腕十字へ。一瞬タップのような仕草を見せたタバレスだったが、レフェリーがストップしないまま、この試みを凌ぐ。その後、鉄槌の連打で初めて試合の主導権を握ったタバレス、続いて左ヒジとパウンドを織り交ぜ、反撃の狼煙を上げて2Rを終えた。
最終ラウンド、スタンドのパンチからテイクダウンを狙ったタバレスの首をとらえたペルグリーノは、ギロチンにこだわることなく、再び距離を取り打撃戦を選択する。右ミドルからパンチ攻撃につなげたタバレスだが、ペルグリーノのハイクラッチ片足タックルに手を焼き、有効な攻撃を見せることができない。
ようやくテイクダウンを決めたかタバレスだったが、ペルグリーノは先に立ち上がり抜群の反応からバックを奪う。ここを逃れたタバレスは、片足タックルからペルグリーノをケージに追い込むが、レフェリーがブレイクを命じ、試合はオクタゴン中央へ。
一縷の望みをかけるようにテイクダウンを仕掛けてきたタバレスに対し、ペルグリーノはアナコンダチョークへ。これを嫌がり、首を引き抜こうとしたタバレスのバランスが後方に傾くと、すかさずテイクダウンを奪う。最後はトップキープで試合をまとめたペルグリーノが、29-27、29-27、29-28の3-0で判定勝ちを収めた。
<ウェルター級/5分3R>
キム・ドンヒョン
Def.3R終了/判定2-1
マット・ブラウン
スタンガンというニックネームがつけられた韓国のキム・ドンヒョンは、TUFファイターのマット・ブラウンの首相撲に捕まったが、かわまずテイクダウンからバックへ。一度は逃げられそうになったが、スタンドのままバックマウントを奪いチョークを狙う。
このチョークはブラウンに外されたが、再びブラウンの背中に飛びつきバックマウントへ。前方に落とされ、ハイガードから三角を狙うドンヒョンの足をさばいたブラウンは、USAコールに後押しされ、ドンヒョンのテイクダウン・アテンプトを凌いでいく。
払い腰を狙ったドンヒョンは、ブラウンにバックを許しチョークを仕掛けられてしまう。首を引き抜き、バックを奪い返したドンヒョン。前方に落とされ、アームロックを狙ったところで1Rが終了した。
2R、インターバル中にセコンドのマット・ヒュームが「彼はすごく疲れている」と指示を受けたブラウン、その言葉通りドンヒョンは大きく肩で息をして2Rを迎えた。
ドンヒョンの左ストレートに、右ボディを合わせたブラウン、飛びヒザでバランスを崩したドンヒョンを首相撲に捕えて、ヒザを突き上げていく。ドンヒョンのテイクダウン狙いを潰し、細かいアッパーをヒットさせるブラウンは徐々に試合の主導権を握っていく。
完全に疲れたドンヒョンは、ガードポジションから蹴りあげを狙うが、なんとここでブラウンがバックブローを放っていく。が、立ち上がったドンヒョンを首相撲に捉えヒザを見舞うブラウンも肩で息をするようになった。
ドンヒョンは左ストレートに、胴タックルを合わせられると引き込むようにテイクダウンを許す。残り10秒で肩固めを諦めたブラウンは、半身のドンヒョンの顔面にエルボーとパウンドを落とし、このラウンドを完全にモノにした。
ドンヒョンは2Rを敢えて捨てて、スタミナの回復に努めたのか、あるいは、なす術なく攻め込まれたのか、答が出る最終ラウンド。ドンヒョンのハイキックをブロックし、ブラウンはローキックを放っていく。胴タックルから、後方にブラウンを倒しテイクダウンを奪ったドンヒョンだったが、サイドを取りながらブラウンに立ち上がられてしまう。
内股にヒザ蹴りを合わしたブラウンは、片足タックルからボディアッパーを放つ。思い切り左ストレートを放ったドンヒョンは、再びテイクダウンを奪うと、トップをキープ。ここでドンヒョンは左エルボーを落とし、ブラウンの左頬をカットすることに成功する。スクランブリングからギロチン、立ち上がることを狙ったブラウンだったが、ドンヒョンはこれを押し潰しトップの状態で試合終了を迎えた。
判定は2-1でドンヒョン。会場ではブーイングが起こり、ドンヒョンは「判定は嫌いだ。ファンに申し訳ない、次は違う姿を見せる」とコメントを残す。対するブラウンは、「判定は関係ない。僕はフィニッシュすることを目指している」と言い、声援を集めたが、ドンヒョンは1Rと3Rを制しており1ポイントがブラウンに入ること事態、首を傾げたくなる勝利だったといえる。
<ミドル級/5分3R>
ネイト・マーコート
Def.1R1分22秒/TKO
マーティン・カンプマン
ミドル級の実力者対決。序盤から激しいパンチの交換を見せ、両者ともにミドルキックを放つシーンも。オクタゴン中央でプレッシャーをかけるカンプマンだったが、マーコートの右ハイキックでカンプマンがダウン。立ち上がって組つくことに成功したカンプマンだが、首相撲からニーキックのヒットを受け、完全に動きが止まってしまう。
ショートフックの連打、そしてアッパーを突き上げたマーコート、カンプマンがしゃがみ込んでしまったところでレフェリーが試合をストップ。最初の勝機をモノにしたマーコートが、カンプマンにUFC初黒星をつけた。
<ミドル級/5分3R>
ダン・ヘンダーソン
Def.3R終了/判定
ホウジマール・トキーニョ
10歳違いの二人による、注目のミドル級戦。しかし、28歳のトキーニョは、減量に苦しみスタミナではヘンダーソンに分があると見られている。ジリジリと距離を詰めていくヘンダーソン、ケージに追い込まれたトキーニョはテイクダウンを狙うが、ここでヘンダーソンのアッパーが両ヒザをついた状態のトキーニョの顔面を捉える。
強烈なパウンドを落とし、トキーニョの足関節狙いを防ぎスタンドに戻ったヘンダーソン。トキーニョの遠い距離からのタックルを完全に見切っている。タックルを切ったところで、アッパーを叩き込むヘンダーソンに対し、トキーニョは攻め手が見つからない。ガムシャラに飛び込み、バランスを崩したトキーニョの顔面にフックを見舞うと、新柔術マジシャンは再びグラウンドへ。
ようやくトップを奪うことに成功したトキーニョだったが、残り時間30秒では決定的なシーンを迎えることもできず、ヒザ十字を仕掛けたところで1Rタイムアップとなった。
2R、トキーニョの右ハイを掴んで倒したヘンダーソン。寝技にいくことなくスタンドをキープするが、直後にトキーニョが両足タックルでテイクダウンを奪うことに成功。クローズドガードを取ったヘンダーソンに、トキーニョがヒールフックを仕掛ける。体をひねりながらエスケープに成功したヘンダーソンは、再びスタンドへと戻る。
ヘンダーソンはタックルを切り、がぶってアッパーを狙うが、これは空振り。試合を優勢に進めるヘンダーソンも疲れが見え始める。それでもトップを奪ったヘンダーソンは、クローズドガードを取る番となったトキーニョにエルボーを落としていく。
関節技の仕掛けを嫌がり、がっちりと抑え込むヘンダーソン。レフェリーがブレイクを命じ、試合がスタンドに戻っても、目立った攻防がないまま試合は最終ラウンドへ。
タックルを切られ、後ろ回し蹴りを繰り出したトキーニョ。カポエリスタを思わせる蹴り技を見せるが、クリーンヒットはない。反対に左ジャブを受けると、テイクダウン狙いから引き込むも、ヘンダーソンが寝技につきあうことはない。
残り時間3分、疲れからか前に出られないヘンダーソン。そのヘンダーソンのパンチを受け、テイクダウンに結びつけることができないトキーニョ。動きのないまま1分が経過し、館内にブーイングが響き渡る。
テイクダウン狙いから、足関節に結び付けようとするトキーニョだが、この動きは完全に読まれており、功を奏すことはない。それでも右ストレートを受けながら、ヘンダーソンの右足をキャッチするが、凌がれると万事休す。残り20秒でトキーニョはテイクダウンを仕掛けたが、これを凌がれ引き込んだところにパウンドを落とされ、腕関節狙いが不発に終わると、試合が終了。
スタミナ面で衰えを見せたヘンダーソン、打撃の防御とテイクダウンを防がれた場合――、二つの不安要素をそのまま試合で露呈したトキーニョ。期待が高かった一戦は、やや期待外れに終わったが、結果ヘンダーソンがPRIDEから復帰後初、そして、10年3カ月ぶりのUFC勝ち名乗りを受けた。
<ライトヘビー級/5分3R>
リッチ・フランクリン
Def.3R39秒/TKO
マット・ハミル
左ローを放つフランクリン。ショートアッパーをヒットさせたハミルは、続いてフランクリンのローに左フックを合わせる。歩を前に進めて左右のフックを放つハミルに対して、フランクリンがカウンター気味にローキックを放つも、負けじとハミルはフックにアッパーを重ねていく。
フットワークとスイッチで、フランクリンを惑わせるハミルは、パンチ攻撃に合わせてテイクダウンを奪う。腕十字で反撃に出るフランクリンは、立ち上がり際にニーを顔面にヒットさせた。
2R、右目じりをカットしているフランクリンはモニターで自身を確認し、笑顔を浮かべて試合再開を迎える。ローキックを掴みにきたハミルの顔面を、フランクリンのハイキックがかすめるなど、フランクリンは余裕を感じさせるが、ここでレフェリーが試合を中断。ドクターがフランクリンの傷口をチェックするが、試合は続行され、引き続きローキックを掴もうとするハミルに今度はパンチを見舞っていく。
ローキックを受け、動きが鈍くなりつつあったハミル。ここでフランクリンが重ねて放つローキックがハミルの急所を捉え、再び試合は中断された。
その後もフランクリンのパンチを受けながらも、パンチを返していくハミルだったが、試合の主導権はフランクリンが握ったまま譲らない。ハミルのスイッチもむなしく、フランクリンは左右のローキックで追い込み、打撃の間合いを掴んでいく。と、フランクリンは距離を詰め、パンチからローのコンビネーションを見せ、ハミルの足を止めることに成功。あくまでも蹴り足をキャッチすることにこだわるハミルだが、攻め手が見つからないことを露呈しているようにも感じられる。ジャンピングニーを見せるなど、フランクリングが試合を支配したまま2Rを終えた。
インターバルの間に、しっかりとカットした場所に応急処置を施したフランクリン陣営。下段と見せてニーを突き上げると、直後に左ミドルキック一閃。ローを利かせて、ハミルの神経を下半身に集中させた上でのニー&ミドル。うずくまったハミルに、パウンドを軽く見舞いフランクリンが、理詰めのTKO勝ちを収めた。
<ライトヘビー級/5分3R>
ラシャド・エヴァンス
Def.2R1分51秒/TKO
チャック・リデル
なぜか、乳首を摘むような仕草を見せるエヴァンス、コール時にはブーイングを浴びる。対して米国MMAワールド一番の人気者リデルは、割れんばかりの大声援が送られた。
王座奪回に向け、負けられない戦いに挑むリデルは、いつものように脇が空き、やや半身のクラウチングで構える。互いに手を出さないまま1分が経過すると、さすがに場内にブーイングがこだまする。と、リデルのロングレンジの右ストレートがエヴァンスを捉え、一瞬、動きが止まる。
あわてて追い打ちを掛けることなく、じっくりと攻めるリデル。続いて放った右ストレートは、エヴァンスがスウェイでかわす。エヴァンスの右ストレート、リデルの右と、互いに空を切るなか、エヴァンスのローキックがヒット。サウスポーにスイッチし、すぐにオーソドックスに戻したエヴァンスは、その後もスイッチを見せるが、そこから何か攻撃するというわけでなく、結局はオーソドックスからローを繰り出した。
距離を詰めようとするリデルに、ケージ際をサークル上に周り距離を取るエヴァンスは、リデルのスタミナを奪う作戦か、ほとんど自ら攻めることなく1Rを終えた。
2R、ここでもリーチで勝るリデルが前に出て、初めてパンチの交換が実現する。ケージに追い詰められ、パンチを軽く受けたエヴァンスは再びサークル上に動き、距離を取る。と、自ら前に出て右を出したエヴァンスを、リデルは左で迎えうつ。
エヴァンスを追いかけるリデルが右アッパーを狙ったところ、エヴァンスの対角線上からオーバーハンドのクロールフックがリデルの顔面を打ち抜いた。
この一発で、リデルは完全失神。ラシャド・エヴァンスが無敗をキープし、キャリア最大の勝利を挙げた。