【ONE FF114】展望 吉成名高が本格参戦。バンルーロックの強打とリズムを短期決戦でどう攻略するか?
【写真】ムエタイのPFPにも挙げられる吉成名高。MMAグローブ&3分3RのONEムエタイでどんなパフォーマンスを見せるか(C)ONE
27日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 114。今大会には日本からムエタイルールで吉成名高、品川朝陽、石井寿来、サブミッション・グラップリングで須藤拓真の4選手が参戦する。
text by Takumi Nakamura
やはり注目はONEと独占契約を結び、今大会からONEに本格参戦する吉成だろう。吉成は日本人初のラジャダムナン・ルンピニースタジアムの統一王者(ミニフライ級)にして、ラジャダムナンスタジアムでは3階級制覇(ミニフライ級・フライ級・スーパーフライ級)を達成。2023年以降、タイではラジャダムナンスタジアムで行われているRWSで戦ってきたが、3月のONE日本大会出場を経て、ONEへの継続参戦が決まった。
ONE本格参戦となる吉成の対戦相手は、ONE Friday Fightsで3連続KO勝利中のバンルーロック・シットワチャラチャイ。元オムノーイスタジアム王者という肩書を持つ一方、アマチュアムエタイの大会にも出場して実績を残している。
ファイトスタイルは基本的にサウスポーのテクニシャンタイプで左ストレートが最大の武器だが、右アッパーや右フックの使い方が巧みで、ステップや踏み込みのリズムも一般的なムエタイとは異なる。3連続KO勝利という結果だけを見るとハードパンチャーというイメージがあるかもしれないが、左ストレートにつなげるまでのフェイントや試合の作り方が上手いファイターだ。
ムエタイでの実績はバンルーロックを大きく上回る吉成だが、MMAグローブ着用のムエタイルールは似て非なるもの。すでに吉成もMMAグローブでのムエタイルールを3戦経験し、ONE日本大会ではアトム級のトップ選手のラック・エラワンにKO勝利しているが、バンルーロックはエラワン以上にONEムエタイに特化したファイトスタイルとも言える。
また3分3Rかつラウンドマストとなると、吉成がバンルーロックのリズムに慣れる前に、バンルーロックに微差を取られてポイントをリードされて逃げ切られる――という可能性もゼロではなく、吉成のONE本格参戦の第一歩は決して楽な戦いにはならないだろう。とはいえ吉成はタイスポーツ省認定・WMO(世界ムエタイ機構)が選ぶパウンド・フォー・パウンドランキングではスーパーレック・キアットモー9やロッタン・ジットムアンノンを押さえて1位にも選出されるファイター。バンルーロックの左の強打とリズムを短期決戦でどう攻略するかに注目したい。
吉成と同門の品川朝陽は約2年7カ月ぶりのONE参戦。対戦相手のペットプーパー・エックプーイーンは蹴りとヒジを得意とするムエタイ王道のスタイルで、品川としては得意のパンチとローで圧力をかける試合運びでペットプーパーを押し切りたい。
石井寿来も約1年2カ月ぶりと久々のONE参戦。前回は片島聡志との日本人対決だったが、今回はモロッコのユネス・ムーニンとの対戦となる。ムーニンはステップワークを駆使してパンチをまとめてから蹴りにつなげるヨーロッパ系のファイターで、いかにムーニンに足を使わせずに戦うかが石井には求められる。