【RIZIN OTOKOMATSURI】フェザー級王者シェイドゥラエフ「RIZINと契約する前にUFC参戦のオファーが」
【写真】美しいベルトが似合うチャンピオン(C)MMAPLANET
4日(日)に東京都文京区の東京ドームで開催されたRIZIN男祭りで、ラジャブアリ・シェイドゥラエフがクレベル・コイケにKO勝利し、RIZINフェザー級王座に就いた。
text by Takumi Nakamura
武田光司戦、フアン・アルチュレタ戦、久保優太戦では圧倒的な強さを見せつけたラジャブアリ。今回のクレベル戦でも右二連発でクレベルをマットに沈め、RIZINフェザー級の頂点に立った。
これでMMA戦績を13戦13勝としたラジャブアリだが、クレベル戦を映像でチェックして感じたことは「ようやく自分がMMAファイターになれた」だったという。
さらにRIZIN参戦でキルギスでの生活が変わったというラジャブアリはRIZIN参戦前にUFCからコンタクトがあったことを明かしつつ、RIZINで戦うことへの想いを語った。
──ラジャブアリ選手、RIZINフェザー級王座戴冠おめでとうございます。キルギスでたくさんの人たちに祝福されている様子を色々なメディアで目にしました。
「空港には自分の家族、親戚、チームメンバー、スパーリングパートナー、メディア……たくさんの人たちが迎えに来てくれて、みんなものすごく喜んでいたよ。ただ成田からの出発が3時間ほど遅れて、イスタンブールで上手く乗り換えできず、最終的に5時間ほど遅れてキルギスに到着したんだ。はじめは500人以上空港に来てくれたいたんだけど、最終的に残っていたのは2~300人だったくらいかな。でも5時間到着が遅れても、それだけの人が待ってくれていたことは本当にうれしいよ」
──日本でベルトを巻いた時よりも地元に帰った時の方がベルトを獲った喜びは強くなりましたか。
「その時の感情はここが1番だとかここが2番だとか順番はつけられないけど、試合に勝った直後にリング上で榊原さんに初めてチャンピオンベルトを巻いてもらった時、自分のことを本当に誇らしく思ったよ。あの時の会場の雰囲気、日本の大勢のファンの応援やサポートなど、最高で素晴らしい気持ちだった。キルギスにベルトを持ち帰ってからは両親にチャンピオンになったことを報告して、みんなでベルトと一緒に写真を撮ったりして、言葉にできないぐらい素晴らしい気持ちになったよ」
――キルギスでは他のMMAイベントと比べてもRIZINの人気が高いのですか。
「RIZINはキルギスだけではなく中央アジア全体で注目されていて、今ものすごく人気になっている。PRIDE時代からRIZINを見ている世代もいるし、RIZINから見ている世代もいて、色んな世代から人気があるんだ。自分もRIZINに出るようになってから街で声を掛けられたり、サインや写真をお願いすることがものすごく増えたよ。ただまだキルギスのファンはおとなしくて、日本のファンの方が熱狂的に応援してくれる(笑)」
──ラジャブアリ選手のInstagramを拝見したのですが、キルギスでスポーツメーカーのモデルをやられていますよね。
「あれはキルギスでスポーツ用品を売っているインタースポーツという大きなチェーン店で、そこのアンバサダーをやらせてもらっているんだ。これもすべてRIZINのおかげで、RIZINに出るようになって様々な企業からコラボレーション、CM、PRの仕事をオファーしてもらえるようになった」
──日本人として日本のイベントで活躍した選手が母国に帰って注目されることは我々としても嬉しい限りです。さてクレベル戦のことも聞かせてもらいたいと思います。試合時間は62秒、スタンドでの右フック2連発でのKO勝ちでしたが、改めて試合映像で観てどんな感想を持ちましたか。
「僕は今回の試合だけじゃなく、毎回試合後に自分の試合映像を何回も見る。それは自分の動きや戦略がどうであったかを確認するためであり、自分自身の成長率を把握するためだ。何度も自分の試合を見ることで、自分のどこが成長していて、どこが成長していないのか…色んなことが分かってくるんだよ」
──ラジャブアリ選手自身、クレベル戦ではどんなところに成長を感じましたか。
「今までの試合ではストライキングはあまり使わず、ほとんどレスリングや組技を中心に試合をしてきた。でもクレベル戦では初めて自分のストライキングを使って試合をフィニッシュすることが出来た。今回の試合映像を見て感じたのは、自分もやっと本格的なMMAファイターとして色んな技を使えるようになったということ。レスリングに偏るのでなく、ストライキングでも戦うことが出来るようになり、ようやく自分がMMAファイターになれたと思った」
――これからラジャブアリ選手はRIZIN王者として試合が続いていくことになります。今後はこれまで対戦経験が少なかった米国人選手と戦いたいという気持ちはありますか。
「まずはじめに自分はRIZINのチャンピオンであり、RIZINとの契約を尊重しているから、RIZINが相手を選んでくれたら、それに従って喜んでオファーを受けて戦いたい。その前提がありつつ、希望を聞かせてほしいと言われるなら、自分が最強の格闘家であることを日本だけじゃなくて全世界に証明したいし、RIZINチャンピオンの自分が最強のチャンピオンであることを証明し続けたいので、UFCのイリャ・トプリア(※現在はライト級に転向)やアレックス・ヴォルカノフスキーと戦いたい。それは一人の格闘家としての素直な気持ちだ」
──ラジャブアリ選手はRIZIN参戦前に様々な選択肢があったと思うのですが、RIZINで戦うことには特別な想いや思い入れがありますか。
「実は昨年RIZINと契約する前にUFCとつながりのあるマネージメントから、UFC参戦に関するオファーがあったんだ。ただすでに私にはマネージャーがいて、そのマネージャーと試合の話をしていたから、他のマネージメントから来るオファーを断っていた。そして私のマネージャーを通じてRIZINからオファーをもらい、具体的な条件を提示してもらった。自分にとってはRIZINのオファーが非常に魅力的なもので、それがきっかけで自分はRIZINと契約することを決めた。もちろんPRIDEの時代から日本のMMAを見ていたし、日本、そしてRIZINの会場で試合をすることは自分にとって凄く光栄なことで、そういった思い入れのある団体で試合することには大きな意味を感じている」
──ラジャブアリ選手が活躍することで、同じジムの若い選手でRIZINで戦いたいと思う選手も増えているのですか。
「自分がRIZINで試合するようになってから同じチームの選手たちから『どうやればRIZINで活躍できるんだ?』とリクエストされている。我々はRIZINと連携して色んな取り組みを続けていて、57キロ、61キロ、66キロ、70キロ…あらゆるカテゴリーに自分のような強い格闘家がたくさんいるから、RIZINにいつでも紹介できるということを伝えてあるんだ」
──なるほど。もしラジャブアリ選手と同門の選手がみんなラジャブアリ選手と同じくらい強かったら、RIZINのチャンピオンは全員キルギスの選手になってしまいますね(笑)。
「ハハハハハ。自分としてはそうなったらうれしいけどね(笑)。とにかくキルギスには強くて実績のある選手がたくさんいるから、自分以外のキルギス人ファイターにも注目してほしいよ」
──欠場になってしまいましたが今年のRoad to UFCに出場予定だったアディレット・ヌルマトフはラジャブアリ選手の同門ですよね。
「そうなんだ。ヌルマトフは私の先輩で、彼は本当にフィジカル面にすぐれたファイターだ。ヌルマトフはRTUに出る予定だったけど、彼もずっとRIZINで戦いたいと言っているから、ぜひRIZINで戦ってほしいね。ぜひジャーナリストの立場として、あなたからもヌルマトフをRIZINに推薦してもらいたいよ(笑)。そのくらいヌルマトフはお薦めの選手だから」
──日本のファンはラジャブアリ選手が日本で試合をすることを楽しみにしています。最後にメッセージをいただけますか。
「日本の皆さんにまず言いたいのは、前回の試合でたくさん応援してくれて、どうもありがとう。みんな次の試合を楽しみに待っていると思うけど、その希望に応じて私もなるべく早く日本で防衛戦を戦いたい。私は毎回素晴らしい試合を見せてきたと思うけど、次の試合はもっと盛り上がる試合になると思う。楽しみにして待っていてほしい」
■RIZIN WS KORE視聴方法(予定)
5月31日(日)
午後2時~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!