【ROMAN02】「あの流れの中で今も格闘技を続けている」白木アマゾン大輔が語る現在と日沖×ペケーニョ
【写真】ノスタルジーに浸るのではなく、今を生きる。それが格闘浪漫だ(C)SHOJIRO KAMEIKE
27日(日)に東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるROMAN02にて、ROMAN柔術ルールの無差別級トーナメントが行われる。そのトーナメント1回戦でランジェル・ロドリゲスと対戦する白木アマゾン大輔のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
1980年生まれ、今年で45歳になるアマゾン。18歳の時に修斗と柔術を始めてから、もうすぐ30周年を迎えるという。今回ROMANで戦うことを決めたのは、そんな30年の間に出会った――いや、共に戦ってきた人たちとの縁だという。さらにもう一つの縁、かつてのチームメイトである日沖発の試合についても語ってもらった。
<白木アマゾン大輔インタビューPart.01はコチラから>
――10年前、すでにベリンボロやフィフティフィフティなど「モダン柔術」と呼ばれるムーブメントが柔術界を席巻していました。そんななかアマゾン選手は「自分にモダン柔術はできない。でも指導者として、できないといけない」と、加古拓渡選手に教えを乞うていた。それが最近の試合映像を視ると、今はベリンボロもやっていますよね。
「あぁ、そうですね。チョコチョコやっています」
――これだけキャリアを重ねていても、まだ技術を研鑽し続けることができる。それも格闘技の素晴らしさではないかと思います。
「もう同年代の選手で試合に出続けているのって、僕ぐらいですかね。柔術で勝ち進んで黒帯を巻いた頃、僕が早川光由さんとどう戦うかという話題になっていた時代があったじゃないですか」
――懐かしいです。2002年に早川光由さんが中井祐樹さんに勝利し、その早川さんにアマゾン選手がどう挑むかという構図がありました。
「そうそう。早川さんと僕、そこに鶴屋浩さんが入ってきて」
――2003年の全日本オープン、激闘の末にアマゾン選手が小手絞りで鶴屋さんを下した試合は史上に残る名勝負でした。あの試合が同年末のコンテンダーズ・ダブルストーナメントに繋がって……と、想い出話をするとキリがありません(笑)。
「アハハハ。そこで言うと世代が上でも僕と同時期に戦っていた人たちは、皆さんもう試合に出ていないですからね。僕はあの流れの中で今も格闘技を続けている」
――アマゾン選手より下の世代も試合に出続けているケースは少ないです。もうすぐ現役生活30周年を迎えるアマゾン選手のことを、今回トーナメント1回戦で対戦するランジェル・ロドリゲス選手も「アマゾン先生」と呼んで敬意を持っていると聞きます。
「トーナメント1回戦で対戦するランジェル・ロドリゲス選手がまだ白帯の頃に、僕が黒帯を取得したらしいですよ。そう考えたら、僕の存在って珍しいかもしれないですね。
30周年――だからといって、何て言うんだろう? 昔は30歳になったら引退しようと思っていたんです。実際、修斗は引退しましたし。でも、ここまでほぼブランクなく試合に出続けていますよね」
――今回のROMANの試合は、アマゾン選手の中で、どのような位置づけになるのですか。
「今はそんなに『プロの試合に出たい』とは考えていないです。自分のタイミングでアマチュアの試合に出ていて、『格闘技を楽しむ』という感じで試合に出ているなか、渡辺直由さんからオファーを頂きました」
――渡辺直由さんをはじめ、まさに同じ時代を戦ってきた人たちがROMANを運営しています。
「そのROMANがプロ興行であることは重々承知していますけど、僕の中ではどこまで行っても――もう格闘技に対して『殺し合い』というイメージはなくて。技術を確認する作業になりつつあるな、とは思っています」
――確認作業として無差別級のワンデイトーナメントに出るのはキツくないですか。
「キツいですよ(苦笑)。まぁ趣味の範疇は超えていますね。他の出場メンバーも強い選手ばかりで。だけど、これもナオさんとの縁でオファーを頂いたものですからね。僕、今までプロ興行のオファーは断ったことがなくて」
――アマチュアの試合は申し込めば出場できる。逆にプロの試合でも、断ろうと思えば断れますよね。
「自分ごときが断る立場じゃないよな、って思うんですよ。ただ、最初は道着着用MMAのオファーがあって。さすがにそれは断りました(苦笑)」
――えっ!? 今のアマゾン選手に道着MMAのオファーを出すとは、浪漫がありすぎます。
「物理的に無理ですよ。もう何年も打撃の練習をやっていないんだから(笑)。ずっとMMAをやっていたからこそ、今の自分じゃできないことも分かっています。
そこでROMAN柔術のトーナメントに出ることになりました。別にトーナメントだからって、勝ち上がって決勝に行くとかは考えていません。1回戦、最初の試合をしっかり頑張ることが重要であって。それは今トーナメントに出場する時は、毎回そう思っています」
――なるほど。今回のROMANでは、かつてALIVEでチームメイトであったアマゾン選手と日沖選手が同じ日、同じ会場で戦います。
「あぁ、それはいろんなところで言われます。でも同じ大会に出るからって、何か感動するとか……特別熱い想いがあるわけじゃないです。
たぶん僕と日沖では、格闘技に対する熱が違うんですよね。僕は趣味で、ROMANも数ある大会の中のひとつ。もちろん『ナオさんが想いを持って創った大会だからこそ出る』という気持ちもあるけど、自分にとってはより格闘技を考えるための試合でもあります。
対して、日沖はMMAを戦う。あの年齢でMMAを戦うというのが凄いと思いますよ。正直、今は自分が日沖発について語るレベルにないです」
――では一人のファイターとして、日沖×ペケーニョの一戦にはどのような印象を持っていますか。
「……日沖も、MMAについて幕を引くタイミングを探しているんじゃないかと思うんです。もしかしたらペケーニョ戦のあとは、二度とMMAの試合には出ないかもしれない。そんななかでROMANでは道着着用でMMAを戦う。それはMMAと柔術――今まで日沖が歩んできた格闘技の歴史が全て一つに詰まっている試合ですよね。しかも自分と時代が被っていなかった修斗の絶対王者ペケーニョと戦う。これってまさかの対戦じゃないですか」
――はい。
「日沖自身、こうなるとは思っていなかったかもしれない。もしかしたら自分だけで自分のMMAを完結させようとしていて……そこにペケーニョが来た。これこそ運命であり、浪漫なんですよ。今回ペケーニョと戦うことで、自分が今までやってきた格闘技に対して一つの区切りはつけることができるんじゃないですか。
それは日沖が勝っても負けても――もちろん試合だから勝つほうが良いんだけれど、彼もどこかで勝ち負けを超越している存在になっていると思います。それだけ日沖は本当に凄い選手だし、僕が日沖について語るのはおこがましいですよ。だから、以上です(笑)」
■ROMAN02 視聴方法(予定)
4月27日(日)
午後12 時00分~Twit Casting LIVE
■ROMAN02 対戦カード
<R.O.M.A. RULES無差別級/時間無制限>
関根秀樹(日本)
ゲイ・ババカール(セネガル)
<ROMAN COMBATライト級/15分1R>
日沖発(日本)
アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(ブラジル)
<ROMAN COMBATウェルター級/15分1R>
大浦マイケ(ブラジル)
ウィル・チョープ(米国)
<ROMAN COMBATフェザー級/15分1R>
松本大輔(日本)
門脇英基(日本)
<ROMAN COMBATフェザー級/15分1R>
大村友也(日本)
清水俊一(日本)
<ROMAN COMBAT94キロ契約/15分1R>
中山賢一(日本)
瓜田幸造(日本)
<ROMAN COMBATバンタム級/10分1R>
江崎壽(日本)
江木伸成(日本)
<ROMAN COMBAT75キロ契約/10分1R>
押木英慶(日本)
高橋孝徳(日本)
<ROMAN COMBAT95キロ契約/10分1R>
中里謙太(日本)
田馬場貴裕(日本)
<ROMAN COMBAT95キロ契約/10分1R>
テイラー・ラング(カナダ)
関澤寿和(日本)
<ROMAN柔術無差別級T1回戦/7分1R>
ランジェル・ロドリゲス(ブラジル)
白木アマゾン大輔(日本)
<ROMAN柔術無差別級T1回戦/7分1R>
森戸新士(日本)
柳井夢翔(日本)
<ROMAN柔術フェザー級/7分1R>
大脇征吾(日本)
鍵山士門(日本)