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【Bloom FC04】モンゴルのソドノムドルジを迎え撃つ柿原RR昇汰「陸上自衛隊で日本拳法&レンジャー教育」

【写真】2023年7月のBloom FC01で勝利した時の柿原。フェザー級でこの体格は大きな武器だ(C)MMAPLANET

26日(土)福岡県の福岡市立南体育館で開催されるBloom FC04にて、柿原RR昇汰がモンゴルのソドノムドルジ・プレブドルジと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

フェザー級で180センチというフレームから繰り出される左ジャブ、そしてケージに押し込まれながら切り返して仕留めるフィニッシュ力。そんな武器を持つ柿原が所属するレンジャーズジムのお膝元で開催されるBloom FCのメインに立つ。

プロデビューから4連勝を飾りながら今年2月、パンクラスでトミー矢野に敗れて2カ月後の復帰戦となる柿原と対戦するのは、モンゴルのソドノムドルジだ。ソドノムドルジは昨年7月に松嶋こよみにTKO負けを喫しているが、その左右フックが幾度となく松嶋の顔面を捉えていた。柿原にとってチャレンジの一戦となる試合に向け、柿原にこれまでのキャリアとソドノムドルジ戦について訊いた。


――MMAPLANETでは初インタビューとなります。本題の前に、リングネームに付いている「RR」には、どのような意味があるのでしょうか。

「RRは2つのレンジャー(Ranger)ですね。もともと自分は自衛隊にいて、その時にレンジャー訓練を受けていました。それが一つめのレンジャーで、もう一つは今所属しているMMAレンジャーズジムのレンジャーなんです」

――柿原選手のベースは日本拳法だと聞きしましたが、それは自衛隊の中で行われている日本拳法なのですね。

「はい、陸上自衛隊の中の日本拳法です」

――自衛隊の徒手格闘を経験しているファイターが増えています。

「えっ、そうなのですか。徒手格闘は素手×素手ではなく、素手×ナイフ、素手×銃といった格闘術で。日本拳法については『拳法訓練隊』というものがあり、部活のような感じで練習していました」

――日本拳法は陸自の中で必須項目ではないのですね。

「徒手格闘は必須で、拳法自体は選ばれた人しか入れないです。自分がいた頃は、拳法訓練隊に入るためには、体力テストみたいな感じの素養試験がありました。レンジャー教育に入るのも同じですね。そのテストに受かったら、レンジャー教育に参加することができて」

――なるほど。なぜ陸自で日本拳法を始めようと思ったのでしょうか。

「自衛隊内では日本拳法ともう一つ、銃剣道という競技があります。自分はどちらの素養もあるという話になっていたらしくて、最初は銃剣道のほうに引っ張られそうだったんですよ。でも自分としては、人間と素手でド突き合いをしたほうが面白いんじゃないかと思って日本拳法を選びました」

――自衛隊には何年いて、どれくらいの期間、日本拳法をやっていたのですか。

「自衛隊には4年いて、入って2年目ぐらいから日本拳法を始めました。たぶん2年ぐらいはやっていたと思いますけど、途中でレンジャー教育とかで抜けたりしていたので、実質的にやっていたのは1年ぐらいだと思います」

――そのあと自衛隊を離れてMMAへ?

「同期が自衛隊を辞めてからMMAをやっていて、自分が辞めるタイミングで『格闘技をやりたい』と連絡したんです。そこで紹介してもらったのがMMAレンジャーズジムでした。自衛隊を辞めた後は1年弱ぐらい格闘技をしていない期間もありました。でも『強くなりたい』という気持ちが大きくなって――」

――自衛隊でレンジャー教育を経験し、しかも体格が良いと……。

「リーチも結構ありますし。自分で言うのも何ですけど(笑)」

――アハハハ、その通りです。一般クラスでは他の会員さんと動きも違ったのではないですか。

「まずパワーが違いました。だから他の会員さんとの練習でも、何でもパワーで返しちゃったりしていて、最初の頃はテクニックが身につかなかったです。ジムに入って8カ月ぐらい経って、初めて試合に出たんですよ。そのあたりから技術的なことを考え始めました」

――陸自時代の日本拳法は、その時点でMMAにどれぐらい役立っていましたか。

「半分ぐらいは影響していると思います。やっぱり距離感、打撃は拳法チックなところがあると思います。そこにプラス、自分でもジャブの打ち方を研究してきました」

――さらにBloomではこれまで、ケージ際での返し技でフィニッシュしています。

Bloom FC01では盛坪チャッピー大樹にケージへ押し込まれるとキムラで切り返してトップを奪取。そのまま垂直ヒジをボディに落とすなどエグイ攻撃を見せた。続くBloom Fcでもドライブしてきた荒井銀二をニンジャチョークで仕留めている(C)MMAPLANET

「ああいうカウンターの技は得意ですね。まずは打撃で勝負したいけど――実は打撃の作戦を組んでいて、あまり組む予定じゃなかったんですよ(笑)。柔術の練習を始めたのは、昨年ROMANに出た頃からです。ゼロからの挑戦というか、新しいことをやってみようと思って」

――続くパンクラスのトミー矢野戦では初黒星を喫しました。

「トミー選手が強かったです。パンクラスでネオブラを取って、地方でも強い選手がいるぞというところを見せたかったんですけど、それができなくて悔しい結果になりました」

――トミー戦から2カ月で、復帰戦がモンゴル人選手との国際戦というのも、なかなかキツい道程ではあると思います。

「今後は海外選手と対戦することも増えるでしょうし、強い選手と試合するのが一番強くなるための近道だと思っています。今回は自分からハントさんに『5分3Rでやりたいです』と伝えたんですよ。そうしたら『海外選手でも良いか?』と聞かれて――もともと自分も強い選手とやりたかったですし、『大丈夫です』と答えました」

――レンジャーズジムのお膝元である福岡での試合は、気持ちも変わりますか。

「いや、そこまで意識は変わらないかもしれないですね」

――はい。自分で聞いておいて何ですが、あくまで目の前の敵に勝つ、相手を仕留めることに集中するタイプなのだろうと思います。

「アハハハ、そうですね。地元といえば僕は佐賀県出身で、RIZIN佐賀大会が開催された佐賀アリーナがある場所は、完全に地元なんです。佐賀アリーナの近くに出身の小学校も中学校もあります。高校時代に走ったり筋トレしていたのも、佐賀アリーナの近くでした(笑)。まだプロデビューしたばかりでしたけど、あの時は地元で試合をしたかったです」

――いずれまた地元で大会が開催されれば出たいですか。MMAを戦ううえで目標は?

「最終的には、世界最強になることですね。それまでに、まずは国内のベルトを獲ってから海外に挑みたいですね。先日Road to UFCのメンバーが発表されましたけど、いずれ自分も挑戦したいと思っています」

――なるほど。では次の試合で対戦するソドノムドルジの印象を教えてください。

「左右のフックを振り回す。何よりフィジカルが強い印象はありますね。松嶋選手も何発か食らっていたと思います」

――対して柿原選手が上回っているのは、どんな部分ですか。

「一番はスピードですね。スピードとリーチは絶対に自分のほうが上だと思います。次の試合もフィニッシュできるイメージは、バッチリできています。必ずフィニッシュして盛り上げますので、注目していてください!」

■Bloom FC04 対戦カード

<フェザー級/5分3R>
柿原RR昇太(日本)
ソドノムドルジ・プレブドルジ(モンゴル)

<女子60kキロ契約/5分3R
中尾あづき(日本)
ホ・ジュギョン(韓国)

<ストロー級/5分2R>
泰斗(日本)
木内SKINNY ZONBIE崇雅(日本)

<フライ級/5分2R
堺龍平(日本)
柴山カイト(日本)

<フェザー級/5分2R>
がんばるマン林(日本)
内山裕太郎(日本)

<バンタム級/5分2R>
田中滉太郎(日本)
大友庵(日本)

<バンタム級/5分2R>
松枝耕陽(日本)
吉田 樹宏(日本)

<フライ級/5分2R>
前村知優(日本)
藤本充孝(日本)

<54キロ契約/5分2R>
Takumi(日本)
真生(日本)

<フライ級/5分2R>
石田聖人(日本)
田上健太(日本)

<73キロ契約/5分2R>
ハントレンジャー(日本)
ニコラス・カタロン(米国)

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