【SUPER RIZIN04】福田龍彌の挑戦を受ける、井上直樹「チャンピオンとしてRIZINで勝ち続けていきたい」
【写真】シャドーで見せた鋭い視線。オフで、このような目になることは決してない戦闘バージョンの井上直樹 (C)MMAPLANET
27日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04にて、バンタム級王者の井上直樹が2度目の防衛戦で福田龍彌と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年9月にキム・ス―チョルをKOし、第7代RIZINバンタム級王座に就いた井上。3月の初防衛戦では元谷友貴と対戦し、1・2Rはジャブを主体とした打撃で試合を支配するも、右目を負傷した3Rは元谷に反撃を許してスプリット判定での王座防衛となった。
当初、井上はダニー・サバテロをはじめとする外国人選手との対戦を想定していたが、対戦相手はDEEP王者の福田に決定。予想外の相手だったというものの、一撃で相手を仕留める福田の打撃には警戒を示し「相手の弱いところをドンドン突いて、こっちが仕留めに行けるような試合作りをしたい」と話す。
またRIZINでのキャリアも5年を超え、キャリアの約半数をRIZINで戦っている井上は「日本人・外国人関係なく勝ち上がってきた選手を迎え撃つ。次の試合に勝ってベルトを守っていくことが自分のやるべきこと」とRIZIN王者としての想いも語った。
福田選手は本当に実力があるし、舐めてかかったらやられる相手
──今回試合前に高地合宿に行っていたそうですね。
「はい。ニック(永末貴之)さんが教えている選手を対象にした合宿で、岐阜にある御嶽濁河高地トレーニングセンターに行ってきました。標高1700~1800mぐらいのところに施設があって、そこに低酸素室があるんです。その低酸素室内は酸素濃度を標高4000mに設定できて、その室内でバイクを漕いだり、走ったりしました」
――スタミナ強化が目的ですか。
「そうですね。基本的には低酸素室を使ってスタミナをあげる練習がメインだったんですけど、ミットやマススパーリングをやる時間もあって、ライオンズボクシングジムのトレーナーさんも合宿に参加していたんですね。そこでパンチの打ち方だったりも教わっていました」
――実際に高地合宿の成果を感じることはありましたか。
「どうなんですかね。結局追い込んで練習をする時はキツいことをやるわけなので、仮にスタミナがついたとしても、その分メニューがキツくなるだけじゃないですか。だから結局追い込みはキツいままですね(苦笑)」
──確かにそれは一理ありますね(笑)。
「おそらく僕が高地合宿に行くことを聞いて、水垣(偉弥)さんが心拍数を測る器具を用意してくれて、水垣さんのジムでは心拍数を測りながら練習しているんですけど、よく考えたら合宿前からやっているわけじゃないから、どのくらい数字が伸びているかも分からないんですよね…。とにかく高地合宿の成果が分からないくらいキツい練習が出来ています(笑)」
――さて3月の元谷戦から4カ月後の超RIZINで2度目の防衛戦に臨むことになりましたが、もともとこのくらいの時期に試合をしたいと思っていたのですか。
「元谷戦が終わって、次誰とやるんだろうという話になった時、水垣さんとは『(ダニー・)サバテロとかあるんじゃないの?』という話をしていたんです。それでサバテロの試合を見て対策をしようかなと思っていたところで、福田戦のオファーが来て最初は驚きましたね。自分のなかでRIZINバンタム級の日本人とはやり尽くした感もあったので、漠然とサバテロや外国人選手と試合をするのかなと思っていたので」
──予想外のオファーが来て、すぐに気持ちを切り替えられたのですか。それとも多少時間がかかったのですか。
「サバテロや外国人選手とはいずれやることになると思うし、福田選手は本当に実力があるし、舐めてかかったらやられる相手だと思います。しかも僕が最初に目指していたDEEPのベルトを持っている選手なので、そういう相手と戦えることは光栄ですね」
──対戦相手として福田選手にはどのような印象を持っていますか。「仕留める能力がすごく高いと思います。ジャブを使いつつ、距離を測ってストレートを当てるのが上手い。そこの距離感を少しでも間違えたら(打撃を)当てられちゃうので、そこは気をつけないといけないですね」
――試合を見ていると独特のパンチを当てるタイミングや距離感を持っている印象があります。
「ストレートを当てに行く距離とジャブと、またちょっと変わってくると思うし、福田選手がストレートを合わせられる距離に入って戦うのは危ないと思います」
──逆に井上選手は直近2試合でキム・スーチョルをKOし、元谷友貴選手との接戦を制しています。この2試合でどこが成長できたと思っていますか。
「パンチのバリエーションも凄く増えましたし、寝技の技術も変わってきたと思います。それこそRIZINに出始めの頃はまだフライ級の体だったんで、その部分でも大分変わっていると思います」
──スーチョル戦のKOも見事でしたが、僕は元谷戦もすごく印象に残っていて。1・2Rはジャブ主体の打撃で圧倒しつつ、目を負傷した状態で戦った3Rは元谷選手の反撃を振り切って勝利を掴んだ。追い込まれても勝ち切れる強さを感じました。
「あれは勝ち切ったと言っていいんですかね(苦笑)。ああいう(目を負傷する)アクシデントがあっても、もっと冷静に自分の戦い方が出来ないといけないなと反省しています。ただ今までにない経験を出来たとは思うので、そういう意味ではポジティブに捉えています」
――先ほどはRIZINに来てから変わったという話もありましたが、戦い方や経験値という部分でも成長を感じていますか。
「作戦がぴったりハマって勝つこともあれば、こういう勝ち方もできるんだなと気付くこともある。体だけでなく頭も使って戦うようになれているのかなと思います。次の試合も相手の弱いところをドンドン突いて、こっちが仕留めに行けるような試合作りをしたいと思います」
僕も今年で28歳なんですよ。決して若手ではない
──超RIZINは通常よりも注目度が高いイベントになると思います。そこでタイトル戦を戦えることをどう感じていますか。
「いつものさいたまスーパーアリーナより少し会場が大きくなるんですよね? 試合当日どんな感じなのかな…くらいですかね。僕も色んな大会場で試合をしてきて、さいたまスーパーアリーナでは何回も試合をしているし、バックステージや控室の場所が変わるわけではないので、普段通りに戦えると思います(笑)」
──井上選手は試合以外の部分はあまり気にしないタイプのようですね。
「そうですね。朝倉未来選手とクレベル・コイケ選手の試合がすごく注目されている、他の階級のタイトルマッチもある、フライ級とヘビー級のトーナメントがある……すごくビッグイベントで色んな人が見てくれるのは嬉しいことだなと思いますけど、今こうして話をするまで気にしていませんでした(笑)」
──井上選手は試合が決まるとそれだけ対戦相手や試合に入り込むタイプですか。
「対戦相手に集中する感じですかね。どうやって戦おうとか、こういう練習をしなきゃいけないとか。試合が決まってから当日に向けて、それをだんだんと形にしていきながら最後に仕上げるイメージです。ここまで順調に来ているので、あとは怪我をしないように体調管理して、体重を調整していく感じです」
──今回は福田選手の挑戦を受ける形になりましたが、将来的には外国人選手と戦っていきたいですか。
「もちろんそれもありますけど、外国人選手に限らず日本人選手ともやることになると思います。佐藤将光選手も僕とやったあとに牛久絢太郎選手とキム・スーチョルに勝っているし、安藤達也選手も札幌大会でいい勝ち方をしていて、どんどん選手が勝ち上がってくるので、外国人選手に限らず日本人対決でも面白い試合が出来ると思っています。
外国人選手もサバテロの名前を出しましたけど(カルシャガ・)ダウトベックがバンタム級に落とすという話もありますし、RIZINは容赦なく強い外国人を連れてきてくれるので(笑)。日本人、外国人関係なく勝ち上がってきた選手を迎え撃つ。次の試合に勝ってベルトを守っていくことが自分のやるべきことだと思うし、これからもチャンピオンとしてRIZINで勝ち続けていきたいです」
──井上選手は2015年3月デビューで、2020年2月がRIZIN初参戦。キャリアの約半分がRIZINで、最も試合をしている団体もRIZINになりますよね。
「そうですね……23戦やっていてRIZINで11戦、DEEPとUFCとCFFCを合わせて12戦なので、RIZINが一番長いですね。しかもDEEPで戦っていた頃はしっかり育ててくれる試合を組んでもらっていましたが、RIZINに来てからは毎試合が生き残りをかけた試合だったので、RIZINに出るようになってからは試合の濃さが違いますね。あとは僕も今年で28歳なんですよ。決して若手ではないし、ここからの一戦一戦は今まで以上に大事になってきますし、より負けられないという気持ちにもなります」
──まさにRIZINで強くなる・成長してきた井上選手ですが次の防衛戦では、何を見せたいと思っていますか。
「前回みたいなスッキリしない試合は自分でも納得いってないんで(苦笑)、福田戦はしっかり自分の戦いを発揮で切り試合になればいいなと思います」
■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!