【SUPER RIZIN04】思い入れ不要。強さが物語を創る――アリベク・ガジャマトフ「優勝するのは僕だ」
【写真】淡々と――そしてスクショをお願いしても、この視線。強さこそ、全て。それがアリベク・ガジャマトフ (C)MMAPLANET
27日(日)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04。同大会でRIZIN WORLD GP2025フライ級トーナメント1回戦が5試合実施される。10人の参加選手のなかで、最も未知数で限りなく最強に近い評価を受けているのがダゲスタンの散打ファイター=アリベク・ガジャマトフだ。
Text by Manabu Takashima
キャリアは僅か5戦ながら、全ての試合がフィニッシュ勝利という圧倒的なパフォーマンスを見せている。ロシアの鷹養成所といっても過言でないACA Young Eaglesで挙げた4つの勝利は、日本の主要団体のベルトを巻くに等しい厳しさがある。
昨年11月の初来日時に元ストロー級KOP北方大地を圧倒した強さで、上記の推測は的外れないことが証明されたといっても過言でない。そんなガジャマトフに、征矢貴戦前の心境を尋ねた。
間違いなく強い。同時に日本のファンは、まだガジャマトフに思い入れがない。現時点で魅力は強さのみ。無慈悲なまでに我を押し通す。スストーリーライン無用のガジャマトフは、今後フライ級におけるラジャブアリ・シェイドゥラエフやカルシャガ・ダウトベックになる可能性を持つ一方で、今回のトーナメントを冷え冷えとさせるかもしれない――恐怖の大王、一番厄介なファイターといえるだろう。
プーケットでキャンプをしていた時に、ムエタイの試合に出た
――フライ級トーナメント1回戦まで3週間となりました(※取材は7日に行われた)。今の気持ちを教えてください。
「今は大丈夫だ。でも、もっと試合がしたかったけど、なかなか決まらないから実はイライラしていたのも事実だ。ようやく試合ができる。27日にグランプリで戦えるから、もう問題ない。絶好調だよ」
――確かに昨年11月の衝撃的なRIZINデビューから、8カ月もブランクが空いてしまいました。
「実は大晦日の大会へのオファーがあったんだ。でも名古屋の試合で拳をケガして、大晦日に戦うことは無理だった。回復を持っていると、ラマダーンになってしまって。この間は試合はできない。でもGP出場が決まって、しっかりと練習してきた」
――正直、話を伺っているとアリベクの方に試合ができない理由が多かったようにも……。ラマダーンで試合ができないということは、もうその頃には戦える状態になっていたということですか。
「そうだ。だからチームと一緒にプーケットでキャンプをしていた時に、ムエタイの試合に出た」
――えっ!!
「ラマダーンが終わって英国のキックボクサーと戦い、3R戦って判定勝ちした。僕にとって初めてのムエタイ・ルールの試合だった」
――拳を負傷し、GP前に初めてムエタイの試合に出たと?
「ムエタイも僕がずっとやってきた散打も変わりはない。ヒザとヒジのディフェンスが必要になってくるだけで。それもMMAのためにやってきたことだから、何も問題なかった」
――ケガをすればGP出場が流れるかもしれないし、リスクを感じることはなかったですか。
「それより、こんなにも長い間ファイトから離れてGPで戦う方が嫌だった。リング、実戦、試合会場の雰囲気を経験しておきたかったんだ。減量もほぼない64キロでの試合だったし、しっかりと調整していたからケガなんてするわけないという自信があった。結果イージーファイトで、ケガはなかったよ」
散打やアマチュア競技を戦っている時は、対戦相手が誰になるのか分からないで調整を続けてきた
――無事GPに参戦できて良かったです。そのGP前に抽選会に参加しました。とてもユニークな経験ではなかったですか。
「ああいうことに参加したのは初めてで、とても興味深かった。MMAではああいうことはないからね。ただ対戦相手に関しては、僕は誰でも構わなかった。ただ本音をいえば名前のあるファイターと戦いたかったけどね。その方が知名度を上げるのに手っ取り早いからね。とにかく、僕は誰が相手でも構わない。それだけの準備はしてきたよ」
――元谷選手と征矢貴選手に選択肢があった時は、前戦でバンタム級タイトルに挑戦している元谷選手と戦いたいと思っていたのでしょうか。
「その辺りのことは特に気にしていなかった。GPに出てくるのだから2人も強いのだろうし、どちらでも良かったよ。RIZINと契約しているファイター、誰が相手になろうが構わない。ただ戦うだけだから」
――7月27日に試合をすることが決まっていて、対戦相手は4週間前まで決まらない。どのような調整してきたのでしょうか。
「こういうことはプロで戦うようになってからは、初めての経験だった。ただ散打やアマチュア競技を戦っている時は、対戦相手が誰になるのか分からないで調整を続けてきた」
――あぁ、その通りですね。
「それも1日で4試合、4人の相手と戦う必要がある。特に2試合目からは直前まで、相手が誰になるのか分からない。そして1回戦より2回戦、2回戦より準決勝、準決勝より決勝とどんどん強くなる相手と戦うのがアマチュア競技だ。プロとして1日に1人だけ戦うようになってから、このような試みは初めてだけど全く問題にならない。何より出場選手は全員が同じ条件でトーナメントに向かうのだから」
トーレスか神龍がトーナメント参加者で最強だよ、僕を除けば
――では改めて征矢選手の印象を教えていただけますか。
「強い選手だ。パンチが速い。彼との打撃戦を楽しみにしているけど、僕の打撃の方が上だよ。とにかく2人で、ファンが盛り上がる試合にしたい」
――北方大地選手に勝った後にジョン・ドッドソンと戦いたいと発言していましたが、そのドッドソンに征矢選手は勝ちました。
「ドッドソンはもう年を取った。そのドッドソンに勝ったソヤと戦う方が良いストーリーラインだ。日本での試合だし40歳の米国人ファイターより、ドッドソンに勝った日本人ファイターと戦う方が楽しめる。どっちにしても、勝つのは僕だけど。
そういう意味でソヤだけでなく、ホセ・トーレスが直前になってGPに加わったことも良かった。トーレスの出場はGPのグレードを上げることになるからね。BRAVE CFの時からトーレスの試合は見てきた。彼は強い。GPのベストファイターかもしれない。ただ、誰が本当にベストなのか。トーナメントで決まることが楽しみでならない」
――準決勝で戦う4選手がファンとメディアの投票で決まることに関しては、どのように思っていますか。
「日本のファンから、たくさんソーシャルメディアにメッセージを送ってもらえているから大丈夫だろう。それ以上にダゲスタンには大きなファンベースがある。それに僕はガビブ・ヌルマゴメドフというMMAで最も有名な人間と一緒に練習している。
ソヤとの試合では、最高の打撃を見せるつもりだ。でも、ソヤは組んでくるだろうね。そこでもソヤやファンを驚かせることになるだろう。そしてファンは僕の試合をGPで見続けたくなるはずだ。このトーナメントで優勝するのは僕だ」
――ではアリベクと共にトーナメントを勝ち上がるのは誰になると予想していますか。
「きっとトーレスかシンリュウになるだろう。2人ともレスラーで米国人はフィジカルを武器に戦い、日本人は技術が武器だ。この2人がトーナメント参加者で最強だよ、僕を除けば。僕は彼らのレスリングに対応できるから」
■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!