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【SUPER RIZIN04】金原正徳戦に向け、YA-MAN「実はこの2~3週間ぐらいで凄く覚醒して」

【写真】ある意味、ぼんやりとしているMMAを立ち技から入ることで、YA-MANは最初から明確に見ることができているように感じる(C)MMAPLANET

27日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催される超RIZIN04にて、YA-MANが金原正徳と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2023年5月の三浦孝太戦でMMAデビューし平本蓮、鈴木博昭、カルシャガ・ダウトベックと戦ってきたYA-MAN。MMAの練習と試合を重ねるなかで「テイクダウンディフェンス&立つ技術を強化する」+「組まれる覚悟で打撃の圧力をかける」、自身の理想のMMA像が見えてきたという。

YA-MANは国内フェザー級屈指の実力者・金原との一戦を「MMAファイターとしてのYA-MANを認めさせる」ための試合と位置付けている。


国内だとRIZINよりもDEEPの試合を方が見る方が多い

――公開練習前のインタビューありがとうございます。先ほどYA-MAN選手のSNSを見ていたら、直前までマックス・ホロウェイとダスティン・ポイエーの試合を見ていたそうですね(※取材は20日に行われた)。

「試合は勝ち負けも大事ですけど、ああやってお客さんが総立ちになるような試合をしたいですよね。自分の試合前にいいものを見られましたね」

――しかも2人の場合は試合を盛り上げるために勝ち負けを度外視して打ち合うのではなく、勝つためにあの試合をやっていることがファンを熱狂させているのだと思います。

「ああやって自分の最大の武器、自分が持っているものを全部出し切った試合が盛り上がるし、自分も似たような部分あると思うんですよ。僕は勝つためにああいう試合をしないと勝てないので、そういった意味でも自分の試合前に2人の試合を見られたことはすごくよかったです」

――YA-MAN選手が本格的にMMAにチャレンジするタイミングで取材させてもらって、その時は「これからMMAの試合を見て勉強する」ということでしたが、かなりMMAの試合は見るようになったのですか。

「僕、キックをやっている時からキックの試合ってほとんど見なかったんですけど、MMAはめちゃくちゃ見ますね。で、国内だとRIZINよりもDEEPの試合を方が見る方が多いですね」

――それは一緒に練習している選手が出ているからですか。

「僕の感覚的にRIZINよりDEEPの方がスクランブルの展開が多い気がしていて、自分に足りない組みの部分を勉強するという意味ではDEEPをよく見ますね」

――確かにDEEPはケージで、そこまでブレイクもかからないので、特に組みの部分で動きが続く展開が多いかもしれないです。

「ああ…そうかもしれないですね。DEEPの試合を見ながら、ここはこうやって防ぐんだとか、こういう風に守るんだというのが分かります」

佑弥さんのアドバイス通りにやって動きがハマってきました

――YA-MAN選手がMMAにチャレンジする際、どのようなファイトスタイルを目指して作っていくかを考えたと思うのですが、そこはもうかなり明確になってきましたか。

「やっぱり目立つところで言うとイリア・トプリアみたいなスタイル、ガードを固めて前に出てテイクダウンを切る、みたいな。もちろんトプリアはレスリングと柔術がバックボーンというのがあるんですけど、僕は距離を取るのが上手い方じゃないし、ガードを上げて相手の打撃を受けながら前に出る方が合っているのかなと思いますね」

――ストライカーがMMAに転向する場合、完全に距離を取って触らせない位置で戦うタイプとある程度は組まれる前提でプレッシャーをかけるタイプがいますが、YA-MAN選手としては後者の方が自分に合っていると。

「僕はそうですね。逆に平本蓮はどちらかというとコナー・マクレガーみたいに距離を取って遠い距離から打撃を当てるスタイルだと思うんですけど、僕はそういう戦い方が得意じゃないし、多分そういう戦い方をしていたらMNAファイターにも打撃で負けると思うんで。僕は打撃でガンガン行って、相手がテイクダウンに来ても距離で外すんじゃなくて正面から切る。仮にテイクダウンされてもすぐに立つ。そういう意味で自分はトプリアのスタイルを目指した方がいいのかなって思います」

――組まれる覚悟を持って打撃のプレッシャーをかけた方が結果的に相手はやりにくいと思います。

「自分もそう思ってやっています。実はこの2~3週間ぐらいで凄く覚醒して、自分のファイトスタイルがようやくハマってきたんですよ。それこそ(若松)佑弥さんから『YA-MANさんはこうした方がいいですよ』とアドバイスをもらって。佑弥さんは世界のトップ中のトップで、自分は佑弥さんが言うことは間違いないと思っていて、そのアドバイスを自分の中で落とし込んでやってみたら、めちゃくちゃ動きがハマって。まさに『これだ!』みたいな感じになりましたね」

――キャリアやバックボーンは違いますがYA-MAN選手と若松選手はファイトスタイルや戦い方が似ている部分もありそうですね。

「そうなんですよ。だから余計に佑弥さんのアドバイス通りにやって動きがハマってきました。あとはこの2カ月ぐらいで練習方法も変えて、今まではMMAグローブをつけてメインの練習をやっていたんですけど、最近はボクシンググローブをつけてテイクダウンまでのスパーリングを増やしたんです」

MMAグローブのスパーではなかなか練習相手もテイクダウンに入れないという見方は確かに成り立つ

――いわゆるシュートボックスと言われる練習方法ですね。

「これをやり始めてから、なんで俺は今までこの練習をやってなかったんだよ!と思って後悔しました(苦笑)」

――ボクシンググローブで練習するとMMAグローブ=試合と感覚が違うという選手も多いですが、なぜボクシンググローブの練習が有効だと感じたのですか。

「どうしてもMMAグローブで練習すると思い切り打てないから、テイクダウンディフェンスも思い切り打たないパンチを前提にした動きになるんです。でも試合になったら思い切りパンチを打つから、試合と練習で動きに違いが出てしまう。だからボクシンググローブでテイクダウンありのスパーリングをやっておくと、思い切りパンチを打つ中でテイクダウンディフェンスする感覚が養えるから、この練習(シュートボックス)を始めてから一気に覚醒しましたよ」

――そこはまさに年末のカルシャガ・ダウトベック戦での修正点にもつながってきそうですね。

「あの試合は俺も怪我していたし、ダウトベックの打撃スキルが相当高いうえにテイクダウンのタイミングも絶妙だったから、常にダウトベックのテイクダウンを意識しながら打撃をやらざるをえなかったんですけど。でもあの試合の反省から学ぶことは多かったし、確実に成長できといると思います」

――試合を含めて自分のMMAファイターとしての成長を感じていますか。

「めちゃくちゃ感じますね。昔は極められていた技が段々と極められなくなってきたり、テイクダウンされなくなってきたり。MMAは今までできなかったことが目に見えてできるようになるのが分かるんで楽しいですよ」

――しかもYA-MAN選手の場合はTRIBE TOKYO MMAの長南亮代表をはじめ、MMAファイターとして正しい方向に導いてくれていますよね。

「それはまさにTRIBEという練習環境のおかげです。本当に(MMAを始めて)長南さんの言うことを聞いていてよかったと思っていて、長南さんはいきなり派手なことは絶対にやらせないんですよ。まずはちゃんとこれをやれというところから始まるので、その通りにやると間違いがないんです。で、そういう基礎的なことがハマってきたら、TRIBEには色んなタイプの選手がいるので、みんなそれぞれの立場からアドバイスをくれるんですよ。佑弥さんもそうだし、出稽古に来ている(佐藤)将光さんもめちゃくちゃ細かいことを教えてくれるんです。しかも自分が求めなくてもアドバイスをもらえるので、本当に素晴らしい環境だと思います」

――そして今大会では金原選手という国内屈指の実力者と戦うことになりました。どんな試合を見せたいですか。

「ダウトベック戦は怪我もあって、自分のMMAを見せられるタイミングではなかったです。あれから試合と経験を重ねて、ようやく自分もMMAファイターのYA-MANになってきたと思うので、次はそれを見せたいですね。あとこれは言っておきたいんですけど、なんか俺はダウトベックにテイクダウンされまくって負けたみたいな雰囲気になっていますけど、ダウトベックにテイクダウンされたあとに何回か立ち上がってますからね。逆に鈴木千裕はダウトベックにテイクダウンされて立てなかったじゃないですか。YA-MANはテイクダウンが切れない・腰が軽すぎる…とか好き勝手なことを言うヤツがいますけど、格闘技ファンでもそういうところを分かってないヤツが多いですね(苦笑)」

――ちゃんと試合を見ろ、と。

「だから次の試合で金原選手にテイクダウンされたところから立ち上がったりしたら、会場も『うわー!』って沸くと思いますよ。というかそもそもテイクダウンを取られないと思いますね。金原選手がどうやってテイクダウンに来るかは大体分かっているし、スクランブルや四つの展開にはなると思うんですけど、そこから先はないと思います」

――RIZINフェザー級はラジャブアリ・シェイドゥラエフが新王者となり激動の階級ですが、RIZINでベルトを巻きたいという想いは強くなりましたか。

「やっぱりそこを目標にしたいですよね。格闘技はどんなに強い相手に勝っても、どんなに強い相手といい試合をしても、結局チャンピオンとそれ以外なんです。格闘技ファンでもチャンピオンは強い、チャンピオンじゃない=弱いくらいに思っているだろうし、格闘技ファンを認めさせたいですね。今でも『YA-MANは色物』とか『YA-MANは実力がない』みたいに言われるんで(苦笑)、金原選手を倒してファンに自分の実力を認めさせたい。しかもMMAファイターとしてのYA-MANを認めさせたいです」


■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

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