【UAEW62】6度目のアブダビはムハメッド戦、藤田大和「相手が自然に倒れているような感じで」
【写真】取材は7月12日、いつも以上にリラックスしていた印象のある藤田。チームメイト村田夏南子の勝利に続け!(C)SHOJIRO KAMEIKE
24日(木・現地時間)、UAEはアブダビのスペース42アリーナで開催されるUAE Warriors62で、藤田大和がエジプトのメイサラ・ムハメッドと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
藤田が砂漠の国で行われるMMAイベント、UAEWで戦い初めて2年が経った。昨年5月には同フライ級王座決定戦でイアゴ・ヒベイロに敗れたものの、それ以外は全勝。UAEWからUFCを目指す藤田にとって、ベルトは必須のもの。今回対戦するムハメッドは、UAEWでは初めて対戦するムエタイスタイルのストライカーだ。ここでムハメッドに勝利し、再び王座挑戦のチャンスを得ることはできるか。
――リモート画面が繋がった瞬間、緑あふれる風景が映りました。今日はジムや自宅ではなくロードワーク中なのでしょうか。
「外を散歩中です。今日は少し涼しくて」
――なるほど。暑さの話でいえば、暑い国に行くのが一番暑い時期で。
「そうなんですよ。5月にはアブダビの気温が50度を超えていましたね(笑)」
――50度超え!
「僕が初めてUAEWに出たのは2023年8月末で、あの時も40度を超えていました」
――これまで5回アブダビで戦ってきましたが、毎回暑いのですか。
「いえ、日本と同じで四季があって、1月の試合は今までで一番快適でしたね。昼は外も歩きやすいし、夜になると少し肌寒いぐらいで。といっても気温は30度弱ぐらいでしたけど」
――確かに50度を超えることがあるなかで、30度を下回ると涼しく感じそうです。ただ、今回は7月の試合で現地も暑い。その暑さは試合に影響するのでしょうか。
「正直もう関係ないです。室内はクーラーがガンガン効いていて、近くのスーパーに行くのもタクシーを使いますから」
――タクシーを使わないといけないほど、ホテルとスーパーが離れているのですか。
「いえ、人は歩いていないぐらい外が暑いからです。アハハハ」
――なるほど(笑)。藤田選手の試合は前回が1月で、6月にもUAEWは開催されていました。その時はオファーがなかったのですね。
「こちらからは出たいという意志表示はしていました。でも、なかなか良い返事がなく……。それで今回の試合の話を頂いて。
もう2年もUAEWで戦っているので、だいたいのスケジュールは予想できるんですよ。去年はラマダンが明けてから5月にタイトルマッチをやらせていただいたじゃないですか。だから今年も春には試合ができるような感じでは動いていました」
――考えてみると初参戦からもう2年、いまや完全にUAEWレギュラー選手ですね。
「そう思ってもらえていたら、ありがたいです」
――実際のところ、2日連続開催が多くなったUAEWでも2日めに試合が組まれています。
「そうですね。だいたい1日めは中東の選手やキャリアが浅い選手の試合が多く、2日めが他の地域から来ている選手の試合というイメージはあります。実際そういうふうにマッチメイクしているのかどうかは分からないですけど」
――確かにそうですね。今回対戦するメイサラ・ムハメッドが1日め、藤田選手は2日めに試合が組まれることもありました。
「あぁ、そうなんですよ。2回ぐらい被っていました。あまり意識して1日めを見たことがなかったので、対戦相手の戦績を調べた時に『あ、出ていたんだ』と思いました」
――2日連続開催の場合、1日めの試合を意識することはないのですか。
「試合前日なので、さすがに1日めに出ている選手を『対戦することがあるかも……』という観点で見ることはないですね。朝8時から計量があって、計量後の夜にテレビで放送されているから視ることは視ますけど、リカバリーもあったりしますから」
――朝8時から計量ということは、もう起きてすぐという状態ですね。
「計量は宿泊しているホテルで行われるんですけど、そのほうが楽ですね。朝起きてから我慢している時間が長いよりは、計量前日の夜に落として、少し寝てから朝計量してリカバリーできるのは良いです」
――今年1月にファン・プエルタをギロチンで下したあと、『もう一度チャンピオンシップを』という気持ちもあったのではないですか。
「もちろん、ありました。やっぱりUAEWのベルトを獲ってUFCに行きたいという気持ちがあるので。できればタイトルマッチをやらせてほしい。でもなぜか6月にフライ級の暫定王座決定戦が行われていて……」
――UAEWフライ級は、昨年5月にイアゴ・ヒベイロが藤田選手に勝利してベルトを獲得。しかし以降に防衛戦は行われず、6月大会でムジャヒディン・アブバカルがビクター・ヌネスを下して暫定王座を獲得しています。
「まだ試合は視ていなくて、結果だけ確認したぐらいではあるんですけど……どういう流れになっているのか、よく分からないですよね。正規王者の防衛戦もないですし」
――「暫定王座決定戦を組むなら、自分が出場するべきだろう」という気持ちはなかったですか。
「どうなんですかね? う~ん……『自分がもっと試合で、その力を見せていかないといけないのかな』とは思いますね」
――一方、今回の対戦相手についてはどのような印象を持っていますか。
「これまでUAEWに2回出ていて、フィニッシュも多い。だから注目されている選手なのかな、とは思っています」
――これまでUAEWでは組んでくるファイターとの対戦が多かったなか、ムハメッドは完全にムエタイスタイルです。藤田選手が久々にストライカーを相手に、どう捌くのかは楽しみです。
「そういえばそうですね。ほぼほぼ打撃戦になったといえば、DEEPの暫定王座戦で伊藤裕樹選手と対戦した時ぐらいで」
――現在、弟の藤田健児選手がボクシングでWBOアジア太平洋のベルトを防衛中です。そのニュースを見た時、「そういえばお兄ちゃんもボクシングをやっていたんだよなぁ……」と考えてしまいました。
「アハハハ! 考えたら久しく――思いっきり殴っていないですね」
――前回プエルタを仕留めたギロチンも、スクランブルから流れるような入り方でした。
「そうですね。吸い込まれるように相手が入ってきてくれて」
――あれほど滑らかな極め方だと、試合後に自分で自分を褒めたりしませんか。「俺、凄いな」とか。
「いやいや、そんなことはないですよ(笑)」
――モハメッドがストライカーであるだけに、藤田選手が組みに行くことは予想できます。と同時に、テイクダウンできなかった時にどのような打撃を見せるのかも楽しみです。
「ありがとうございます。もともと得意なことですから、打撃戦になっても大丈夫ではあります。ただタイトルマッチ以降の2試合は、そこまで倒そうと考えず、力みなく戦うことができました。
UAEWでは、そういう戦い方で勝ってきました。試合の組み立てとしては距離を取り、足を使って力まない。そこまで倒すことを意識せず、相手が自然に倒れているような感じで試合をしたいと思っています。
6度目のアブダビで、今回も自分の良さを出したいですね。ギロチンなのかKOなのかは分からないですけど、しっかり勝ちます!」
■視聴方法(予定)
7月25日(金)
午前0時~UFC FIGHGT PASS