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【Pancrase355】木下尚祐戦へ、敢流「グラウンドのほうが相手を一方的に痛めつけることができる」

【写真】スタンドだけが打撃戦ではないのがMMA。そんなMMAの今が敢流の試合には表れている(C)SHOJIRO KAMEIKE

27日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase355にて、敢流が木下尚祐と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

プロデビュー以来7連勝――昨年はネオブラのフェザー級を制し、現在5連続フィニッシュ勝利中の敢流。これまでパウンドアウトで仕留めていたが、今年5月の糸川義人戦はグラウンドの攻防からRNCで勝利している。着実にランキングを上げ、ベルト奪取からRoad to UFC出場を目指す敢流が今必要としているものとは。


コイツ結構タフやなと思ったので、それならグラウンドでシバき回して……

――RNCで勝利した糸川戦は、序盤からグラウンド勝負に行こうと考えていたような試合展開でした。

「そうですね。ちょっとグラウンドも見せて、疲れさせてからKOしたいと思っていたんですよ。でも相手が思っていたよりタフで、3Rまで行っちゃいました」

――当初のプランはKOで、どの段階からサブミッション決着に切り替えたのでしょうか。

「2R中盤ぐらいです。削っていても相手がタフだったので、確実にフィニッシュできるように切り替えましたね」

――それはセコンドの指示か、あるいは自身の判断だったのでしょうか。

「それは自分自身ですね。グラウンドからスタンドに戻った時、相手は笑ったりしていて――結構、余裕を見せていたんですよ。『もっと来いよ』みたいな感じで。だから『コイツ、結構タフやな。KOしにくいな』と思ったので、それならグラウンドでシバき回して……」

糸川戦ではニンジャチョークなど組みの展開も見せていた敢流。最後はパウンドで削り、RNCで一本勝ち(C)PANCRASE

――シバき回すっ!! ただ、相手が笑ってきたらイライラして、倒しに行こうとしすぎる選手もいます。敢流選手はそういった性格ではないのですね。

「はい。グラウンドのほうが相手を、一方的に痛めつけることができますからね」

――より相手が嫌がる方法で。

「結果、痛めるつけることはできたと思います(笑)」

――RNCでフィニッシュしましたが、痛めつけるためにパウンドアウトを選択しなかった理由はありますか。

「とりあえずフィニッシュしたかったんですよ。理想は1RでKOしたかったけど、相手があそこまで耐えてくるとは思わなくて」

――対して自分のスタミナは、いかがですか。相手を削るためには、自分の体力も削られていくと思います。

「自分は問題なかったですね。最後の最後まで動き続けることができたし、何だったらあと1R戦うことも可能でした。ただ、試合中は自分でも『コレって塩なんかな?』と思っていて、フィニッシュした時も会場の反応を見て『あれ、KOのほうが良かったんかな……』とか考えてしまいました(苦笑)」

――ハハハハ。

「でも試合が終わったあとは皆、『面白かったよ』と言ってくれて」

――ここまでパンクラスでは5連続フィニッシュ勝利。フェザー級KOPの三宅輝砂選手を取材した際、敢流選手の名前が挙がったら「間違いなく彼は上がってきますよね」と評価していました。

「え、そうですか。あぁ、ウフフフ」

――純粋に嬉しそうですね。

「いや、まぁ――嬉しいです。アハハハ」

――その三宅選手を挑戦とするパンクラスのフェザー級において、前回のインタビューでは「次はトップランカーに勝ったあと、年内にはベルトを獲りたい」と言っていました。

「はい。前回は10位の糸川選手に勝ったので、次は5位か6位あたりの選手かな思っていました。だから今回、6位の木下選手になるのは想定していて」

――とはいえ6位の木下選手に勝利しても、年内にタイトルマッチは難しいかもしれません。

「今回含めて、あと2人は倒さなアカンのかなって思いますね。次の相手がランク6位なので、その次は1~3位あたりと対戦したいです。7月と12月の間にもう1試合というのは難しいかもしれないですけど」

――パンクラスの興行スケジュールとしては、今年3月に横浜武道館大会を行い、12月は立川大会です。となると次のビッグマッチは来年の春になる可能性もありますね。

「あぁ、それだと嬉しいです。年内にもう1試合して、トップランカーと対戦してから来年の春にベルト挑戦とか」

今フェザー級で日本人選手が相手なら、誰にも負けないですね

――年内にベルトを巻いて来年のRoad to UFCに出場することも希望していました。ただ3月にベルトを巻くと、その年にRTUが開催されるとしても選考に間に合わないでしょう。

「あぁ、そうなりますね」

――一方でRTUを制し、UFCで勝っていくためにも、まず国内で競り合いを経験する必要もあります。そんななか今回は同じ大会でISAO×ウルルという注目のフェザー級戦も行われます。

「この試合は気になります。今までウルルの試合は視たことがあるけど、ISAO選手の試合はダイジェストぐらいで。ウルルは強いですよね。殺傷能力のレベルが違うと思うんです。だけど自分なら倒せる自信があるし、そこで勝っていきたいです」

――なるほど。その前に勝たなければいけない相手、木下選手の印象を教えてください。

木下は会見で「相手の勢いで来れば来るほど僕の良さも出てくる展開になると思う」とコメント(C)TAKUMI NAKAMURA

「全部ソツなくできるけど、コレといった武器はないかなという感じですね。寝技がメッチャ強いわけではないし、かといってスタンドの打撃がメッチャ強いわけではなくて。自分のほうが全て上回っているんじゃないかなって思います」

――糸川戦からここまで、何か新しいことに取り組んできましたか。

「新しいことというか、またタイに行ってきたんです」

――えっ、確か3月にもバンタオMMAで練習していますよね。

「はい。今回は6月24日から7月8日まで、2週間ぐらいバンタオとタイガームエタイで練習してきました」

――前回は確かGSPの指導を受けたと言っていましたが、今回は?

「今回は現役のファイターが多くて、タイガームエタイにはラマザン・テミロフ、バンタオにはモフサル・エフロエフとシャラ・マゴメドフとがいました」

――現地ではロシア勢と中央アジア勢が多いのですか。

「そうなんです。彼らは場所を借りてファイトキャンプを行っているような感じで、ケージを独占していました(笑)。だから僕たちは違う時間に練習していて。とにかく皆がもう生物的に強いんですよ。そういう相手と練習するために、これからもタイには定期的に行きたいです。

タイで特に試合の対策をするわけじゃないんです。それは日本のジムで、皆と一緒にやることで。タイではレスリング中心の技術練習を反復してやります。そこに中央アジアの選手がたくさん来る、というのがタイで練習する良さですね」

――タイでの練習を経て、レベルアップしている実感はありますか。

「日本に帰ってきてから、また強くなっている実感はあります。今フェザー級で日本人選手が相手なら、誰にも負けないですね。次も一方的な試合をしたいです」

■視聴方法(予定)
7月27日(日)
午後1時15分~ U-NEXT

■Pancrase355 対戦カード

<フライ級KOP決定戦/5分5R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
ISAO(日本)
カリベク・アルジクル ウルル(キルギス)

<ライト級/5分3R>
ラファエル・バルボーザ(ブラジル)
鈴木悠斗(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
髙城光弘(日本)

<フェザー級/5分3R>
木下尚祐(日本)
敢流(日本)

<フライ級/5分3R>
岸田宙大(日本)
猿飛流(日本)

<ミドル級/5分3R>
林源平(日本)
佐藤龍汰朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
荒田大輝(日本)
安藤武尊(日本)

<フライ級/5分3R>
時田隆成(日本)
眞藤源太(日本)

<バンタム級/5分3R>
前田浩平(日本)
神部篤坊(日本)

<女子フライ級/5分3R>
ライカ(日本)
オノダマン(日本)

<フライ級/5分3R>
大野友哉(日本)
増田大河(日本)

<フライ級/5分3R>
稲垣祐司(日本)
工藤星那(日本)

<フェザー級/5分3R>
大澤雄空(日本)
眞弓田涼介(日本)

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