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【RIZIN50】元谷友貴とバンタム級王座防衛戦、井上直樹「相手の嫌がることとか、やっていますよ」

【写真】2020年大晦日の初戦では、元谷をRNCで下している井上。今回は王者として再び相まみえる(C)MMAPLANET

30日(日)に香川県高松市のあなぶきアリーナ香川で開催されるRIZIN50にて、井上直樹が元谷友貴を挑戦者に迎え、同バンタム級王座の防衛戦を行う。
Text by Manabu Takashima

2017年、日本人史上最年少の19歳でUFCと契約した井上も、現在27歳に。2020年からRIZINに参戦し、昨年9月にはキム・スーチョルをKOして同バンタム級のベルトを巻いている。その井上がUFCフライ級での試合、米国ニューヨークのセラ・ロンゴ・チームでの練習、そして4年前の元谷との初戦――様々な経験を経て成長した姿、そして元谷とのリマッチについて語る。


――宇野薫選手のブランドであるONEHUNDRED ATHLETICのTシャツを着ていたのが新鮮に映りました。これまでも着用していましたっけ?

「宇野さんがソニックスクワッドに時々、練習に来られていて。今年はまだ一本ぐらいしか、肌を合わせていないですけど安田(けん代表)さんが、つなげてくださって。前回の試合の時から、サポートをしていただいています」

──試合まで3週間(※取材は6日に行われた)、シェイプされているだけでなく大きさも感じられます。

「普段は70キロで、抑えていると68キロ。今もそれぐらいですね。徐々に体重を落とし始めていて。減量はバンタムにあげて、フィジカルをやり始めた時の方が減量は厳しかったです。今はかなり落ち着いてきて、体に馴染んできた感がありますね。パワーが使えるようになり、今の方が調子も良くて。減量も厳しいのは、最後の水抜きぐらいですね。でも前日で3キロぐらいで。ただ最後の何百グラムはきついです。一度、止まると落ちないと聞きますし。自分はなったことがないのですが、そうなるのが怖くて。今回は東京でなく地方での試合なので、余計に怖いです」

──高松での大会ですが、イベントスケジュールではメディアデーは岡山のホテルで行われます。つまり岡山に宿泊するということでしょうか。

「そうですね。メディアデーが岡山で。公開計量が高松です」

──うどんでなく、きびだんごを食べて帰るような感じですね(笑)。

「アハハハハ。うどん、食べたかったです」

──ところでRIZINバンタム級の頂点に立ち、勝率も8割。それでいて期待値の高さから、いつまで国内の選手と戦っているのかという想いも正直あります。今回の元谷選手との試合を否定するわけではないですが、4年を経ての再戦です。

「それは昔から見てくれている人は、皆が思っていることだと思います。5年前ぐらいにRIZINに出させてもらうようになった時と、今の自分は違うと思っています。あの時はすぐにまた海外に挑戦するという気持ちでした。でもRIZINで戦っていくうちに色々と経験して、まだ早いんだと実感して。しっかりと実力をつけてから行かないと、また負けてしまうので。ここまでは成長する期間だったと、今は思っています」

──そういう意味でいうとこの1年、フェザー級とフライ級は中央アジアやコーカサス、そして北米からも強力な海外勢が流入してきたのに対し、バンタム級はそうでない。

「そうですね、だからこそ絶対的な強さが必要だと思います。そのためにも元谷選手を圧倒するぐらいでないと、それを証明することにならないです。ここでそうやって勝って、今後は海外で名前のある選手たちと戦っていく方が僕の評価が上がる。RIZINでは次に繋がるような試合をして、勝っていきたいです」

──元谷選手はATTの所属になり、基本はフロリダ在住です。対して5年以上の前にNYを拠点しセラ・ロンゴMMAで練習をしてきた直樹選手は、キルクリフに行くことはありましたが最近は横浜在住を続けています。

「僕は日本にいる方が、調子が良いです。ただ20、21や22歳の時に向こうで練習をしていたことは良い経験になっています。アルジャメインやマラブもいたし。そこでも意外と通用すると実感もできました。レスリングができていなかったので、その面では凄く勉強になりました。けど打撃だけを切り取ると、別にアルジョやマラブも上手いわけじゃない。

僕としては日本で練習するようになってからの方が、自分のスタイルに合わせた戦い方ができると思ってます」

──それは移動が大変だったNYでなく、一つの場所で全ての練習ができるフロリダでも同じでしたか。

「NYとフロリダなら、フロリダの方が移動の負担は少ないですよね。いずれにしても、コーチは素晴らしいです。打撃のコーチもコンビネーションのバリエーションも多いですし。戦い方の幅は広がると思います。でも試合前の調整は日本の方が良いです。安田さん、水垣(偉弥)さん、ニック(末吉)さんというトレーナーとの息が合っていますし。色々と勉強させてもらって、技術力もついている。

SONIC SQUAD安田けんコーチと(C)MMAPLANET

米国が進んでいるのは分かります。でも、身につくかどうか。僕の場合は教わるよりも、自分で考える方が自分のスタイルに合わせていきやすくて。その方が合っています」

──打撃単体、レスリング単体だと日本は後れを取っていないかと。ただし柔術、そしてレスリングと柔術の融合という部分において、米国の方が進んでいるかと。

「あぁ、フロリダはレスリングと柔術の融合という感じが強かったです。ただ柔術に関しても、なんなら浜松にいってサトシ選手と練習をすれば良い。向こうより強いです。あっ、でもNYの方の柔術はヤバかったですね。1Rで何本も取られて。知っていれば大丈夫ですけど、知らない技はかかってしまう。でも、それはどこでも同じですよね(笑)。だから日本でもデキると僕は思っています」

──米国で強くなることを選んだ元谷選手ですが、前回対戦した時と変わった点は見当たりますか。

「技術は覚えたかもしれないです。でも、癖とかってそんなに変わらないんですよね(笑)。ちゃんとやることを決めてきている。それは感じます」

──対して、直樹選手はどこが変わりましたか。

「全部違うと思います。あの時はまだ筋量もない状態でのバンタム級だったので。あれからボクシング技術、寝技とかも色々と通えるようになって。100パーセント、レベルアップしている自信はあります。ただ向こうに行って強い選手と練習しているという点は、元谷選手も自信をつけていると思います。そこが怖いところ、不安にさせられるところですね。いえば、そこぐらいです。僕も向こうで練習をして自信にはなったので。そこからディフェンスの仕方とか、攻撃の持って行き方は自分アレンジして、やってきたのが今の自分なので。元谷選手は自信にはなっていると思いますけど、分からないですね」

──フィニッシュとか、試合タイムを比較するのでなくて、どのような試合ができれば直樹選手は自身の成長を確認できると思っていますか。

公開練習で挑戦者の元谷友貴と並び立つ。初戦の印象については元谷インタビューも併せてお読みください(C)MMAPLANET

「前回も実力差なく、元谷選手のミスをついて一本取った感じなんです。元谷選手は組めば安定しているのですが、打撃が全くな時もあります。スタンドで持って行かれると、4年前に自分とやった時みたいにミスをすることがある。そんなミスを誘うことができれば良いのですが、そればかりを狙わずに自分で攻めて展開を創りたいですね」

──直樹選手は正々堂々と戦いますよね。駆け引きも正直というか。反則をするとかでなく、意地悪なMMAをすることもありますか。

「意地悪!! 相手の嫌がることとか、やっていますよ。それが勝負だから」

──お姉ちゃんなら、平気でやりそうなことで。

「ハハハハハハ。間違いないです。でも、全然僕もやりますよ。鼻が折れれば、そこばかり殴りますし」

──そのようなイメージはなかったですが、それこそが戦いですよね。今回の試合はこれから先を見据え、またRIZINのバンタム級で強くなっていくのであれば、「もっと強いヤツを呼んでこないと勝負にならない」くらいの印象を残すことも大切かと。

「そのうえで見てくれる人が納得できる試合をしたいです。打撃でもレスリングでも、寝技でも。ちゃんと完勝して、『海外に行けよ』と言われるくらいにはなりたいです」

──一方でダニー・サバテロがRIZINと契約。シェイドゥラエフもバンタム級でも戦えると明言しています。

「やっぱり実績と実力がある選手がRIZINに来て、そういう相手に勝つと見返りも大きくなるので楽しみです」

──パッチー・ミックスも来いよ、と。

「そうですね(笑)。呼べるなら、呼んでほしいです」

■視聴方法(予定)
3月30日(日)
午前11時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■対戦カード
<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者] 井上直樹(日本)
[挑戦者] 元谷友貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
鈴木千裕(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)

<ライト級/5分3R>
ルイス・グスタボ(ブラジル)
野村駿太(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
泉武志(日本)

<59キロ契約/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トニー・ララミー(カナダ)

<59キロ契約/5分3R>
前田吉朗(日本)
横内三旺(日本)

<フェザー級/5分3R>
横山武司(日本)
木村柊也(日本)

<ストロー級/5分3R>
越智晴雄(日本)
中務修良(日本)

<ヘビー級/5分3R>
酒井リョウ(日本)
エドポロキング(日本)

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
赤田プレイボイ功輝(日本)

<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
トビー・ミセッチ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
万智(日本)
パク・ソヨン(韓国)

<キックボクシング67.5キロ契約/3分3R>
稲井良弥(日本)
加古稟虎(日本)

<キックボクシング55キロ契約/3分3R>
龍生(日本)
香川刻(日本)

<フライ級/5分2R>
高岡宏気(日本)
飴山聖也(日本)

<キックボクシング63.5キロ契約/3分3R>
吉岡龍輝(日本)
切詰大貴(日本)

<キックボクシング63.0キロ契約/3分3R>
大谷翔司(日本)
足利也真登(日本)

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