【DEEP124】フェザー級GP1回戦で芦田崇宏と激突、水野新太「戦いの中で新しいリズムを創る」
【写真】ルックスは和製パディ・ピンブレットーーGP前に髪の色も銀から金へ。美容師さんの提案で眉毛まで金色に(C)SHOJIRO KAMEIKE
15日(土)、東京都文京区の後楽園ホールでDEEP124が開催される。今大会からフェザー級GPが開幕し、その初戦で水野新太が芦田崇宏と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2023年のプロデビュー以来、5戦無敗。野球と映画が好きだった男の人生を変えたのは、朝倉未来のYouTubeチャンネルだった。趣味で始めたMMAも、ジムで出会った石司晃一の影響でプロを目指すことになる。様々な出会いを通じて成長してきた水野の目標は「MMAで親に恩返しをしたい」――謎のベールに包まれた、そのキャリアを語る。
下半身の強さは、野球の経験が生きている
――MMAPLANETでは今回が初インタビューとなります。まずは水野選手がMMAを始めたキッカケから教えてください。
「コロナ禍の時期に朝倉未来さんのYouTubeチャンネルを視て、MMAを始めました。当時は僕も家族も、格闘技には興味がなかったんですよ。そんな時に兄から『面白い人がいるよ』って朝倉未来さんのYouTubeチャンネルを紹介されて、朝倉兄弟の試合も視るようになりました。
RIZINの試合を視ていると『これは凄い』と思って、兄貴とスパーリングみたいなことをやり始めたんです。『この技、この感じかな』みたいな。それがどんどん楽しくなって、親に言ったらジムを勧められて。僕は中野にある高校に通っていたので、中野のジムなら通いやすいだろうということでトイカツ道場東中野に入りました」
――現在はトイカツ道場から離れて、フリーとして活動しているのですか。
「はい。今はフリーなので、いろんなところに行かせてもらっています。トイカツ道場で石司晃一さんと練習したり、週イチで大塚隆史さんのT-GRIP TOKYOに行ったり、HALEOでトレーニングしています」
――MMAを始める前は、何かスポーツ経験があったのでしょうか。
「小3から高3の夏まで、ずっと野球をやっていました。でも才能はなくて――もう腐っていたというか、野球に対する熱は下がっていたんです。よく格闘家でも『昔、甲子園に出たことがある』という選手もいるじゃないですか。僕が入った高校の野球部はメッチャ強いというわけではなくて。だけど1年生から周りは上手い人たちばかりで、心が折れました」
――とはいえ10年近く野球をやっていると、MMAを始めるうえでも下地が違いませんか。
「そうですね。MMAを始めてから『野球をやっていたおかげだ』と感じることが多かったです。野球部でハードな練習をしていたから、MMAでハードな練習をしても怪我しにくかったり。あと周りと比べても下半身の強さは、野球の経験が生きていると思います」
――MMAを始めた当初は、プロのファイターになろうと思っていたのですか。
「いえ、完全に趣味でした。最初は楽しくMMAをやっていきたいと思って。ただ、アマチュアの試合には出たいとは考えていました。ジムに入って7カ月ぐらいかな? 初めてアマチュアの試合に出た時、負けたんです。次の試合では腕が折れて……それで逆にMMAが楽しくなりましたね」
――えぇっ!?
「大きな怪我があると辞めちゃう人も多いですよね。でも自分はその怪我で火がついちゃって、本気で練習に取り組み始めました」
――その強いメンタルも、野球を通じて培ったものでしょう。
「そうだと思います。野球部は練習もキツし、上下関係もキツいですし(笑)。今MMAをやっていて、『野球をやっていて良かった』と思えることは多いですね。
でもそれ以上に――プロになろうと思ったのは、石司さんとの出会いが大きかったです。僕がMMAを始めた頃には、石司さんはもうプロで活躍している選手で。練習すると僕がボコボコにやられるじゃないですか。もうヤバいぐらいボコボコに(笑)。そこで僕はプロ選手にただ憧れるだけじゃなく、『プロって凄いな。自分もプロで戦いたいな』と思って。プロ選手になるための練習や考え方に変わっていきました」
親にMMAで恩返し、親孝行したい
――イチからMMAを始めて、ファイトスタイルを構築していくうえでも、石司選手の影響が大きいのですか。
「最初は朝倉未来さんを目指していて、まず構えは右利きだけどサウスポーにしました。まだ試合では決めたことがないけど、いつか左ハイでバシッと倒したいと思っています。でも今は憧れとかではなく、自分もプロ選手とやっているので、その気持ちは変わってきました。
やっぱりMMAが好きだから、全部できるようになりたいです。テイクダウンを切って打撃というだけじゃなく、寝技も全部強くなりたい。そう考えると、やっぱり石司さんのスタイルが理想なんですよ。ずっと近くで見ていて――石司さんは全部がマジで強い。寝技も極めが強いし、ディフェンスも強い。僕もそんなスタイルを目指したいです」
――そのうえで水野選手は動きが速いというか、躊躇なく試合を展開させていくという印象が強いです。
「えっ、そうですか。練習だと少し考えるところがあるけど、それでも常に動くようにしています。自分のテンポ、自分のリズムというのがあって。うまく言葉では説明できないけど――ゆっくり動くのではなく、速いテンポで動きたいんですよね。
それが試合になると、いつの間にか動いています。たとえばワンツーを出そうと考えて出しているわけじゃなく、体が反応してワンツーを打っているような感じで。いつも試合はそんな感じです」
――プロデビュー当時、MMAを戦っていくうえでの目標は何でしたか。
「強くなりたい、っていう気持ちが一番でしたけど――最初はこんな自分を想像していませんでした。これほど本気でMMAをやるとは思っていなかったというか。今でも目標はボヤけたままではありますけど、最近は『親に恩返ししたい』と思っています」
――恩返し、というと?
「兄弟でずっと野球をやっていて、兄貴は有名な高校に進んだんですよ。だけど自分は試合の時、親が応援に来てくれても良いところを見せられなかったり……。野球をしていた頃から、そういう苦い思いばかりしてきて。でもMMAを始めて、周りの人たちが僕に期待して、応援してくれる。まずそれが嬉しいけど、一番は親の前で活躍して、喜んでもらいたいです。
親としては、たぶん僕に野球で活躍してほしかったはずなんですよ。親父も野球が大好きで。だけど自分がMMAを始めてからは、親父も格闘技のことを調べ始めて、今では自分より詳しくなっています。そんな親にMMAで恩返しというか、親孝行するのが目標です」
――MMAを始める時、親御さんの反対派はなかったのですね。
「なかったです。高3の夏が終わって格闘技を始めたあと、僕は日本映画大学に入ったんですよ。もともと家族全員が映画を観るのが好きで。父は昔、自分で映画を撮っていて、母は舞台の脚本を書いていたという影響もあって、僕も映画の大学に入りました
だけど最初は趣味だった格闘技に集中したい――と思って、親に相談したんです。『大学に3年間通わせてもらったけど、辞めてMMAに集中したい』と。そうしたら親父は賛成してくれて、今でもずっと応援してくれています」
ケージに入るのは2人で、勝つのは1人
――水野選手に、大学生活を捨ててまでMMAに集中したいと思わせたものは何だったのでしょうか。
「ケージに入るのは2人で、勝つのは1人――それが魅力的ですよね。KOや一本で勝った時は、周りも親も喜んでくれて。自分一人だけじゃ格闘技はできない。周りが支えてくれて、続けられるものなので。結果、僕が勝つことで皆が喜んでくれるのが好きなんです」
――なるほど。そして今回、水野選手のキャリアにとって大きな転換点となるであろう、DEEPフェザー級GPを迎えます。
「まずプロ6戦目で、こんなチャンスをもらえるとは思っていなかったです。『自分はどこまで行けるのか―』という気持ちでオファーを受けました。もちろん優勝を目指すけど、このメンバーと対戦して自分がどんな試合をすることができるのか。それで自分がどれだけ成長できるのか、というワクワクしかないです」
――GP初戦では芦田選手と対戦することとなりました。
「芦田選手はリズムやテンポが一定じゃなく、いろんな戦い方を見せますよね。試合経験も豊富だから、芦田選手のリズムになる時もあるとは思うんです。だけど、そうなった展開も楽しもうと思っています。相手との戦いの中のリズムから、自分の新しいリズムを創ったりとか。
これから上に行くと、自分のリズムで戦えない時も出てきます。そんななかで自分の新しいリズムを見つけていきたいですね。GP出場メンバーの中でも僕は知られていない存在だと思うので、芦田戦で自分の実力を証明します」
■DEEP124 視聴方法(予定)
3月15日(土)
午後5時40分~ YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■DEEP124 対戦カード
<DEEPフェザー級GP1回戦/5分3R>
中村大介(日本)
五明宏人(日本)
<DEEPフェザー級GP1回戦/5分3R>
芦田崇宏(日本)
水野新太(日本)
<DEEPフェザー級GP1回戦/5分3R>
奥山貴大(日本)
海飛(日本)
<DEEPフェザー級GP1回戦/5分3R>
高橋遼伍(日本)
相本宗輝(日本)
<バンタム級/5分3R>
瀧澤謙太(日本)
平松翔(日本)
<フライ級/5分3R>
本田良介(日本)
KENTA(日本)
<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
山本颯志(日本)
<バンタム級/5分2R>
日比野エビ中純也(日本)
雅駿介(日本)
<バンタム級/5分2R>
山本有人(日本)
朝比奈龍希(日本)
<フライ級/5分2R>
木村琉音(日本)
松井優磨(日本)
<フェザー級/5分2R>
滝田J太郎(日本)
八須拳太郎(日本)