この星の格闘技を追いかける

【RIZIN DECADE】芦澤竜誠と本能の戦いへ。福田龍彌「単純にどっちが強い生き物か。それだけの話」

【写真】RIZINがなければ交わらなかったであろう福田と芦澤。しかし戦いの思考やファイトスタイルなど間違いなく噛み合う2人だ(C)TAKUMI NAKAMURA

31日(火)、さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN DECADEの第2部=RIZIN49で福田龍彌が芦澤竜誠と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2024年はバンタム級に階級を上げ、雅駿介と瀧澤謙太を1Rで仕留めている福田。今年の大晦日RIZIN49の最後の追加対戦カードとして芦澤と対戦することが決まった。

対戦相手の試合映像を見て対策を立てることに時間を割くのではなく、自分のクオリティを上げて対戦相手の向かいった時の感覚で戦う。本能に任せた戦いで強さを発揮するという意味では福田と芦澤には共通するものがある。福田自身も「単純にどっちが強い生き物かっていう、それだけの話」と語る。


――大晦日での芦澤戦が発表されて、周りの反響も大きかったのではないですか。

「周りの反響は大きいですね、特に大晦日というところで。『やっぱり大晦日出るんですか!?』って感じでしたね。芦澤戦というより大晦日みたいな。みんなそこなんやなと思いました」

――福田選手自身も大晦日のオファーは意外な部分もありましたか。

「もしかしたら試合があるかもみたいな感じだったんですけど、フライ級まで落とすのは無理やなと思っていて。そしたら(大晦日は)難しそうな感じやったんで、オファーをもらった時はびっくりしましたね」

――今年から本格的にバンタム級で試合を続けていますが、バンタム級に照準を絞ってやきたいと思っていたのですか。

「今年はそうっすね。今年はフライ級の話が来そうになかったんで、それやったらバンタム級で開拓していこうと思っていました」

――同じバンタム級とは言え、芦澤選手と対戦することは想像していましたか。

「全然想像してへんかったし『ええ?マジで?』みたいには思いました」

――カード発表時に初めて顔を合わせたと思うのですが、どんな印象を受けましたか。

「思っていたより自分のことをリスペクトしてくれてるんやなっていうのは感じて。あとはすごいキレイな目をしていましたね。めちゃくちゃ真っ直ぐやな、と」

――対戦が決まって試合映像は見ましたか。

「見てないっす。あんまりそこは意識してへんかな。実際現場でどう感じるかを大事にしたいというか。芦澤くんに限らず、いつもこんなな感じなんで」

――芦澤選手はK-1での実績があり、MMAファイターの中ではすぐれたストライキング技術を持っている選手です。そこも実際に試合で向かい合って感じたいですか。

「はい。芦澤竜誠っていう生き物がどういう動きをする生き物なのかなって。そこは実際現場で感じて、狩りにいこうと思います」

――福田選手は京都のWIZARDキックボクシングジムでも練習されてるんですよね。

「そうです。だから斗麗とか“狂拳”迅とか大夢とか、Krushでチャンピオンになったり、K-1のトーナメントで結構上まで行ったような選手とは普通にやり合ってます。だからそういう選手とやり合う方が難易度は高いんかなと思ってますけど」

――昔から打撃の専門家との練習は続けていたのですか。

「やってましたね。ボクシングでももう引退しちゃいましたけど、WBAでランキング1位になったり、日本タイトルを獲ってるような子らとスパーしてきてるんで。結構立ち技競技で結果を出してる人と殴り合う経験はいっぱいしてきてるんで、あんまりそこは気にならへんかな」

――福田選手自身はバンタム級での2試合を振り返って、自分の中で手応えを掴んでるものはありますか。

「減量苦がない分、自分を削る作業をせんでいいというか。自分を削らずに、ずっと積み上げる練習ができるんで、そういう意味で強くなってるというのは感じます。階級を上げてすごい充実した練習が出来てるし、結果も出ているんで。ただ今年は2試合やって6分くらいしか戦えてへんのですよ、雅(駿介)戦が2分ぐらいで終わって、タッキー(瀧澤謙太)戦が4分ぐらいで終わっちゃったから」

――2試合とも1R決着だったので、2Rまで行ってないんですね。

「そうなんですよ。で、1試合は俺が怪我して試合を飛ばしちゃったから、6分しか戦えてへんのはちょっと寂しいなと。そういう意味では大晦日に試合さしてもらえるのがすごい嬉しいし、まだまだ見せてへんものがいっぱいありますよ」

――それは打撃だけじゃなくてMMA的なところでまだまだ出していないものがあるということですか。

「そうです。それはどの試合でもそうですよ。お客さんが見て喜んでくれるのってやっぱりKOじゃないですか。僕、修斗のデビュー戦で一本勝ちしてるんすけど、そのときお客さんが全然沸かへんかったです(苦笑)。絞め落として失神させたのに。会場がなんであの人やられたの?みたいな感じになっちゃったんで、やっぱりKO勝ちの方がみんな喜びますよね」

――福田選手はストライキングの印象が強いですが、試合の流れでそうなってるだけで、MMAとして出来ることは多いわけですよね。

「別にテイクダウン取ってパウンドでゴスゴスにしてもいいし、そっから組み伏せて、ちゃんとパスガードして、順序を追ってバックチョークを取ってもいいし。選択は自由なんすけど……やっぱり殴るのが一番好きっす」

――そういった意味ではバンタム級では体も動く・反応がいいという感覚もありますか。

「めちゃめちゃあります。なんて言うのかな、ほんま普段通りできるんですよ。調子いいというか。普段の力が10だとしたら、フライ級まで落とすと7ぐらいで試合してる感じなんです」

――フライ級は自分が弱体化している感覚なんですね。

「これは力が出ねえな…みたいな。どちらかというと自分のクオリティが落ちた状態でリングに上がってました。(フライ級の)最後の方はそこがずっと自分でも歯がゆくて。それでバンタム級に上げたんすけど、やっぱり大正解って感じです」

――パンチ威力や正確性が上がったわけではなく、全体のクオリティが上がっていて、試合で出ているのがそこ(パンチ)ということですか。

「そうです。流れで勝手に(打撃が)出ちゃっただけだし、打撃は良くなってるところの片鱗やから。あれしかできひんわけではないです」

――見る側からすると、芦澤竜誠て生き物と福田選手が遭遇したら何が起こるんだろうというワクワクがあります。ファイトスタイル的にもリングで向かい合った感覚を大事にしているタイプだと思いますし。

「間違いないですね。単純にどっちが強い生き物かっていう、それだけの話やから。めちゃめちゃ楽しみっすよ。わくわくするし。早く向き合いたいっすね」

――福田選手にとっては初の大晦日ですが、大晦日に戦うということで何か変化はありますか。

「あんまり自分は箱にこだわってはいいひんから。後楽園ホールで試合するのも、高松シンボルタワーで試合するのも、さいたまスーパーアリーナで試合するのも一緒。全力で向き合う気持ちは変わらないです。でも大晦日に声がかかるような選手になれたんやなっていうのはあります。キャリア13年ぐらいかかりましたけど、それはすごく嬉しいです。地方とか四国の小さい会場で試合してたやつが、大晦日のさいたまスーパーアリーナで戦っているおっさんになって、多分、17歳の俺にそれを言ったら『マジで?』って驚くと思います」

――そのぐらい最近の福田選手は勝ち方にインパクトがあるし、期待感も上がってるからこそのオファーだと思います。来年以降はどんなキャリアを積んでいきたいと考えていますか。

「来年はどういう話をもらえるかですけど、どっちにしろヒリヒリしたものを見せたいです。俺にしかできひんぐらいのもんを戦うことで見せていきたいと思ってるし。それとやっぱり常にチャレンジャー精神を持っておきたいです。なんか今年は赤コーナー側の試合が続いたんで、2025年はできるんやったら青コーナー側の試合、チャレンジ的な試合をやりたいです」

――福田選手には何度か取材させてもらっていますが、リングに上がったときの緊張感など、日常にはないものを味わうのが好きですか。

「そうですね。あの時間が一番必死に生きれてるでしょう。一番濃い時間。全力で今を生きてる感」

――確かに5分3R=15分間、相手が必死になってぶん殴りに来るような場面は普通に生きていて遭遇しないと思います。

「それが何て言うのかな…本能として人間として大事な感覚な気がするんですよね。そういうものを常々感じられる人生にしたいなとは思ってます」

――階級を上げたことも含めて、そういった本能的なものを感じられる相手や試合が増えそうですね。

「そう思います。どうしても13年やってるとマンネリ化しちゃうし、そういう意味では、自分もキャリア終盤だと思うんで、残りの格闘技人生も楽しめそうやなって思いますね。バンタム級で」

――それでは最後にこの試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「芦澤くんも言ってましたけど、辰年最後ってことで。ドラゴンが頑張って締めさせていただきます。しかも来年はへび年で、僕のキャッチコピーが壬生の大蛇なんですよ。なんで大蛇か分からないけど(笑)」

――メデューサのタトゥーが入ってるから……ですかね。

「でもメデューサの蛇は髪の毛やから大蛇じゃないよなぁ、みたいな(笑)。それはさておき、来年も良い働きができたらいいなと思ってます!」

■RIZIN DECADE 視聴方法(予定)
12月31日(火)
午後1時00分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■RIZIN DECADE / RIZIN49 対戦カード

<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者] 鈴木千裕(日本)
[挑戦者] クレベル・コイケ(ブラジル)

<RIZINフライ級選手権試合/5分3R>
[王者] 堀口恭司(日本)
[挑戦者] エンカジムーロ・ズールー(南アフリカ)

<RIZINライト級選手権試合/5分3R>
[王者] ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
[挑戦者] ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
伊澤星花(日本)
ルシア・アプデリガルリム(アルゼンチン)

<バンタム級次期挑戦者決定戦/5分3R>
元谷友貴(日本)
秋元強真(日本)

<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)

<フェザー級/5分3R>
YA-MAN(日本)
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)

<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
芦澤竜誠(日本)

<ヘビー級/5分3R>
上田幹雄(日本)
キム・テイン(韓国)

<59キロ契約/5分3R>
神龍誠(日本)
ホセ・トーレス(米国)

<ライト級/5分3R>
矢地祐介(日本)
桜庭大世(日本)

<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
新居すぐる(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
エドポロキング(日本)

<バンタム級/5分3R>
大雅(日本)
梅野源治(日本)

<RIZIN甲子園決勝戦/5分2R>
横内三旺(日本)
斉藤健心(日本)

PR
PR

関連記事

Error, no Advert ID set! Check your syntax!

Movie