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【POUNDOUT01】ベテラン鍵山雄介と対戦、中村京一郎「やるべきことをやっていれば、相手は関係ない」

【写真】 確かな自信を手にした空気感がある中村京一郎だ(C)TAKUMI NAKAMURA

5日(土)に千葉市美浜区の幕張メッセ国際展示11ホールで開催されるPOUNDOUT旗揚げ戦にて、中村京一郎が鍵山雄介と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2024年の上半期、中村は格闘代理戦争-THE MAX-に出場し、3カ月連続で3試合をこなすという過酷なトーナメントを制した。当初は超RIZIN03への出場を予定していたが、対戦相手の調整がつかず出場が見送りとなっていた。

中村にとって仕切り直しの一戦は、髙谷裕之が地元・千葉で主催するPOUNDOUT旗揚げ戦。40戦以上のキャリアを誇るベテラン鍵山との対戦となる。この夏にはタイに渡って外国人選手たちとも肌を合わせ、試合から離れたからこそできる経験で多くを学んだという中村。POUNDOUTからスタートする新たなプロキャリアについて話を訊いた。


──当初は格闘代理戦争-THE MAX-で優勝し、超RIZIN03に出場予定だったと思います。最終的に出場が流れてしまった経緯を教えてもらえますか。

「もともと超RIZINに出る予定で、最初はXでやりとりがあった萩原(京平)選手と試合があるかもしれないという話だったんです。そのなかで別の対戦相手の候補も挙がってきて。ただ髙谷(裕之)さんや岡見(勇信)さんと話し合って、試合間隔や準備期間も含めて今やるべき相手じゃないということになって、色々と調整を続けてもらっていたのですが、決まらずという感じですね。終わったことを話してもしょうがないし、そこは気持ちを切り替えようと思いました」

──格闘代理戦争は3カ月連続で試合が続いていて、コンディションに問題はなかったですか。

「僕自身は疲れる感じもなくて、減量や体重調整が上手く行っていて、パフォーマンスは良かったと思います。ただ代理戦争が終わって年内は2試合やろうと思っていて、そうなると年間5試合やることになるので、チームとして一度休んでもいいんじゃない?という意見もあって。実際に7月も試合があるかどうかギリギリまで分からなかったし、それだったら7月は回避して自分が上がっていくステップに向けて、スキルやフィジカル面を強化していこうと思いました」

──改めて格闘代理戦争での3試合は中村選手にとってどんな経験になりましたか。

「ギレルメ(・ナカガワ)選手やトミー(矢野)選手はバリバリにプロのトップで活躍している選手じゃないけど、寝技のレベルで言ったら他のプロ選手よりも経験値があるというか、格闘技歴も長くて、ポッと出のプロ選手よりはむしろ強いぐらいのレベルだったと思うんです。

しかも自分的には苦手と言われているグラップリングが強い選手で、そこへの対策もできたし、実際そこで勝てたことは非常に大きかったと思いますね。偶然か必然か分からないですけど、自分の課題に向き合うような相手と試合できたことは本当にデカかったと思います。3カ月連続で試合することもなかなかないですし、自分を調整するという意味でも良かったですね」

──実際に試合で柔術・グラップリングの強豪と戦って、そこに向けた準備も含めて、組み技・寝技の技術は上がりましたか。

「はい。練習していても、そこがすごく上達したというか。試合に対して取り組んでいた期間で自分のスキルが上がって、それが今も継続して引き出しとして残っているのを感じているんですよ。だから、本当にそこは成長した部分だなと思います」

――例えばこの期間に新たに取り入れた練習などあるのですか。

「8月に2~3週間ほどタイのタイガームエタイとバンタオ・ムエタイに練習に行って、色んな国の選手と練習しました。ジムにはロシア人も結構多かったんですけど、練習で肌を合わせることができてよかったですね。いきなり試合でああいう選手たちとやったらビックリすると思うので」

──外国人の免疫をつけておくということですね。

「技術的・体力的なことはもちろん、性格とか気性の部分とか、実際に練習してみて日本人と違うところがたくさんあったんで、そこを経験できて良かったなと思います。あと外国人選手に対して勝手なイメージもあると思うんですよ。例えばロシア人=強いみたいな。でもそれって(カビブ・)ヌルマゴメドフや(カムザット・)チマエフを見て作ったイメージじゃないですか」

──ロシア人に組まれると100パーセント負けてしまう、みたいな。

「はい。でもそれは選手によって違うわけだし、やってみないと分からないですよね。日本人も色んなレベルの選手がいて、全員がトップ選手と同じ動きができるわけじゃない。そういう意味でも外国人選手に対する思い込みを払拭できたことは良かったです」

──さて今回は5カ月ぶりの試合で鍵山選手と対戦が決まりました。どんな印象を持っていますか。

「カテゴリーで分けるとしたら、ウェルラウンダーなのかな。ストライカーかグラップラーでは分けづらいというか。格闘技歴がめちゃくちゃ長いベテランの選手で試合勘というか、ベテランならではの試合に対しての挑み方とか、落ち着きっていう部分は感じるんですけど、ぶっちゃけ突出した何かがあるという印象はないです。

ただGRACHANの岩﨑(ヒロユキ)代表と対談している動画を見て、もうそろそろ引退ということを言っていて、そういう腹の括り方で試合に臨んでくるというのは、一つの武器になる部分ではあると思っています」

――ある意味、鍵山選手は特徴がないことが特徴であり、強味という選手だと思います。

「そうなんですよ。打撃になったら打撃をやるし、組みになったら組みをやる。相手が来た土俵でやるんだけど、それで勝ったり負けたりなので……特徴が捉えづらいです(苦笑)。言い方を変えれば、全部の局面で落ち着く場面は少ないと思うので、打撃でも寝技でもどうしていくのかをこっちが明確にしないとフィニッシュできないと思っています」

──中村選手が言われたように、これが最後の試合になるかもしれないという覚悟で来るということは、これまでの試合にない粘り強さがあるかもしれないですよね。

「そうですね。むしろそうじゃなきゃおかしいし、そういうつもりで作ってきてくれるからこそいい試合になると思っています。もし鍵山選手が『もう引退するんで…』って弱気な感じで来たら、見ている人にもそれが伝わっちゃうだろうし、中村が勝って当たり前だよねと思われるのも嫌なんで。鍵山選手には覚悟を持って作ってきてほしいし、それを潰すのも僕の使命だと思います」

──代理戦争を終えて、ここからまたプロとしてのキャリアがスタートしていくことになると思いますが、どんな目標を持って戦っていきたいと思っていますか。

「最終的な目標はUFCのベルトを巻くことですが、だからと言って他の団体に興味がないというわけではないです。それこそ僕はRIZINも好きだし、友達や練習仲間がRIZINで活躍している姿を見て、国内では本当に一番の団体だと思っています。今の僕はどの団体に出たいとか(舞台を)絞れる立場ではないと思っているので、自分がやれる選手がいたらドンドンやってキャリアを積んでいきたいと思います」

──チャンスを待っていても全員にチャンスが来るわけだけではないですし、自分でキャリアを作っていかないとチャンスは巡ってこないですよね。

「はい、だからそこも縁だと思うんですよね。実力的にはUFCで戦えるレベルだけど、縁がなくてUFCに行くチャンスがない選手ってたくさんいると思うんですよね。だから僕がUFCに行く・行かないというのも、自分の運もあると思うし、そういう天運をしっかりもらわないとなと思っていますね。強くなることは当たり前ですが、強さだけではいけないとも思っています」

──そういった意味では、ここからは自分よりも評価が高い選手たちにチャレンジしたり、自分の評価を上げていきたいと思いますか。

「僕は対戦相手も縁だと思っていて、この選手とやりたいと思っても出来ないこともあるだろうし、逆に意識していなくてもやらなきゃいけない相手もいると思います。自分がやるべきことをやっていれば、相手どうこうは関係なく、自分が目指す姿になっていくのかなと思います」

──自分が目指すものに向けてやるべきことをやっていれば、自然とそのための相手と巡り合うという考えなんですね。

「そうですね。僕は今年で格闘技を始めて4年目ですけど、今はRIZINもすごく盛り上がっているし、Road to UFCやDWCSみたいにUFCを目指すための舞台もあるじゃないですか。でもそれより前の世代の選手たちには、そういう場がなかったわけで、ちょうど僕は自分が目指す舞台への道筋が確立されてきた時代に巡り合えていると思っています。で、僕はそれも運だと思っているし、そこには自分の使命もあるのかなと思います」

──なるほど。例えば中村選手がもう5年早く格闘技を始めていたら、今とはだいぶ状況が違うでしょうね。

「本当にそうですよ。もし今がキャリア10年目、年齢が35歳とかだったら、今とは全く違うことを考えていると思います。だから僕は今この歳やキャリアで今の状況・環境で格闘技が出来ていることを幸せだと思っています」

■視聴方法(予定)
10月5日(土)
午後4時30分~髙谷裕之YouTubeチャンネル

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