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【ONE FF58】ムエタイ世界王者のキック世界王座挑戦。プラジャンチャイ「2つの拳を使うから同じ」

【写真】ZOOMインタビュー中に音声をオフしたり、映像も途切れたり、その場を離れたり、奥さんかガールフレンドか女性の声がずっと聞こえてきたりしていたプラジャンチャイですが、質問の受け答えは非常に的確。天才なんだなぁと思えました(C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights 58「Superbon vs Grigorian II」にて、ストロー級ムエタイ世界王者のプラジャンチャイ・PK・センチャイがジョナサン・ディベラが保持するキックボクシングルールの世界王座に挑戦する。
Text by Takumi Nakamura

プラジャンチャイはムエタイで輝かしい実績を残し、2021年からONEに参戦。2023年6月にサムエー・ガイヤーンハーダオにKO勝利して暫定ストロー級ムエタイ世界王座を手にすると、12月には過去に敗れているジョセフ・ラシリに1RKOでリベンジを果たし、王座統一にも成功した。

ONEでは初のキックルールとなるプラジャンチャイだが「自分は100戦以上ムエタイの試合をやってきて、彼(ディベラ)にないものをたくさん持っている」と自信たっぷり。またプラジャンチャイにもギャンブルから変わりつつあるムエタイについても訊いた。


――昨年12月のONE Friday Fights 46では、ストロー級ムエタイ世界王座の統一戦として正規王者のジョセフ・ラシリと対戦し、ヒジ打ちでKO勝利を収めました。ラシリとは2022年5月にも対戦しており、カットによるTKO負けを喫しています。リベンジ出来た要因は何だったと思いますか。

「実は初めてラシリと対戦した時は体調が完璧じゃなかったんだ。ちょうど試合がなくてゆっくり過ごしている時に、突然タイトルマッチのオファーが来て、チャンスだと思って試合を受けたんだけど、心も体も試合に向けて集中できていなかったと思う。

いざ試合になっても集中力を欠いていて、あんな結果に終わってしまった。逆に2度目の対戦の時は、しっかり準備もできて試合当日を迎えたから、勝つ自信もあった。あの結果は決して驚くようなことではないし、みんなにベルトを巻く姿を見せられてよかったよ」

――プラジャンチャイ選手はONEでMMAグローブ着用のムエタイルールの試合を戦うようになりました。ボクシンググローブ着用の通常のムエタイルールとは違は何かありますか。

「グローブは違うけど2つの拳を使って戦うんだから大きな違いはないよ。初めてMMAグローブの試合をやったときは戸惑ったけど、すぐにアジャストできたし、特に困ることなく戦えるようになった」

――具体的にどのような練習をしてアジャストできたのでしょうか。

「う~ん………慣れれば大丈夫(笑)。練習で使うグローブは変えるけど、基本的にやることは同じだから」

――では特にMMAグローブ用の対策はしないのですか。

「そうだね。基本的なことは変わらないよ。強いて言うなら、MMAグローブの時はより速く動く、スピードは意識するけど、そのくらいかな」

――それこそ今回対戦するジョナサン・ディベラは非常にスピードがある選手です。彼に対してはどんな試合をイメージしていますか。

「確かに彼の動きは速くてスピードがある。でも自分の戦い方は彼にはない安定感があるし、自分の方がタフだ。自分は100戦以上ムエタイの試合をやってきて、彼にないものをたくさん持っている。それに彼の動きが速いと言っても、自分が彼より遅いとは思っていないよ」

――これまでMMAPLANETでONEのタイ人選手に聞いてきたことをプラジャンチャイ選手にも質問させてください。ルンピニー・スタジアムでONEが毎週大会を開催していて、ムエタイ=賭け・ギャンブルという状況が変わりつつあると思います。プラジャンチャイ選手はこれについてどう感じていますか。

「ONEがムエタイの試合を組むことで、確実にムエタイは良い方向に進んでいる。人々がムエタイをギャンブルではなくスポーツ・娯楽として見るようになり、ムエタイを見る層そのものも変わった。ムエタイはギャンブラーが金を賭けるものではなく、誰もが見て楽しむものになったんだ。戦っているファイターたちも、ギャンブルのことを気にすることなく、自分のスキルを100パーセント見せて勝つために戦うことができる。これはすごくいいことだと思うよ」

――ONEのムエタイルールでは選手たちがKOを目指して激しい試合を繰り広げています。プラジャンチャイ選手はそうしたアグレッシブな試合の方が好きなのですか。

「今までのムエタイはギャンブルを成立させなければいけないから、どちらかが一方的に勝つことは好まれなかった。1Rはお互いに様子を見て、どんな技を出すのかをチェックする。そのうえで2R以降はどういう攻防をするかを考え、どちらかが一方的にならないように競っているような試合をする。

そうやってギャンブラーの掛け金を増やさないと自分たちの手元に入るお金が少なくなるんだ。どちらかが相手を打ち負かすのではなくて、ある意味2人で協力しながら稼ぐ額を増やすのがギャンブルのあるムエタイだ」

――ギャンブルである以上、純粋に勝つために戦うだけではいけないと。

「ムエタイはファイトマネーそのものが高くないし、自分たちは家族を養うためにも稼がないといけないからね。でもONEでは一方的に相手を打ち負かすことが評価されて、KOボーナスやファイトボーナスを手に入れることができる。自分たちが持っているスキルをフルに使い、1Rから勝ちにいっても問題ない。自分はそういう試合が好きだし、見ている人たちにも楽しんでもらえると思う」

――まさにONEがムエタイを変えたわけですね。

「そうだね。ただしそれはONEのムエタイがギャンブルではないからであって、またムエタイがギャンブルに戻るのであれば、選手たちも以前と同じような試合をするだろうね」

――ONEがムエタイの試合を組むことで、選手もタイだけでなく世界中でスターになる可能性があります。プラジャンチャイ選手も世界規模の選手になりたいと思いますか。

「もちろん!ONEで試合をして世界中の人に自分を知ってもらえるチャンスがあることは最高だよ」

――日本には多くのプラジャンチャイ選手のファンがいます。そのファンに向けてメッセージをいただけますか。

「日本のみなさん、そして世界中のみなさんに4月5日の試合を見て欲しいと思う。結果がどうなるかは分からないけど、100パーセント全力の試合をするよ!」

■放送予定
4月5日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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