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【Special】J-MMA2023─2024、透暉鷹「形に入ってしまえば、それほど力は使わなくていい」

【写真】2つ目のパンクラスのベルトを巻いた透暉鷹。前編はタイトル奪取について詳細を語ってもらった。気になる今後──は、後編で(C)SHOJIRO KAMEIKE&MATSUNAO KOKUBO

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第十一弾はバンタム級KOPの透暉鷹に話を訊いた。昨年のクリスマスイブに、1年振りの試合かつバンタム級初戦で河村泰博を下し、フェザー級に続きバンタム級のベルトを巻いた。結果、バンタム級転向の手応えを得ることはできたのか。名古屋市守山区にあるISHITSUNA MMA/ GROUNDSLAM MORIYAMAに透暉鷹を訪ねた。

■2023年透暉鷹戦績

12月24日 Pancrase340
○1R4分45秒 by 肩固め 河村泰博(日本)


――ベルト奪取&2階級制覇おめでとうございます。

「ありがとうございます! 良い新年を迎えることができました」

――試合内容は会心の出来だったのではないでしょうか。

「想定していたどおり、理想的な展開になりました。相手が一番強い展開は、ジャブで距離を創り、僕が焦って遠い距離から組みに行くとダースチョークを合わせてくるというもので。僕としてはケージの真ん中で、タイミングでテイクダウンすること。そして4~5Rぐらいで極めようと考えていました」

――えっ!? 終盤勝負のプランだったのですか。いきなり1Rで極めていましたが……。

「はい、フルラウンド戦う想定をしていました。形に入ってしまえば、いつでも極められるとは思っていて。だから1~3Rはしっかりと削っていくつもりだったんです」

――透暉鷹選手の想定に対して、河村選手のほうが考えているよりも早く極めに来たのでしょうか。テイクダウンされても河村選手は守りに入りませんでした。

「それはあるかもしれないですね。僕がパスガードしようとしたら、河村選手はシザースチョークを狙ってきたじゃないですか。あれは極まるほどの形ではなかったけど、シザースチョークから煽られてから50/50みたいな感じで足関節を狙われました。あの流れは見栄えも良くなかったですよね。でも、ああいう流れに対して、パウンドを打ちながら徐々に足関節を解除していくという練習はしていました」

――河村選手がシザースチョークに入った瞬間、確かに極まるような形ではなかったものの、「これはシンドイ試合になるのでは?」と思いました。あのシザースチョークから抜けるために力も体力も使うでしょう。

「あぁ、なるほど。逆にあの場面は河村選手のほうが力も体力も使っていたと思います。シザースチョークで絞め上げる脚の力、足関節を極めようとする時の力——だから、相手が攻め終わった時が自分のチャンスだなと考えて。あの日、Ryo選手と栁川唯人もそうだったじゃないですか」

――Ryo選手が最終ラウンドに逆転の腕十字を極めた試合ですね。

「ずっとRyo選手が劣勢だったのに、最後はバックを取った相手を振り落として腕十字を極めに行きましたよね。あの試合を見ながら、日沖(発)さんと『ピンチのあとにチャンスがある』という話をしていたんです。Ryoさんの試合は、いつもそういう展開で」

――どれだけ不利になっても、決して諦めない。気持ちが強い選手なのだと思います。

「そうなんですよ。僕の試合も、少し相手のペースになりかけていました。そこはパウンドを打ちながらパスガードして、自分から攻めていこうと考えていました」

――では肩固めの形に入った瞬間、「これは極まる」と感じたわけですか。

「それが――河村選手の腕はちゃんと流れて、首も絞まっていました。そこで相手が首抜き後転みたいな感じで、後ろに回ろうとしましたよね。肩固めでちゃんと形に入っている時は、首抜き後転をやると余計に絞まってしまうんですよ。その動きは相手にとってミスだったと思います。僕としては『このまま落ちるな』と感じて。でも1R残り15~20秒の段階で、力を使いすぎてしまうと5Rまで戦うのはキツい。Ryo戦(2021年5月)も序盤で力を使いすぎてしまって、最後にギロチンを極められてしまいましたから」

――透暉鷹選手自身が過去に同じような経験をしていました。

「でも形に入ってしまえば、それほど力は使わなくていいんですよね。結果、河村選手もスーッと落ちた感じで。やはり極め急ごうとしたら相手にもバレちゃいます。パンチでもサブミッションでも同じですよね。狙おう、狙おうとしたらダメ。まずはしっかりと形に入ったことで、結果的にスーッと落とすことができたと思います」

――なるほど。ただ、残り15~20秒の段階だと相手が我慢しきってしまうことがあります。そうなると試合は2Rへ突入しますが、相手が耐えきることは考えていましたか。

「その展開も想定していました。もしサブミッションに行って、しっかりと形に入っていなければ、無理に力を使わなくていい。河村選手の場合はRIZINのヒロ・ヤマニハ戦(2022年11月に判定負け)でも、後転して肩固めから逃れていますから」

――後転やシザースチョークで脱出するのが得意であることは、透暉鷹選手も認識していたわけですね。

「でも僕との試合では、しっかりと形に入っていましたから逆に、後転したために極まってしまったと思うんですよ。とにかくその点は意識していて、セコンドの日沖さんからは『自分の感覚で形に入っていないと分かれば極めにいかなくていい。力を使いすぎるな、行けると思えば行っていい。その判断は透暉鷹の感覚に任せる』と言われていました。最後は自分の感覚で『極める!』と思ったので、力は使いすぎないようにして極めに行きましたね」

――そしてバンタム級転向初戦で一本勝ちし、フェザー級に続き2階級制覇を果たしました。初めてバンタム級で試合をしてみて、ご自身の動きはいかがでしたか。

「動きは良かったです。5Rやってみないと分からないところもありますけど、リカバリーからアップまで調子の良さは感じていました」

――計量を見ていて「やはりゲッソリしたな……」と思いましたが、リカバリーして迎えた試合当日は、理想的な逆三角形の体型になっていましたね。

「ありがとうございます(笑)。試合当日の体重は68~69キロぐらいで。試合2週間前は69キロで体を動かしていたので、リカバリーもうまくやれました。あとはこの体重で長いラウンドを経験しておかないといけないとは思っています」

<この項、続く>


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