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【FIGHT&MOSH】運命の一戦へ、安芸柊斗─02─「判定はいらんでしょ。一番強い猿丸選手が来てほしい」


2日(土)、東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」で、猿丸ジュンジと対戦する安芸柊斗のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

今年7月、安芸は新井丈が持つ修斗世界ストロー級王座に挑み、KOで敗れた。「徳島からベルトを巻く」という念願は叶わず。そのベルト挑戦を振り返りつつ、かつて父を倒した男との運命の一戦に向かう。2024年の新たな戦いを見据えながら。

<安芸柊斗インタビューPart.1はコチラ


――今年7月、新井丈選手に敗れて修斗のベルトを巻くことはできませんでした。新井戦後から猿丸戦決定までの心境を教えてください。

「新井戦のあとは、休みたいっていう気持ちが一番強かったです。重圧……うん、まぁ、重圧っていうほどではないけど、それなりにプレッシャーはあったので。結果は負けたけど、そのプレッシャーから解放されたから、一旦休みたかったです」

――プレッシャーとは、どこから何に対するプレッシャーだったのでしょうか。

「ベルトを獲らなアカン――それだけです。前回のインタビューでも言いましたけど『地方でもこんだけやれんぞ』って、徳島から修斗のベルトを獲るっていう気持ちが強かったです。地方の選手が東京でタイトルマッチをやらせてもらえること自体、なかなかないし。それは他の人から受けているプレッシャーではなく、自分で自分自身にプレッシャーをかけていました」

――……。

「試合が終わった時は『悔しい』より『楽しかった』という気持ちが勝っていました。『もうちょっと良いやり方があったかな』とも思いましたし、観てくれている人の心が動いたなら良かったかなって考えていたんです。でも負けてから2~3日経つと、『もったいなかったな』って悔しさが増してきて」

――「もったいなかった」というのは、最初に安芸選手のほうが効かせていたにも関わらず、新井選手に逆転を許してしまったことを指しているのですか。

「あぁ、新井君が『どこで記憶が飛んだか分からない』と言っていましたよね。実は俺も、どこで新井君の記憶を飛ばしたのかが分からないんです(笑)。試合中に、それだけ効かせていた手応えもなくて。ただ淡々と試合が進んでいるなぁって感じていました」

――あの試合が「淡々と進んでいる」とは! 観ている側の印象と、実際に戦っている選手の印象は大きく違うものですね。

「はい。それとあの試合については、俺が作戦と全然違うことをやってしまっていたんです」

――えっ、どういうことですか?

「試合中に楽しくなって――ファイターズハイになっちゃいました。もっとファイトゲームに徹してれば良かったですね。もともと打ち合うことはせず、相手が入ってきたところにテイクダウンを合わせていくという作戦で」

――新井選手のパンチに対して、安芸選手はカウンターで打撃ではなくテイクダウンを合わせたかったのですか。

「自分のアドバンテージはリーチ差やと思っていました。長い間合いからパンチを突いて、近い距離になればテイクダウンに入る。試合まで、その練習しかしていなかったんですよ」

――開始早々はシングルレッグからバックに回っていました。

「あの動きも全然覚えていないんですよ。体が勝手に動いて、気づいたら『おぉバックに回っているやん』って。あれを徹底できていれば――と思います」

――どの段階からハイになってしまったのですか。

「一発効かされてからです。あんなに効かされたのは久しぶりでした。練習でもクリーンヒットを受けることがないですしね。だから立ち上がってから打ち合うぐらい、ハイになってしまいました。効かされたけん、自分も効かせたいって。

正直言うと、試合前はずっと作戦どおりに――って考えていたけど、『打ち合ってみたい』っていう気持ちも、心のどこかにあったんです。だけど勝つことが大事やから、勝つために作戦を徹底する。そう思っていたのに、打ち合っちゃいましたよね。アハハハ。試合後、控室に行って挨拶したら新井君もポカーンとしていて。俺もKOされた瞬間の記憶はなかったです」

――先日、新井選手が山内選手をKOしてフライ級のベルトを獲得した試合はご覧になりましたか。

「視ました。凄いっすね。本当に凄いです」

――もう一度、新井選手と対戦したいと思いますか。

「やりたいです。でも負けた立場から、そう簡単に『もう一度やりたい』とは言えないですよね。こっちは完敗しちゃっていますから。自分はもう一度、その位置まで這い上がってくしかなくて。俺も今後はフライ級でやります。ストロー級の試合は新井戦で最後やと考えていました。今回の試合が終わったら、年明けにフライ級で申請しようと思っています」

――そうだったのですね。安芸選手がフライ級に転向すると、フライ級もさらに盛り上がるとは思いますが、フライ級に転向してもチャンピオンは同じ新井選手で……。

「それも巡り合わせですね。今回の試合もオファーの時点で契約体重かフライ級で――自分もフライ級でやりたかったし、ちょうど良かったです。これがフライ級転向第一戦になります。この試合に勝つことは絶対条件で、来年はフライ級ランク上位陣と対戦したいです」

――では改めて、今回対戦する猿丸ジュンジ選手の印象を教えてください。

「とにかく強い選手です。昔から今も変わらず、全部できるから強い。もう『強い』しか言えませんね(苦笑)。チャンピオンになっているし、同時に長い間、修斗のトップランカーでい続けるのって本当に難しいと思うんですよ。だから――強いことは間違いないです」

――その猿丸選手を相手に打ち合うのか、あるいはファイトゲームを貫くのか。猿丸選手の場合は、パンチだけでなくテイクダウンも仕掛けてきます。

「ホンマにトータルファイターやし、俺もハイにならんようにして、まずは作戦を徹底すること。あとは試合で試したいこともあるので、新しいものも見せられたら良いなって思います。ただ、スタンドにしろグラウンドにしろ決着はKOしかないです。この試合に判定はいらんでしょ。相手がラストマッチだからって、自分が花を添える気なんて一切ないですし。ホンマに一番強い猿丸選手が来てほしい。その強い猿丸選手をKOしたいです」

■プロフェッショナル修斗公式戦 FIGHT&MOSH 視聴方法
12月2日(土)
午後5時30分~ABEMA TV

<世界フェザー級選手権試合/5分5R>
SASUKE(日本)
田中半蔵(日本)

<ミドル級/5分3R>
岡見勇信(日本)
キム・ジェヨン(韓国)

<マモル引退エキシビジョンマッチ/5分2R>
マモル(日本)
漆谷康宏 & 清水清隆 & X(後日発表)

<68キロ契約/5分3R>
リオン武(日本)
内藤太尊(日本)

<フライ級/5分3R>
猿丸ジュンジ(日本)
安芸柊斗(日本)

<フライ級/5分3R>
内藤頌貴(日本)
石井逸人(日本)

<フェザー級新人王決定T準決勝/5分2R>
青井太一(日本)
ネイン・デイネッシュ(インド)

■プロフェッショナル修斗公式戦 COLORS02 視聴方法
12月2日(土)
午後0時30分~ABEMA TV

<世界女子アトム級選手権試合/5分5R>
澤田千優(日本)
中村未来(日本)

<54キロ契約/5分2R>
ソルト(日本)
ホ・ジュギョン(韓国)

<52キロ契約/5分3R>
KAREN(日本)
パク・ソヨン(韓国)

<女子アトム級/5分2R>
平田彩音(日本)
MIYU(日本)

<女子アトム級新人王決定トーナメント決勝/5分2R 延長1R>
川西茉夕(日本)
天天さくら(日本)

<グラップリングマッチ 51キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
山田海南江(日本)

<グラップリングマッチ 85キロ契約/8分1R>
緒方亜香里(日本)
奥谷晴加(日本)

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