【DEEP Osaka Impact2023#03】無敗の大阪在住ファイター、前薗渓─01─「このまま終わるのは嫌やった」
【写真】まだ24歳。テイクダウンとコントロールはDEEP大阪大会出場メンバーの中でトップクラスの前薗だ(C)SHOJIRO KAMEIKE
26日(日)、大阪市住吉区の錦秀会住吉区民センター大ホールで開催される「DEEP Osaka Impact2023#03」で、前薗渓が桑本征希と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
前薗が所属する「格闘技 吉田道場」があるのは大阪府の南部にある街、泉佐野市だ。泉佐野市は和歌山市とも隣接しており、沖合には関西国際空港もあるため交通の要所ともいえる。
道場名から東京で吉田秀彦氏が立ち上げた吉田道場と混同されることもあるが関連性はなく、創立から22年以上が経つなど、その歴史は古い。吉田元貴代表がパンクラスでレフェリーを務めており、主宰する吉田道場も「パンクラス認可ジム」としても活動している。その吉田道場でMMAキャリアをスタートさせ、プロデビュー以降4連勝中の前薗に初インタビューを行った。
――今回は泉佐野市にある道場にお伺いしました。前薗選手は、生まれも育ちもこの泉佐野市なのですか。
「そうですね。ずっと泉佐野です」
――まずは、どのような経緯で格闘技を始めたのか教えてください。
「小学校5年の時に柔道の町道場に通うようになって。高校まで柔道で行かせてもらい、大学からレスリングを始めました」
――柔道の前は何かスポーツをやっていたのでしょうか。
「いえ、何もやっていなかったです」
――何もスポーツをやっていなかった状態から、なぜ小学5年生から柔道を始めたのでしょうか。
「ちょうど小5ぐらいから太り始めたんです(笑)。ダイエット目的で何か運動をしたくて、友達がやっていた柔道を選びました」
――中学に入り、町道場から部活動へ? 中高の実績を教えていただけますか。
「はい。中学は個人なら地区大会(泉南地区)からで優勝していて、団体も大阪府で3位になる学校でした。高校時代は大阪府でベスト8になっています」
――それだけの実績を誇りながら、なぜ大学からレスリングに転向したのでしょうか。
「自分の中では—―本当やったら全国大会に出ているイメージで、そこまでのレベルであれば大学でも柔道を続けていたと思います。でも想像していたような結果と違ったし、自分自身に対して納得できない負け方もあって」
――その後、大阪体育大学に進み、レスリング部に入っていますよね。大阪体育大学も柔道で進学したわけではなかったのですか。
「かといってレスリングで進学したわけでもなく(苦笑)。高校まで浪商学園(大阪体育大学浪商高校)やったんで、内部進学でした。あと当時の担任が浪商学園のレスリング部の顧問だったり、柔道を教わっていた先生も以前レスリングをやっていたりと、いろいろとレスリングの繋がりがあったんです。そういった先生たちにレスリング部を薦めてくれて。大学進学が決まってからレスリング部を選んだ、という感じです」
――内部進学とはいえ、体育大学に進むということはスポーツ関連の仕事や体育教師になりたいといった気持ちはあったのですか。
「いえいえ、そんな……ただの甘えです。『そのまま進学できるから良いかっ』みたいな感じで(苦笑)。ただ、教員免許を取ろうとは考えていました」
――なるほど。大学レスリングでは2020年の西日本学生選手権で、グレコローマン67キロ級を制しています。小5から高3まで8年ほど柔道をやっていて、大学から全く別競技であるレスリングを始めることに対して気持ちの整理はついていたのですか。
「正直、最初は複雑でした。柔道で実績を残せなかったからレスリングを始めた——『柔道から逃げた』と思われるんちゃうかな、って。実際にそういうことを言われたわけではないけど、僕の気持ちとしては『逃げた』と思われるのが嫌で。レスリングを始めるなら、ホンマにレスリングで結果を残さなアカンと思っていました」
――ただ、大学からレスリングを始めて西日本学生選手権で優勝するというのは、スピードとしては速いのではないですか。
「たまに大学から始めて西日本学生で優勝する選手はいるみたいですけど、僕は3回生の時に優勝したので若干早いほうだと思います」
――レスリングを始めた当初からグレコをやっていたのでしょうか。
「いえ、最初の試合はフリースタイルで——瞬殺されました(苦笑)。その大会でグレコも見ていて、グレコのダイナミックな投げ技を知って『先生、グレコをやってみたいです』と伝えました。先生からも『そうやな。グレコには柔道出身で強い選手がたくさんおる』と言われて」
――前薗選手は現在24歳ですよね。この吉田道場でMMAを始めたのは、いつ頃なのですか。
「大学4回生の時なので、22歳の時です。吉田道場に入ってから1年ぐらい経った頃にアマチュアの試合に出て、2022年にプロデビューしました。大学時代に就職活動をしていて、『せっかくの人生なのに、このまま終わっていくのは何か嫌やな……』と思ったんですよ。でも安定志向もあるから、何か仕事をしつつ格闘技で夢を掴みたいなって。今は正社員として働きながらMMAをやっています」
――教員免許は取得しなかったのですね。
「教育実習に行った時、『あんまり教えるのは向いていないな』と思いました(苦笑)」
――ちなみにアマチュアMMA時代の戦績というのは……。
「7戦して全て勝っています」
――そこからプロで4連勝し、フューチャーキングトーナメントでも優勝しているということは、MMAを始めて負けたことがないのですね。しかしプロの試合は大阪大会のみで、東京の大会に呼ばれていないのが不思議ではあります。
「そうですね。だから……なぜ東京の大会に呼ばれないのかな、という気持ちはあります。同じフューチャーキングで優勝した中務太陽選手は、次の東京大会(12月10日、DEEP Tokyo Impact2023#07)のポスターでド真ん中にいるじゃないですか。僕は今の時点でも、そんじょそこらの選手には負けない自信があります」
<この項、続く>
■DEEP Osaka Impact2023#03視聴方法(予定)
11月26日(日)
午後1時~ツイキャスPPV
<フェザー級/5分2R>
秋田良隆(日本)
藤田宇宙(日本)
<フェザー級/5分2R>
木村総一郎(日本)
森田敢流(日本)
<バンタム級/5分2R>
関本龍翔(日本)
田中壱季(日本)
<バンタム級/5分2R>
キシシ(日本)
キャプテン禎(日本)
<フライ級/5分2R>
マルザヘンペーソク(日本)
飴山聖也(日本)
<フライ級/5分2R>
松原聖也(日本)
上谷章(日本)
<バンタム級/5分2R>
井上暉也(日本)
千種純平(日本)
<フェザー級/5分3R>
三村亘(日本)
古根川充(日本)
<バンタム級/5分2R>
MG眞介(日本)
山﨑鼓大(日本)
<フェザー級/5分2R>
瀧口脩生(日本)
牧野滉風(日本)
<フェザー級/5分2R>
前薗渓(日本)
桑本征希(日本)
<ミクロ級/5分2R>
古林礼名(日本)
永易加代(日本)
<バンタム級/5分2R>
上荷大夢(日本)
八尋大輝(日本)
<ウェルター級/5分2R>
小林裕(日本)
角野晃平(日本)
<ライト級/5分2R>
泉彰洋(日本)
大野“虎眼”賢良(日本)
<アマチュアルール 49キロ/3分2R>
セアリ(日本)
SAAYA(日本)
<マチュアルール 58キロ/3分2R>
サナエ(日本)
山口恵(日本)