【Grachan65】ライト級王座への道=岸本篤史戦へ、ロクク・ダリ─01─「自分のブロックが甘かったから」
【写真】リモート取材のスクショはこうでも──木村ミノルのドーピングに対しても、格闘技に対しても姿勢が一貫しているダリ。この姿勢が一貫しているところも漢です(C)SHOJIRO KAMEIKE
15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15TH Anniv」のメインイベントで、ロクク・ダリが岸本篤史と対戦する。
Text by Shojiro Kameike
現GRACHANライト級王者の原口伸がRoad to UFCで勝ち上がるなか、今大会では今後のライト級戦線を占う試合がマッチメイクされた。それがダリ×岸本と、小谷直之×林RICE陽太の2試合だ。なかでもダリは過去にGRANDウェルター級のベルトを巻いており、これが2本目のベルト獲得のチャンスとなる。MMA以外のことで話題になりがちなダリだが、そこにはダリにとってファイターとしての想いがあった――。インタビュー時は濱村健TRI.H Studio代表も同席し、ファイター・ダリの真実の姿に迫る。
――グラチャン15周年記念大会の前に、RIZINで対戦した木村ミノル選手のドーピング問題で渦中の人となっているダリ選手です。
「大きな騒ぎになっているけど、影響は何もないですよ。木村ミノルとの試合はキックボクシングだったけど、MMAでもキックボクシングでもドーピングは良くない。ダリは1回もやったことがないし、それが無くても勝てるように練習するのがファイターだから」
濱村 今回の問題に関しては、たくさん問い合わせを頂きました。でもこの件について、僕たちが答えられることはない――それだけは分かってほしいんです。こちらは『ドーピングされた側』ですから、あとはRIZINさんの発表次第で。僕としては『もっと契約の際にチェックしたりしないといけない』と思いました。次の試合についてはプロモーターの岩﨑ヒロユキさんとも話し合い、ダリにダメージが残っているかどうか検査を受け、その結果OKとなって出場を決めています。
――それは良かったです。一方でダリ選手は2019年12月の桜井隆多戦以降、MMAの試合数は少なくなっています。それはMMA以外のことをやりたかったのでしょうか。
「特に理由はなくて、僕の中ではファイトなら何でも良いんです。MMAでもキックボクシングでも、ラウェイでも――漢としての試合ができるなら」
――漢としての試合!
「あとは僕が試合を決めているわけではないので、チームメイトやマネージメントの判断がありますよね。僕としても『ダリ、この試合はどう?』と言われたら、どんなルールでもやれます。別に誰が相手でも怖くないし、いつでも何のルールでも試合はできるので。濱村さんも、そういう僕の気持ちを理解して試合を決めてくれています」
――様々なルールに挑んでいるダリ選手ですが、ルールなり技術なりで一番得意なものは何ですか。
「やっぱり立ち技が好きです。もちろん寝技もできますよ。でも『面白い試合を――』と考えたら、どうしても立ち技になっちゃいますよね」
――いわゆる『面白い試合』を求めると、どうしても打ち合いに臨むことが多くなります。結果、自身がKOされるリスクも高まります。その点については、どう考えていますか。
「確かにリスクはあります。ただ、試合では何をしてもリスクはあるじゃないですか。立ち技だとお互いにリスクがあるし、寝技で勝負しても自分が極められるリスクもあって」
――確かに、その通りですが……。
「それって格闘技だけじゃなく、他の仕事でも同じだと思いますよ。何かというと、リスクが分かっていないと勝てない。何もうまくいかない。僕も立ち技でどんなリスクがあるか分かっているから、勝つための練習ができる」
――なるほど。大切なのはリスクを負うというよりも、リスクを想定することなのですね。
「そうですね。たとえばRIZINで木村ミノルと対戦した時も、自分のブロックが甘かったから相手のパンチが当たった。ドーピングの問題もあるけど、僕の技術的な問題もあって。それを次の試合に生かす。負けた理由を見つけて、直して次の試合に挑戦する。ファイターなら、そうするしかないですよね」
――グラチャンの試合としては2021年7月の笹川JP戦と、林RICE陽太戦は判定決着となりました。勝利したとしても判定決着となるのは、ダリ選手にとって望むものではなかったのでしょうか。
「ショックでしたね。判定勝ちは好きじゃないから。もちろん相手も頑張って練習してきている。こちらも練習して試合をする。それで判定決着になるのは悔しいですよ。判定決着になる度に思うんです。もっと練習しないといけない、もっと頑張らないといけないって」
――桜井戦までウェルター級で戦ってきたダリ選手ですが、ライト級に転向した影響もあるのでしょうか。
「うーん、特に影響はないかぁ……。相手の大きさや体重は関係ないです。だからウェルター級、ライト級どちらでも試合できます。それこそ100キロの相手だって戦えますよ。アマチュアの頃からそうでした。『ダリ、いける?』、『Here We Go!』という感じで」
濱村 そんなん、ヤバいヤツやん(笑)。
「だって、逃げたら漢じゃないから。グラチャンで無差別級トーナメントをやっていたでしょう? もしオファーがあったら、僕は出ていたと思いますよ。『それは体重が重いね~』とかは言わない」
濱村 いや、それは言うてくれ!
「アハハハ」
濱村 ただね、そんな彼から『ここで逃げるのはファイターじゃない』と言われたら、僕も『そうだよね……』としか言えません。それはルール然り、相手然りで。まず強い相手から逃げたくない。僕としてはそう言い切るダリが、しっかり準備して試合に臨めるようにサポートしていきます。何より、ダリって天才だと思うんですよ。初めてラウェイに出た時、試合直前に藤原あらしさんからラウェイの頭突きについて訊き、すぐ試合でガンガン頭突きを出していましたから。
「僕はMMAでもラウェイでも、毎月試合がしたいです。だってタイやミャンマーだと、18歳でも毎月試合に出ている選手がいるじゃないですか。それこそ2カ月で3試合やっていたり――いつでも試合ができる状態でいること。それがファイターだと思っていますね」
<この項、続く>
■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局
■ Grahan65対戦カード
<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)
<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)
<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)
<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)
<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)
<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)
<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)
<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)
<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)
<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)
<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)
<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)
<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)
<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)
<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)
<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)