【Pancrase337】パンクラス2戦目=八田亮戦へ、黒澤亮平「真剣にMMAと向き合っていない選手には……」
【写真】5月で30歳になった黒澤。打の圧があるトータルファイター、完成度は相当に高くなっている(C)TAKUMI NAKAMURA
24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、黒澤亮平が八田亮と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
修斗を主戦場に戦い、第6代世界ストロー級王者となった黒澤。今年7月からはパンクラスに活躍の場を求め、9月大会に連続参戦となった。勢いで勝ち続けていた時代、技術を覚えてファイトスタイルのバランスに苦しんだ時代を経て、今は「技術を乗せた喧嘩が出来るようになった」という。自分の強さを追求する日々を「難しいけど楽しい」と表現した黒澤にパンクラス2戦目を控える心境を訊いた。
――7月PANCRASE335での小林了平戦に続いて、パンクラスに連続参戦することになった黒澤亮平選手です。プロデビューからキャリアの多くを修斗で戦ってきた黒澤選手がパンクラスに参戦を決めた理由はなんだったのですか。
「今年は4月の修斗沖縄大会に出て、たくさん試合をやるつもりだったんですけど、なかなか次の試合が決まらない状況が続いて。その時に周りの人たちから『修斗以外には興味がないの?』と言われて、自分としては修斗へのこだわりがあったんですけど、修斗では色んな選手と対戦したし、修斗以外でも試合のチャンスがあるなら試合をしたいと思っていました。そういう流れもあって7月にパンクラスさんに出させてもらいました」
――大会、イベントとしてパンクラスにはどのような印象を持ちましたか。
「もともとうちのジム(パラエストラ松戸)は修斗で試合をする選手が多かったですし、同じMMAの試合なんですけど、プロモーションが違うと計量から雰囲気が違いましたね。すごく新鮮でした」
――黒澤選手が“飛鳥拳”として修斗デビューした当初と比較すると、プロ選手が試合をする舞台や選択肢もかなり増えていますよね。
「そうですね。若い選手も増えてきましたし、選手それぞれ戦いたい舞台があって、そこに出ているという感じですよね。あとは練習中に僕が最年長という時もあるくらいなので、だいぶ変わりました(笑)」
――先ほどは「今年はたくさん試合をやるつもりだった」という言葉もありましたが、それは何か理由があるのですか。
「コロナの影響もあって、意図しない形で試合数が減ってしまって。僕は試合が一番強くなれる方法だと思っているので、それが戦績に影響した部分もあったと思うし、できるだけ試合数は減らしたくなかったので、今年はがむしゃらに試合しようと思いました」
――実際に今年は4月、7月、9月と試合が続いていて、コンディションは上がっていますか。
「そうですね。7月の試合が終わって、すぐ9月のオファーをいただいて、いい意味で間を置かずに練習が出来ています」
――対戦相手の八田亮選手の印象は?
「一言でいうと“極め”ですね」
――あれだけ極めに特化する選手は今のMMAでは珍しいと思います。
「はい。だから見ていて面白いと思うんですけど、ぶっちゃけそこまで真剣にMMAと向き合ってないと思うんですよ。そういう選手には負けたくないですね」
――ファイトスタイル・キャラも含めて、独特というか個性的な選手ではあると思います。
「実際にどうかは分からないですけど。僕はずっと『どうすればMMAで強くなれるのか?』を考えて、毎日MMAで勝つための練習をしているので、そこの違いを見せたいと思います」
――逆に今の黒澤選手が考えるMMAにおける理想の戦い方はどんなものですか。
「少し話はさかのぼるんですけど、僕が修斗でチャンピオンになった時(2016年7月)は、今思うとチャンピオンに“なれた”というより“なっちゃった”という感じだったんです。それから怪我でベルトを返上して復帰するにあたって、ちゃんとMMAを深堀して色んな技術を身につけようとしたんです。そうしたら技術先行のスタイルになって、試合でも技術で勝とうとするようになっちゃって。それでバランスが崩れて、上手くいかない時期がありました。でも今はそこが改善されてきて、MMAの技術を乗せた喧嘩が出来るようになりました。自分の強さで相手の強さを飲み込んでしまう、そういう戦い方が理想ですね」
――では7月の小林戦のKO勝ちは、それまでのKO勝ちとは違うものですか。
「全然違いますね。色んなことを想定して、試合中も色んなことを考えて、自分で試合を作ってKOすることが出来たんです。最後のパンチやKOシーンを褒めてもらうことが多かったのですが、自分のなかではKOするまでの過程・中身が違いましたね。今までの僕はステップを使って、簡単に言うとアウトボクシングして、自分の打撃を突くスタイルだったんですよ。でも今は自分から試合を作って、自分の強さ=ストロングポイントをぶつけて勝つ。そういう戦い方になっていると思います」
――今練習していて自分の伸びしろを感じているのではないですか。
「感じていますね。まだまだ……まだまだ……伸びしろありますよ」
――そのうえで黒澤選手のMMAファイターとしての目標は?
「よく『パンクラスでチャンピオンになったらどうするの?』と言われるんですけど、僕はそこまで先のことは考えていなくて、パンクラスのベルトを獲ることしか考えてないです」
――具体的にいつ頃までにタイトルマッチをやりたいという希望はありますか。
「パンクラスのストロー級はチャンピオン不在なので、八田選手にいい勝ち方をできたら年内にはタイトルマッチをやりたいですね。あと修斗でベルトを獲ったときは防衛戦が出来なかったので、パンクラスでベルトを獲ったらベルトを守る試合、防衛戦も経験したいです」
――例えば国内ではRIZINのようなビッグイベントで試合をする選手たちも身近にいると思いますが、そういった舞台に自分も出たいという気持ちはそこまでないですか。
「みんな素晴らしい選手たちだから、彼らに対する嫉妬はなくて。みんな仲間であり、ライバルであり、素晴らしい選手が素晴らしい舞台で戦っているなと思って見ています。本当に今は自分がずっとやってきたMMAのレベルを上げたい、MMAファイターとしての成長していきたいという想いの方が強いです」
――自分の強さへの追及ですね。
「はい。MMAは難しくもあり、面白い。そういう気持ちで日々練習していますし、それが楽しいです」
――それでは最後に黒澤選手の試合を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをいただけますか。
「八田選手は寝技師でいい選手ですけど、自分の方が強いと信じています。次もKOするので楽しみにしていてください」
■Pancrase337対戦カード
<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)
<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)
<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)
<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)
<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)
<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)
<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)
<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)
<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)
<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)
<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)
<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)
<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)
<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)