【RIZIN&DEEP】弥益ドミネーター聡志のこれから―03―「MMAが恋しくて仕方ない自分に安心」
【写真】上から目線でスミマセン。弥益聡志、イィ漢になったなぁ。梅田さんも喜んでいるに違いない(C)MMAPLANET
2023年に向けて『2022年中に話を訊いておきたい』勝者、敗者を6人リストアップしインタビュー──弥益ドミネーター聡志編Part.03。
平本蓮戦後のダメージと、多忙な日常生活を続けるなかで改めて気づいた弥益にとっての格闘技の意味合いとは。
<弥益ドミネーター聡志インタビューPart.02はコチラから>
──それこそ、弥益聡志の真実ですね。
「本当に練習後とかの集合写真がSNSであがっているのとか見ると、悔しくて悔しくて。『あそこに戻りてぇな』という感情しかなかったです。そこが一番大きいというか、正直ソレしかなかった。だからやっぱり、自分にとって試合はオマケというか過程にくっついて来ることで。結局、格闘技をしていることが楽しい。
例えば平本選手にやり返したいとか。次は別の選手と戦って、勝ってどうこうというビジョンは全く描いていないです」
──66キロで、平本選手と戦いたいという気持ちも?
「アハハハハ」
──計量の体を見ていると、弥益選手は絶対に一度は66キロにする体を創っているように見えました。対して、平本選手は別に創っていない体でした。そういうところ、しょうがないけど納得いかないんですよね。MMAは試合前の状態だけは、なるべくイコールであってほしくて。
「う~ん、どうなんですかね。体ってことをいえば有利・不利はなかったと思います。向うはケガをしていたので。そういう意味では数値化できない曖昧な感じで、お互いが納得して戦ったわけですし。これが国内メジャー格闘技に求められていること。
それこそ高島さんが試合後の記者会見での質問で、日本のメジャーイベントでメインを張ってきた方々の名前を挙げてくださって……。自分は恐れ多いことは言えないですけど、格闘家ごっこを続けている自分としては良い役目を担わせてもらったんじゃないかって思っています」
──J-MMA経験したぜって(笑)。
「アハハハ。ハイ。本当にこんな経験できたヤツ、いないだろうっていう気持ちもあります。凄くゴタゴタして大変な思いをしたうえで、あんな負け方をして大恥をかいた。でも、それも含めて今の自分だからできることだったと思っています」
──……。
「試合中に凄く覚えているのは、ダウンをした時に歓声の上がり方がちょっと面白かったなってことなんです」
──というのは?
「盛り上がり方が半端なくて。平本選手への期待の高さが、凄く感じられました。もちろん悔しいことですけど、あんな雰囲気のなかで戦えた。あの空気のなかに自分の居場所があった。厳しい試合結果ではありましたけど、そういうことも確認できたんです。
なんだかんだ試合が終わったあとで平本選手も評価されて、調子に乗って(笑)。だから自分自身は悔しいですけど、あの試合が与えた影響とか、そこでの評価も含めて自分が見えたような気がします。これまでやってきたことが形になるというのは変ですけど、輪郭が見えたかと」
──とにかく体が一番です。特に頭はしっかりと状況を把握する必要があると思います。そして、その不安がなくなると弥益聡志はリングかケージか、いずれにせよ試合に戻ってくると思っています。
「まぁ試したくはなりますよね(笑)。ピアノを習っている人も、発表会で演奏はしたいじゃないですか。試合がないと、何のためにやっているのかなって思うことも出てくるはずです」
──J-MMAの中の弥益ドミネーター聡志と、MMA道の中の弥益ドミネーター聡志が混在しているかと思います。そういう意味でも今後、RIZIN一本だけになるのかDEEPで戦うこともあるのか。
「どうなんですかねぇ……。DEEP……DEEPもRIZINも今は戦いたい選手が誰なのか、見えなくなっています。勝負論のある勝負をしたいと平本選手との試合前は思っていました。でもあの試合を経て、今の自分の立ち位置ではその時に思っていた選手との試合は組まれないと思います。
もちろん、そういう相手と戦いたいですし、良い勝負ができるという気持ちでいます。でも、今の自分がそういう試合を戦うと飛び級になってしまいます」
──そこは今も気にしてしまうのですか。
「順番を踏めていない試合に関しては、正直、自分自身が何度かそういう試合を受けたからこそ、自分にもあって良いじゃんという気持ちもあります(笑)。でも、そこに関しては今は想像がつかないです」
──予想は外れましたけど、私は平本戦後には──これはDEEPに戻って五明宏人戦とか用意されるのではないかと思っていました。
「あぁ(苦笑)。そういう役割になると。脳をすり減らしながら……(笑)。そうですね、まぁ……一応、上とやらせてもらえるなら準備はしたいと思います。でも今の自分の立ち位置に納得できていないです。やらないといけないことが多いと改めて気づかされました。足りないモノが本当に多いです。
なので、まずは自分としっかりと向き合いたいです。発揮できる場所を探すよりも、発揮できるモノをもっと創る。そのために積みたい。格闘技と向き合いたいです。正直MMAの試合はしてきたけど、MMAと向き合うことは余りできていなかった。自分のなかのMMAと向き合い、しっかりと積み上げたいという想いが今は凄くあります」
──一番楽なのはGPがあって、そのメンバーに入り決まった相手と戦うことかと思います。
「そうですね(笑)。そうなると当たっちゃったから戦う。何も考えなくて済むので有難いです。しかもワンマッチじゃないから、ただの兵隊として戦うことができます」
──ハイ。トーナメント戦は決まれば、もうプロモーターの思惑も関係なくなってきます。
「ハイ、良い意味で決まった仕事をやり切るということですし。パッケージ、フォーマットが確立していて。そうなると、やるしかないですからね」
──〇〇選手と〇〇選手、どちらと戦いますかと言われるより16人トーナメント出ますかの方が楽ですよね。
「ハイ、ノーはないですからね。誰と戦おうが、そこに文句も言われず何も考えずに戦うことができます」
──その声が、届きますように。ところでRIZINのフェザー級戦線は、大晦日のBellatorの対抗戦を経てチャンピオンがどうなるのかで、ストーリーの創り方が変わって来るかと思います。そういうなかで、弥益選手にどのような試合があてがわれるのか。
「そうですね……それと、個人的には海外で試合がしたいです。RIZINのハワイ大会があるならそこも、そうですし。RIZINやDEEPが構わないなら……引退する前に、1度は海外で試合がしてみたいですね。UFCとかそういうことをいっているのではなくて、海外での試合を経験したいです」
──MMAファイター人生をより充実させるために、ぜひ叶えてほしいです。では、最後に『弥益、大丈夫なの?』と心配してくれているファンに一言お願いします。
「なんですかね……。自分を応援してくれている人が、どういう層か分かっていないですが……」
──サラリーマン、いや日々の現実と向かいあっている人達にとって弥益選手の頑張りは活力になっているはずです。
「そう言ってもらえると、有難いです。そうですね……自分も日々、疲れながらきっつい実生活を生きています。でもMMAが恋しくてしょうがないです。逆にそういう自分がいて良かったと感じています。仕事は超絶に忙しくて、それでいて家族と過ごす時間も増えている。なんだかんだと充実している生活をさせていただいているのに、格闘技がやりたくてしょうがないです。恋しくて仕方ない自分に安心をしています。
相変わらず格闘技が好きなので、格闘技が好きな弥益を応援していただけているのであれば、その部分だけは安心してください。表に出る時は出ます。もう少しお待ちいただければと思います」