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【Interview】川尻達也~グイダ戦を振り返る~「諦めていない」

Tatsuya Kawajiri

【写真】東京都足立区・梅島のJBスポーツ前で。この日から練習を再開した川尻達也 (C)MMAPLANET

4月11日(土・現地時間)、UFN39のクレイ・グイダ戦で判定負けを喫した川尻達也。ランキングを上げて、日本大会で世界挑戦という青写真は崩れた。

帰国から10日、再始動の日に川尻にグイダ戦を振り返ってもらった。決して屈することのないジャパニーズ・ダイハード――決して屈しない男の言葉に耳を傾けてほしい。

──今回の取材場所はJBスポーツ。つまり練習を再開しているということに?

「今日からですね(※23日)。試合後、僕がムチ打ちになっていたり、家内が体調不良で入院し,娘も風邪気味だったから、付きっきりだったんです。かなりバタバタしていて、ようやく今日から体を動かそうかと」

──奥様の具合の方は? 格闘家の奥方ですし、心労が絶えないのではないしょうか。

「あまり丈夫な方ではなくて、腸炎で入院して。試合自体はそうではないのですが、試合に至るまでにも色々と神経を遣ってくれているんだと思います。でも昨日、退院したので大丈夫です」

──それは一安心です。ところで川尻選手自身も、ムチ打ちだったとは?

「十字を取った時のスラム、前から叩き落された時、ギロチンの時ですかね。3回スラムを食って……ですね」

──試合中にその影響があったということでしょうか。

「試合中は全然痛みは感じていなかったです。試合後には少しは痛みがあったのですが、そこまで酷くはなかったです。次の日も出発が夜だったので、フェラーリワールドとか観て、普通に歩けていたんですけど、成田で飛行機を降りた瞬間にガチガチになってしまって。家に着いた時には全く動かなくて、車を降りるのも厳しいぐらいでした。痛み止めとか飲んで、2,3日で良くはなったんですけど。それ以上酷いことになると、医者に行こうかと思っていました。UFCは試合から1カ月以内だと、保険が下りるので(苦笑)。でも、大丈夫のようです」

──結局、病院には行かなかった?

「そうですね。もともと、首の調子はあまり良くないですけど、痺れたりはしていないので大丈夫です。だから徐々にフィジカルから体を動かそうと。まだスパーリングはできていないです」

──体的には徐々に戻ってきているのですが、気持ち的には如何ですか。

「気持ち的にも……まぁ、落ち込んでいてもしょうがないので。リリースされたら、終わりですけどね。そういう話も伝わってこないのでもう一回……。かなりゴールは見えなくなりましたけど、前に進むしかないので。それしかできないですし。まだ諦めていない、諦めきれないところがありますよね。負けず嫌いなんで」

──敗れはしましたが、川尻選手の粘る姿勢は十分に見えましたし、色々な引き出しも見ることができた一戦でした。無責任な発言かもしれないですが、まさかリリースはあり得ないと思います。1Rの右フックを受けなければ、どういう風になっていたのかと、どうしても考えてしまいますし。

「食らうべきして食らったので、あの一発を食らわなかったからということは言えないのですが、う~ん、もう少し自分から攻めれば良かったです。もっとガムシャラにいけば良かったかなと。これまで勝っても負けても後悔ないよう戦ってきて……。今、格闘技が終わっても後悔ないように毎日やってきたのですが、グイダ戦は久し振りに後悔しています。もっとガムシャラに行けば良かったと」

──海外のオッズなどでは、グイダ有利ということだったのですが、私は日本人というひいき目なく見て、川尻選手が勝てる相手だと踏んでいたんです。

「自分でも勝てると思っていました。少しジャブを当てていこうと、恰好つけてしまって。デビュー戦のように失敗してもガムシャラにいけば良かったですね」

──右フックのダメージは残ったのですか。

「それはなかったです。バックを取られても前に落せましたし、その後も腕十字も入ることができました。ただ、ダメージはなかったんですけど、先手を取られてなし崩しに攻められてしまいました。自分がやるべきこと、押し込んでテイクダウンを奪うことをグイダにされてしまい、立て直せなかったです」

──先日、HEATの取材で名古屋へ行き日沖選手と話した際、『僕がグイダの打撃はプレッシャーがないなんて言ってしまって……』とかなり気にしているようでした。

「それは全然、関係ないですよ。それはない。ただ、自分から行かなかったという悔しさは残っていますが。フランク・エドガーとか、一発貰っても立て直せるけど、できなかった僕が未熟で。これまで、ああいう競り合いをしていない、経験不足も感じました。ただ、メレンデス戦とかあのまま終わっていて、あそこから下手に打ち合わないで試合に戻せたという点では、気持ちは切れなかったので成長はしていると思います。昔だと一か八かで打ち合いに行ってしまっていただろうし。それでも、もっと他にやるべきことはありました」

──ケージに押し込まれた際、差して胸を合わせるのではなくキムラの状態を続けたのは、作戦だったのでしょうか。

「ああやって切り返すのは得意なんです。以前はテイクダウンを切るという試合もやっていましたが、ここ何年間は自分からテイクダウンに行く試合が続いていたので、実戦で経験していなかったですね。その辺りも含めて、雑でした。切ってがぶってという勝負をした方が良かったかもしれないです」

<この項続く>

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